買取市場を語るうえで、過去最高値を続々と更新するゴールドを抜きにすることはできないだろう。今回は、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに、2025年の相場推移を振り返っていただきながら、2026年の見通しについてお話をうかがってみた。

2025年は「金が一気に駆け上がった」1年だった!

――2025年のゴールド相場、1年を通してどういう動きでしたか?

まず1月時点では、1グラムあたり1万4000円台でした。そこから6月くらいにかけて、1万7000円前後まで一気に上がっています。半年で3000円上がった計算ですね。その後、夏から秋、9月頃には1万8000円台に到達します。ただ、この時点では「緩やかに上がっている」という印象でした。

10月以降は一気にスピードが変わって、2万円を突破してからは10月、11月、12月とほぼ止まらずに上昇し続け、年末には2万5000円台まで到達しました。2025年の前半は段階的、後半は急加速という感覚です。

――この急騰は、何か特定の出来事と連動しているのでしょうか?

まず大きいのは中央銀行の動きです。中国やインドを中心に、各国の中央銀行が金を買い増しています。それに加えて、株で利益を出した投資家が資金を金に移す動きも増えました。理由はやはりドルと為替の影響、そして世界情勢ですね。

――世界情勢というと?

中東やアジア太平洋地域の緊張、米中関係、貿易問題です。「何かあったときに備えて、金を持っておこう」という心理が強まったんだと思います。

さらに、テレビでも「金、過去最高値更新」というニュースが頻繁に流れました。金は地球上にプール5杯分しか存在せず、そのうち4杯分はすでに採掘済み、残りは1杯分しかない、という話もよく取り上げられていました。個人的には、こうしたニュースも買いを後押ししたような気がします。

ゴールドマン・サックスは「将来的に5万円までいく可能性がある」といった見方を示していますし、世界の著名投資家や中央銀行が金を買っているという事実も、「だったら大丈夫だろう」という安心感につながっていると思います。

2026年、金はどう動く? 売り時、買い時の判断は……

――2026年の金相場は、どう見ていますか?

状況が今と変わらなければ、まだ上がる可能性はあると思っています。世界情勢、各国の金融政策、中央銀行の動きが今と同じ方向で続くなら、簡単に下がるとは考えにくいので。もちろん、アメリカの利下げ予想が後退したり、ドルが一気に強くなったりすると、上値は重くなるかもしれません。

――1グラムあたり2万5000円という水準は、予想できていましたか?

全然です(笑)。2~3年前は「金が1万円いくかどうか」なんて話をしていましたし、正直、いかないと思っていましたから。実際、家族に頼まれて2年前に8000円台で売ったこともあります。この仕事をしていても、ここまでの上昇は読めません。

――では、売る・買うタイミングはどう考えればよいでしょう?

シンプルに言うと、「売りたいと思ったら売る、買いたいと思ったら買う」です。今は過去最高値なので、売るには十分高い。一方、買う人は「まだ上がりそう」と思っている。1年前に1万5000円で売った人は、その時点では最高値で売ったわけですし、買った人は結果的に1万円以上安く手に入れています。

深読みしすぎると、投資がギャンブルになってしまう。だからこそ、今は売るにも買うにも、悪くないタイミングだと思います。

――2026年も、2025年並みに伸びる可能性はありますか?

ゼロではありません。ただ、前年比170%という伸び方は異常値です。ロレックスや時計でも、ここまでの上昇はありませんでした。それでも、個人的には長期で見れば、まだ上がる可能性はあると思っています。5万円という数字も、10年スパンで見れば現実的かもしれません。


2025年はほぼ“一人勝ち”だったゴールド相場。その熱は、2026年も簡単には冷めそうにない。