『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』の名優 ロバート・デュヴァル、95歳で死去

アメリカ映画界を代表する名優ロバート・デュヴァルが、現地時間15日に死去した。95歳だった。妻ルシアナが公式Facebookで発表し、「自宅で、愛と安らぎに包まれて穏やかに息を引き取った」と伝えている。死因は公表されていない。

デュヴァルは『ゴッドファーザー』シリーズをはじめ、『M★A★S★H マッシュ』『THX 1138』『地獄の黙示録』『グレート・サンティーニ』『テンダー・マーシー』など、数々の名作で強烈な存在感を放った名バイプレイヤーだった。1960年代初頭にキャリアをスタートさせ、1970年代の「ニュー・ハリウッド」黄金期を支えた中心人物のひとりである。ジョージ・ルーカス、ロバート・アルトマン、そしてフランシス・フォード・コッポラといった名匠たちの作品に欠かせない俳優として、骨太で複雑な男たちを演じ続けた。

1931年1月5日生まれ。海軍軍人の父を持ち、幼少期は各地を転々としながら育った。のちに自身も陸軍に所属。その後ニューヨークで演技を学び、ダスティン・ホフマンやジーン・ハックマンらと親交を結ぶ。ホフマンが「彼こそ新しいブランドだった」と語るほど、同世代の俳優たちの間でも際立つ存在だった。

映画デビューのきっかけは、1962年の『アラバマ物語』。内気で誤解されがちな青年ブー・ラドリー役で注目を浴びた。その後も着実にキャリアを重ね、1970年の反戦コメディ『M★A★S★H マッシュ』で皮肉屋の軍医を演じて評価を高める。続くルーカス監督の『THX 1138』では抑制の効いた演技を見せ、そして1972年、『ゴッドファーザー』でトム・ヘイゲン役を演じて世界的名声を確立した。敬愛するマーロン・ブランドと本格的に共演したこの作品は、彼の代表作のひとつとなる。

以降も『地獄の黙示録』などで強烈な印象を残し、厳格な父親や不屈の男、頑固な編集長、法執行官など、多彩な役柄を演じながらも、一貫して”本物らしさ”を追求する姿勢を貫いた。1983年の『テンダー・マーシー』ではアカデミー主演男優賞を受賞。さらに『シビル・アクション』『ジャッジ 裁かれる判事』でもノミネートされるなど、晩年まで第一線で活躍した。

俳優業にとどまらず、監督としても才能を発揮。自ら脚本・製作・主演を務めた1997年の『アポストル』では、暴力事件を起こして逃亡する牧師という難役に挑み、再びアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。信仰と贖罪を描いたこの作品は、彼のキャリアの中でも特に評価の高い一本である。彼は当時、「この人物のリズムや気質、内面を再現できるか試したかった」と語り、役柄を断罪するのではなく、あくまで当事者の視点から描くことを重視したと明かしている。

率直で妥協を許さない性格も知られていた。『ゴッドファーザー PART III』には出演料をめぐる対立から参加せず、またスタンリー・キューブリック作品を辛辣に批評するなど、物議を醸す発言も少なくなかった。しかしその率直さこそが、彼の演技に宿る緊張感とリアリティを支えていたともいえる。

エミー賞、英国アカデミー賞、インディペンデント・スピリット賞など数々の栄誉を受け、テレビ西部劇『ロンサム・ダヴ』も代表作として高く評価されている。ビリー・ボブ・ソーントンの出世作『スリング・ブレイド』に出演するなど、若い才能を支える存在でもあった。ジェームズ・グレイやスティーヴ・マックイーンといった新世代の監督たちからも敬意をもって迎えられ、長年にわたり現役を続けた。

晩年には「やがて仕事は減っていくだろう。それも自然なことだ」と語り、俳優という職業を「大人が本気でやる”ごっこ遊び”」だと表現した。役になりきるのではなく、自分自身の感情や魂を少しずつ方向づけることで人物を形づくる――それが彼の信念だった。

無骨で、誠実で、決して取り繕わない。ロバート・デュヴァルは常に”自分”のままでスクリーンに立ち続けた。その揺るぎない存在感は、ニュー・ハリウッドの時代を象徴する遺産として、これからも語り継がれていく。

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from Rolling Stone US