![浦和DF根本健太 [写真]=清原茂樹](index_images/index.jpg)
2025年はFIFAクラブワールドカップで惨敗、J1リーグも7位と不完全燃焼に終わった。浦和レッズは深刻な得点力不足とアウェイでわずか3勝という内弁慶ぶりが懸念され、マチェイ・スコルジャ監督の去就も取り沙汰されたが、現体制を維持。2026年の明治安田J1百年構想リーグに勝負を賭けた。
今季もアウェイ3連戦からのスタートという嫌な幕開けとなったが、開幕節のジェフユナイテッド千葉戦で白星発進。続くFC東京戦はドローの末にPK負けで勝ち点1にとどまったが、今節の横浜F・マリノス戦は2−0で見事に勝利を収めた。3試合で勝ち点7を稼ぎ、東京ヴェルディに続くEAST2位に浮上している。上昇気流が生まれつつあるのだ。
とりわけ、横浜FM戦は重要な一戦だった。というのも、日産スタジアムで行われた昨年10月のゲームで0−4の大敗を喫していたからだ。「昨季ここで試合をした時は本当に悔しい思いをしたので、『次はその悔しい思いを逆にやり返してやる』というマインドで臨みました」と力を込めるのは、大卒2年目のセンターバック根本健太である。
さかのぼること約4カ月前、直前のヴィッセル神戸戦でJ1初スタメンに抜擢され、1−0の勝利に貢献。その仕事ぶりを指揮官に評価され、横浜FM戦も連続で先発した。だが、開始早々の6分に植中朝日にボールを奪われ、そのまま先制点を決められるという悪夢を経験。是が非でも苦い記憶を払拭したかったに違いない。
しかも、今節は流通経済大学の先輩に当たる宮本優太が欠場。ここまで2試合とは異なり、ダニーロ・ボザとコンビを組むことになった。「ミヤ君がいない状態でダニーロと組みましたけど、自分がミヤ君のような存在にならなければいけない。ラインコントロールにしても、しっかり上げるところは上げて、止まるタイミングというのもあるので、そこはしっかり見極めながらやりました」と本人も言う。
前半の横浜FMは、最前線に陣取ったディーン・デイビッドにボールを集めてきた。彼の鋭い抜け出しから何度かチャンスを作られたが、根本とボザは確実に対応。得点を許さなかった。「プレスに行って、剥がされてしまうところもありましたけど、しっかり戻って失点をしないことをまず優先で考えた。全員で下がって守れたのも良かったし、ダニーロとのコミュニケーションもしっかり取れていたので良かったと思います」と根本は一定の手応えをつかんだ様子だった。浦和は後半一気にギアを上げ、関根貴大と早川隼平がゴール。2−0で勝利し、根本ら守備陣は完封勝利を手にすることができた。この結果は根本自身にとっても大きな自信になったことだろう。
そもそも根本はプロ入り前から非常にポテンシャルの高い左利きのDFと言われていた。流通経済大学時代は“大学ナンバーワン”と評され、複数のJクラブの間で争奪戦が繰り広げられたほど。その結果、浦和入りしたのだから、昨季はスタートから起用されるだろうという見方が根強かった。しかしながら、開幕からベンチ外が続き、初めてJ1リーグでベンチ入りして公式戦のピッチに立ったのは、クラブW杯後に行われた8月の横浜FC戦。この時は本職でない左サイドバックでとしての起用で、本人もチーム内での地位確立に想像以上に苦労していたのだ。
「加入する前から『試合に出られるから浦和レッズに入ります』という感じで決めたわけではなかったので、1年目は試合に出られないだろうなという気持ちもあった。『頑張るしかない』というマインドで入ったので、ずっとそういった姿勢で取り組んでいました」と根本はブレずに前だけを見据えていたことを明かす。
そういう中、訪れたチャンスをモノにしようと全力で食らいついたという。「神戸戦からセンターバックで使ってもらえるようになり、何試合か出させてもらった。そういう中で自分の特徴を出すこと、チームを勝たせることはまだまだ改善すべき点があるなと感じていた。そこに向けて努力してきましたし、今季に入ってからそういう存在に少しずつ近づいているのかなと。戦力になっていけそうな感触はあります」と23歳の成長株は目を輝かせたのだ。
実際、今季の浦和はマリウス・ホイブラーテンが退団。宮本、ダニーロ・ボザ、そして根本の3人で最終ラインを統率していかなければならない状況で、根本の成長は必須なのだ。開幕からのアウェイ3連戦でフル稼働し、その布石を打ったことで、希望が見えてきたのは確か。これはチーム全体にとって朗報だろう。
だからこそ、次節の鹿島アントラーズ戦が勝負になってくる。埼玉スタジアム2002でのホーム開幕戦で、昨季得点王のレオ・セアラらと対峙するのだから、それを完封できてこそ本物。ある意味、真価が問われる大一番になるのだ。
「昨季の鹿島戦は出られなかったですし、ホーム開幕戦を勝利でスタートすることが次の目標。そこを意識しながら、しっかりやりたいと思います」。こう力を込める根本が持てる能力を遺憾なく発揮し、鹿島を完封できるのか。1週間後の注目マッチから目が離せない。
取材・文=元川悦子
【ハイライト動画】横浜F・マリノス 0-2 浦和レッズ