第84期順位戦B級2組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟)は、最終10回戦計13局の一斉対局が3月4日(水)に東西の将棋会館で行われました。このうち、関西将棋会館で行われた阿久津主税八段―藤本渚七段戦は藤本七段が93手で勝利。注目の大器が自力で最後の昇級枠に滑り込み、初参加の順位戦から3期連続での昇級を決めています。
20歳の昇級候補
今期のB級2組は9回戦を終えた段階で久保利明九段と山崎隆之九段の2名が昇級を決めている状況。7勝2敗の藤本七段は勝てば最後のひと枠をつかみますが、敗れた場合は羽生善治九段ら3敗勢にチャンスが回ります。藤本七段の先手番で始まった本局は駆け引きのすえ力戦調の相居飛車へ。先手は矢倉の、後手は雁木の枠組みを作って中盤戦が始まりました。
形勢をリードしたのは藤本七段。居玉での端攻めに踏み切った阿久津八段の猛攻に対し、歩の手筋を駆使して丁寧に受けに回ったのが好着想でした。金香交換の駒損を甘受してでも後手の飛車先を止めたのが大局観に基づく好手。手順に2枚の大駒を抑え込む体勢が完成しました。居玉の後手は飛車を中央に展開することができません。
圧巻の中押し勝ち
順調に優勢を確立した藤本七段は満を持して反撃開始。手にした桂を金取りに打った場面が投了図となりました。終局時刻は21時47分、最後は逆転の見込みなしと認めた阿久津八段が投了。後手は駒得でこそあるものの、先手から飛車を捕獲する手などが厳しく残っており、形勢には大きな差ができていました。攻めさせて勝つ藤本七段の大局観が光る快勝譜に。
勝った藤本七段は8勝2敗で自力でのB級1組昇級を決定。初参加のC級2組から数えて3期連続での昇級は史上5人目の快挙となりました。この結果に観戦したファンも「異次元の速さ」「やはり天才のひとり」と盛り上がりを見せました。なお東京・将棋会館で行われた対局で藤井猛九段に勝った羽生九段ですが、本局の結果により昇級にはあと一歩及びませんでした。
水留啓(将棋情報局)
