藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑戦するALSOK杯第75期王将戦七番勝負(日本将棋連盟主催)は、挑戦者の2勝1敗で迎えた第4局が2月17日(火)・18日(水)に和歌山県和歌山市の「和歌山城ホール」で行われました。対局の結果、角換わり腰掛け銀の後手番で力を発揮した永瀬九段が132手で勝利。一度も形勢の針を譲らない快勝で3勝目とし、タイトル奪取まであと1勝と迫りました。
充実の挑戦者
ともに先手番で手堅く勝ってここまで永瀬九段の2勝1敗。充実の内容を誇る永瀬九段は後手番で迎えた本局でも工夫を打ち出しました。両者得意の角換わり腰掛け銀に進んだ36手目で6筋の位を取ったのが小さな趣向。専守防衛になりがちな持久戦を避け、先手からの動きを誘いたい意図が見て取れます。意表を突かれたか、藤井王将は序盤から時間を使います。
自陣角を打ち合って局面は一段落。ジリジリとした間合いの計り合いが始まるかと思われましたがここで永瀬九段に好手が出ました。46分の長考のすえ、銀取りに桂を打ったのが数手後に角の素抜きを見た厳しい狙い。形勢は互角とはいえ先手は守勢に回るよりなく、藤井王将は局後「桂打ちが痛く、自信の持てない感じになった」とこの攻防を振り返りました。
研鑽実った快勝譜
永瀬九段の封じ手が開かれ2日目の戦いがスタート。以降は永瀬九段の筋良い攻めが光る一人舞台となりました。角のラインを生かしたコビン攻めで先手に飛車切りを強要したのち、一転して右辺の歩を突き出したのが敵玉の位置をよく見た攻め。粘りに出た藤井王将が金引きで竜取りをかけたとき、これを手抜いて銀頭に歩を叩いたのが決め手となりました。
終局時刻は18時44分、最後は自玉の寄りを認めた藤井王将が投了。「終盤は駒の損得より速度」の格言通り、竜を取らせる間に先手玉を寄せ切った永瀬九段の快勝譜にファンも「今回は一味も二味も違う」「どれだけの研鑽を積んでいるのか」と舌を巻きました。注目の第5局は3月8日(日)・9日(月)に栃木県大田原市の「ホテル花月」で行われます。
水留啓(将棋情報局)
