フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、1日に放送された「人生を変える寿司2前編~17歳の上京物語~」。人気寿司店の熱血社長と従業員たちの姿を追ったシリーズ第2弾だが、8日には後編が放送される。

一癖も二癖もある従業員たちを常に信じ、寄り添い続ける「意気な寿し処 阿部」社長・阿部浩さん(54)。その「人と向き合う覚悟」に驚かされながら取材してきた25歳の小川将也ディレクター(ネツゲン)が、今回特に衝撃を受けた場面とは――。

  • (左から)トワさん、阿部浩社長 (C)フジテレビ

    (左から)トワさん、阿部浩社長 (C)フジテレビ

父にがん、母も心労で倒れ…阿部社長にも試練

東京で8店舗を展開する「意気な寿し処 阿部」。外国人や女性、中には現役プロレスラーまで、様々な人生を歩んできた人々が板前修業の門をたたく。そんな見習いたちを一人前に育て上げるのが、社長の阿部浩さんだ。

その阿部さんが、特に気に掛けていたのが、突然店から姿を消した18歳の見習い・トワさん。高校を退学処分になり、上京して半年。人生を変えたいと、入社したものの、度重なる問題行動で同僚から距離を置かれてしまう。追い込まれるように向かったのは故郷の港町だった。

再会した親友から向けられたのは、一人上京し社会人として働く、トワさんへの期待と尊敬のまなざし。苦しい現実を打ち明けられないまま、故郷に残るのか、それとも東京へ戻るのか…18歳の心は揺れていた。

一方、社長の阿部さんにも大きな試練が訪れる。店で使う米を一手に担ってきた新潟の実家で、農業を営む父親にがんが見つかり入院したのだ。さらに、母親も心労で倒れてしまう。

銀行で支店長を務める兄も駆けつけて行われた家族会議。阿部さんは「自分が農家を継ぐ」と口にする。だが、東京には約100人の従業員がいる。彼らの人生を預かる社長として、簡単に店を離れるわけにはいかない。実家の米農家を継ぐのか、それとも弟子たちを守るのか。熱血社長が出した結論は…。

  • 夜、一人落ち込むトワさん (C)フジテレビ

    夜、一人落ち込むトワさん (C)フジテレビ

「阿部さんが頑張ってるから自分も頑張りたい」

どこまでも従業員に親身に寄り添う阿部さん。今回の番組の中で小川Dが特に衝撃を受けた場面が、トワさんと向き合った際に発した「謝罪の言葉」だ。

本店の従業員の中で孤立状態にあったトワさんのためを思い、阿部さんが六本木店への異動を伝えたが、やっと見つけた自分の居場所だと思っていた本店でやり直したいと思っていたトワさんにとって、それはショックな通告だった。

前編の最後では、突然姿を消してしまった様子が描かれたが、後編ではそんなトワさんに対し、阿部さんが「相談する相手となるべきだったし、それになれなかったことは謝るよ。本当に申し訳なかった」と伝えるのだ。

小川Dは「ここで謝るのが阿部さんだなと思いながら、グッときました」と心を揺さぶられたのと同時に、「だからこそ阿部さんに付いていきたいという人が、多くいるんです。副社長になった渡邊さんは“もともと板前になりたかったわけじゃない”そうなのですが、“阿部さんが頑張ってるから自分も頑張りたい”と言っていました」と、従業員が惚れ込む理由を再確認した。

放送されることで店にとってマイナスになりかねない場面もカメラにさらけ出す阿部さん。阿部さんとトワさんが向き合ったこのシーンを撮ることに少し躊躇したという小川Dだが、「阿部さんがトワさんに“撮ってもいいのか?”と聞いてくれたので、本当にありがたいです」と感謝した。

後編では想定外の出来事が立て続けに起こるが、そのたびに「撮ってくれて大丈夫」と受け入れる阿部さん。その中で、「阿部さんの人間としての大きさと、従業員や周りの方たちとの人間ドラマに、現場でグッとくる瞬間が何度もありました」と取材を振り返っている。

  • 話し合う阿部社長とトワさん (C)フジテレビ

    話し合う阿部社長とトワさん (C)フジテレビ

第1弾放送後の反響…来店客から「応援してるよ」

シリーズ第1弾の主人公は、無断欠勤を繰り返すようになってしまった入社13年目(当時)のサワさんだった。放送を見た阿部さんからは、長年にわたり店を支えてくれ、思い入れのある従業員を追いかけたドキュメンタリーに、「撮ってもらえたのは良かった」と感想が寄せられたという。来店客から「応援してるよ」と声をかけられることもあるそうだ。

放送があって店に起きた大きな変化は、新入社員の人数。例年は一ケタだが、今年4月には10人が入社予定だ。いわゆる“訳あり”の人たちが働いていることを知った上で門を叩いてくれたことに、阿部さんは喜んでいるという。

今回の放送で、サワさんは一瞬映り込む程度だが、近況を聞くと、「時々気持ちが落ちてしまうことはあるのですが、阿部さんや周りの人たちがちゃんと迎え入れてくれて、基本的には毎日出勤しています」とのこと。時々、サワさんの握った寿司を食べに行くたびに「お元気ですか?」と声をかけているだけに、「サワさんにもこれから長く続けてほしいです」と願った。

  • 小川将也ディレクター

    小川将也ディレクター