
昨年10月に幕を開けた『NELKE ONEMAN LIVE TOUR 2025-2026 "Diary"』が、1月14日、鮮やかなフィナーレを迎えた。ツアーファイナルの舞台は、彼女たちにとって最大キャパシティのZepp DiverCity。今回のツアーは、バンドにとってとても大きな挑戦となったが、ファイナルを含めた全公演が見事にソールドアウト。並々ならぬ反響を受け、1月末から2月にかけて計6都市での追加公演が決定。さらに、4月から7月にかけて次のツアー『NELKE ONE MAN LIVE TOUR 2026 「VAST RESONANCE」』を敢行することも既にアナウンスされている。5人がNELKEとして活動をスタートしたのが2024年の春。これまでの約2年間の彼女たちの大躍進を見て、"早咲き"のバンドというイメージを持つ人もいるかもしれないが、この日のMCでメンバーが語っていたように、それぞれが長年の下積みを重ねてきた5人から成るNELKEは、むしろ"遅咲き"のバンドである。それ故に、今回のバンド史上最大キャパのZepp DiverCity公演は、全編クライマックスと呼べるような感涙の一夜となった。順を追って振り返っていきたい。
超満員の会場。開演の時間になると、ちゃんしお(Key)が制作を手掛けたツアーのSEが響き渡る。幻想的なサウンド、また、日記に鉛筆で何かを懸命に書き綴るような音が響く中、伊藤雅景(Gt)、タケダトシフミ(Ba)、Kei(Dr)、ちゃんしおがステージイン。そして、4人のバンドサウンドが力強く轟き始めるのと同時に、RIRIKO(Vo・Gt)が登場。しばし沈黙。ちゃんしおが奏でる美しい調べを受け、RIRIKOが深く息を吸い、1曲目の「忘れないよ」へ。しなやかに躍動するバンドサウンドを推進力にして、まるで大輪の花のように高らかに響くRIRIKOの歌。その堂々たる響きに冒頭から一気に心を掴まれる。続いて、RIRIKOが「あなたに届けにきたんだよ、東京ー!」と呼びかけ、「努力教信者」へ。彼女が「お台場、お手を拝借!」と叫ぶと、観客がばっちりクラップで返し、「こいよ、お台場!」と熱くアジテートすると、拳を高く突き上げて応えてみせる。ステージとフロアのコンビネーション、その綿密さたるや。次に、「いろんな音を、いろんな色を届けにいきたいんです。こんな色はどうだろうか?」と問いかけ、「燻る」へ。鮮やかに炸裂する鮮烈なロックチューン。圧巻のオープニングパートだった。
超満員の景色を前に、RIRIKOは、「すごいなぁ。すごい景色ですね」と胸の内の感慨をありのまま伝えつつ、「Zepp DiverCity、広いです。遠いかもしれないけど、距離を感じさせたくない。NELKEとあなたたち、一つになれますか、お台場!」「みんなのこと、信じさせてください!」と叫び、「Believe in Breeze」からライブが再開。続く「Rescue!!」では、観客のコールが次々とばっちりきまり、「好きな人消えて」では、観客の一斉ジャンプによってフロアが何度も波打つ。さらに大合唱まで巻き起こる。「すごい、跳びながら歌えるんだ、みんな」と、思わず驚きの声を漏らすRIRIKO。次に披露されたのは、RIRIKOが、NELKEとしての活動を始める前、ソロのシンガーソングライターとして最後にリリースした「フィクション」。彼女いわく、この曲は、「自分の音楽に自信を持てなくなった時に書いた曲」であるという。「この曲に、この景色を見せてあげたい」。RIRIKOがそう告げた後、NELKEのバンドアレンジが施された同曲が披露される。広大、かつ、超満員のZepp DiverCityに、堂々と鳴り渡る珠玉のロックバラード。感動的な展開はまだまだ続く。「花図鑑」では、観客の壮大な大合唱が巻き起こり、続いて、ステージ背面に無数の星のような光が燦々と輝く中、最新曲の一つ「Stargazer」が披露される。まさに、ハイライトに次ぐハイライト。楽曲が披露されていくたびに、会場全体の高揚感が高まってゆくのが手に取るように分かる。
MCを経て披露された「punk town」では、RIRIKOの逞しいハイトーンが轟き、「生徒A」では、Keiのドラムソロ、タケダのベースソロ、ちゃんしおのキーボードソロ、伊藤のギターソロが容赦なく炸裂。そして、RIRIKOが「まだまだみんなと一つになりたいです。一緒に、あなたたちと、もっともっと、NELKEはこんな音楽がしたいんだよ、お台場!」と呼びかけ、「バイバイアクター」へ。会場全体から沸き起こる怒涛のコール。なんて猛烈な一体感だろう。観客から送られる熱烈なエネルギーを受けたRIRIKOは、「音楽から、この愛情から、離れたくないです。あなたたちを離したくないです」「私たちNELKEの音で抱きしめる」と揺るぎない宣誓を届けた上で、「カレンデュラ」へ繋ぐ。

RIRIKO(Vo・Gt)
凄まじい熱気が会場全体に満ちる中、ここでRIRIKOが、「やっとこういう曲がNELKEでできるなと思って」「少しだけ私の話をします」と前置きをした上で、最新曲の一つ「裂いて」について語り始める。学生時代からずっと「真面目」「なんでもできる」「オールマイティー」と言われることがコンプレックスだった。本来は嬉しいはずの言葉なのに、喜べない。どこか尖っていないと、どこか変じゃないと、音楽をやっていけないんじゃないかと不安になった。20代後半までソロのシンガーソングライターとして活動する傍ら、他のアーティストに楽曲提供をしたり、他のアーティストの楽曲に仮歌を入れる"仮歌さん"の経験をしたりもしてきた。何者でもない自分に対して、漠然とした不安を感じる日々。月日が流れて、NELKEの4人と出会った。"尖った4つの角"の真ん中に、ありのままの自分として立って、たまに真面目じゃないところを曝け出す。とても居心地がいいし、あの頃の自分を救えていると感じた。ただ一方で、あの頃の自分のことも忘れたくない。そうしたRIRIKOのMCを経て、「裂いて」が届けられる。5人全員の人生の重みが乗った渾身のパフォーマンス。MCの言葉と相まって、〈いつかは散りゆくのに咲いてゆく 僕らの歩く意味を探してる〉という言葉が深く胸に響いた。

伊藤雅景(Gt)

タケダトシフミ(Ba)

ちゃんしお(Key)

Kei(Dr)
続いてRIRIKOが、「一緒に歩いていく日々の中で、未来の話をしよう!」と呼びかけ、「春か未来」へ。5人の想いに応え、何度も高く拳を突き上げてゆく観客。あっという間に、残すところラスト1曲。ここで、Keiが、これまでの人生を振り返りながら、万感の想いを語り始める。ずっと、人生で何かを成し遂げたことがないと思いながら生きてきた。それでも、周りの人たちは自分のことを信じ続けてくれた。何かを返したい。結果を出したい。ずっとそう思いながら生きてきた。ここに来て初めて、みんなのおかげで、何者かになれたのかなと思えた。
そうしたKeiのMCを受け、会場全体から送られる温かな拍手。そしてRIRIKOが、「これからもずっと、あなたに、あなたにも、あなたにも、あなたにも、私にも、歌い続けます。届け続けます」「NELKEの音楽は鳴り続けます。これからも、見つけてしまった同士、素敵な空間をつくっていきましょう」と呼びかけ、本編ラストの「ロリポップサイダー」へ。感極まるように歌うRIRIKOの歌声と表情が忘れられない。

アンコールでは、「ステレオタイプヒロイック」を披露。最後に集合写真を撮影して終幕かと思いきや、シャッターが切られた瞬間、ステージ背面の幕が下り、2026年にソニーミュージックからメジャーデビューすることが発表された。いつまでも鳴り止むことのない熱い歓声と温かな拍手。RIRIKOは、「これからもあなたを絶対に一人にはしません」「まだまだ見たい景色がある。あなたの力が必要です」「まだまだNELKEは、NELKEのままで、あなたに歌い続けるよ!」と胸の内で溢れる想いを伝え、真のラストナンバー「Incarnation」が披露される。〈信じてみたいんだよ〉の後の歌詞を替えて「みんなを!」と叫ぶと、この日一番の歓声が沸き起こる。「これからもよろしく!」「まだ見てない景色、一緒に歩こう!」終盤にかけて、かつてなく極まるバンドサウンド。最後に届けられたRIRIKOの超ロングトーン。「また必ずお会いしましょう」「約束の日です、今日は」。彼女が最後に結んだ約束は、2026年、より大きなスケールの中で果たされてゆくことになるはず。万感のツアーファイナルにして、ここから始まる新章への期待で胸が高鳴る感涙の一夜だった。
セットリスト
1. 忘れないよ
2. 努力教信者
3. 燻る
4. Believe in Breeze
5. Rescue!!
6. 好きな人消えて
7. フィクション
8. 花図鑑
9. Stargazer
10. punk town
11. 生徒A
12. バイバイアクター
13. カレンデュラ
14. 裂いて
15. 春か未来
16. ロリポップサイダー
EN1. ステレオタイプヒロイック
EN2. Incarnation
<ライブ情報>
NELKE ONE MAN LIVE TOUR 2026 「VAST RESONANCE」
2026年4月3日(金)Zepp Nagoya(愛知県)
開場 / 18:00・開演 / 19:00
2026年4月11日(土)なんばHatch(大阪府)
開場 / 17:00・開演 / 18:00
2026年4月19日(日)札幌ペニーレーン(北海道)
開場 / 17:15・開演 / 18:00
2026年4月29日(水)仙台Rensa(宮城県)
開場 / 17:00・開演 / 18:00
2026年5月17日(日)DRUM LOGOS(福岡県)
開場 / 17:00・開演 / 18:00
2026年7月10日(金)SGC HALL ARIAKE(東京都)
開場 / 18:00・開演 / 19:00
NELKE OFFICIAL SITE https://nelke.aremond.com/
