水戸の新10番となった渡邉新太が意気込み[写真]=金田慎平

 半年間の戦いとなる明治安田J1百年構想リーグの開幕を控え、開幕イベントが開催された。史上初のJ1昇格を果たした水戸ホーリーホックからはFW渡邉新太が出席した。

 アルビレックス新潟でキャリアをスタートさせた渡邉は、大分トリニータへの移籍を経て2025年に水戸に加入。移籍1年目ながらJ2で31試合に出場すると13得点を記録。チームトップの得点数を記録し、見事にJ2優勝に貢献。チームを史上初のJ1に導く原動力の一人となった。

 大分加入1年目にはJ1でのプレー経験があるが、それ以外のキャリアはJ2で過ごしてきた渡邉。チームとして初のトップカテゴリーを戦う中「シーズンが始まって、J1の色々なチームとやっていきながら、本当にもっとJ1っていうのを優勝した瞬間よりは実感していくのかなと。クラブとして初めてこういう舞台に立ったというところも含めて、やっぱり誇らしい気持ちというか、歴史を変えてここに来たという思いはあります」と、まずは特別大会でありながらもトップカテゴリーのJ1を戦えることへの喜びを語った。

 チームは昇格を決めながらも監督交代を決断。ユースを含めて長年チームに携わってきた樹森大介監督を招へいし、J1仕様の戦い方へとシフトチェンジを図っている。「去年と違って、少しボールを持ちたいと監督から提示があって、そこはキャンプを含めてチャレンジしてきているところ」と語りながらも、新指揮官が掲げる「ボール保持」への挑戦を明かしつつも、水戸の伝統である粘り強さを忘れるつもりはない。「サッカーのベースとなるのはハードワークだったり球際だったりという部分だと思うし、ヴェルディさんはそこを城福監督のもと全員がやれるチーム。まずはそこで、戦術云々ありますけど、90分の間に戦術が全て出るわけではないし、球際、ハードワーク、切り替え、ゲーゲンプレスとか、そういう部分が占めると思うので、まずはそこでは絶対に負けないということは意識してやってます」と、と、J1の猛者たちを相手に、まずは“戦う姿勢”で上回ることを誓った。

 昇降格がない特別大会に関しては、初めてのJ1の戦いを控える水戸にとっては多くのことにチャレンジできる半年間となる。「本当にめちゃくちゃありがたいハーフシーズンだなっていうのは実感しています。ある程度このJ1という舞台に全員が慣れる必要もあるし、チャレンジする部分はありますけど、もちろん勝ちにはこだわってやっていきたいと思ってます」と、結果にこだわっていきながらも、チームとしてJ1仕様にアジャストしていきたい半年だとコメント。近年は、FC町田ゼルビア、ファジアーノ岡山とJ1初昇格のクラブが一定の結果を残しているが、「厳しいシーズンになるっていうのは間違いないです。町田さんのように大きいサイバー(エージェント)がついているわけでもないし、うまくいかないからビッグな選手を連れてこれるようなクラブではないので。厳しいシーズンになるのは間違いないですけど、自分たちが昨年やってきたことを継続してやるプラス、もっとクオリティを上げる。どこまでそれがいけるか正直わからないですけど、まずは自分たちの持っている力を全て出して、その結果が最後の順位に繋がっていると思います」と、状況や環境は違えど、しっかりとチームとしての戦い方にフォーカスしていきたいとした。

 チームに加わって2年目となる渡邉だが、水戸への思いは強い。特にJ1を初めて戦うファン・サポーターに関しては「僕も去年加入して、クラブとして悲願のJ1昇格が決まって、ユニフォームに様々な人の思いがあっての今シーズンだと思っています。茨城、特に鹿島さんとの試合に水戸の人たちは憧れというか、『J1で鹿島とやるのが夢』っていうのをよく耳にするし、そこだけで終わらずに勝てれば、また水戸としてもサッカーの知名度が上がるし、地域も盛り上がると思うので、鹿島戦は特に楽しみではあります」とコメント。史上初となる王者・鹿島アントラーズとのリーグ戦での“茨城ダービー”への思いを馳せた。さらに、「盛り上がりだったり、サッカーのレベルが上がるので、見に来たサポーターや初めて見に来る人も楽しいと思う」とJ1での戦いに言及。「それをこのシーズンだけで終わらせたくないし、根付かせるためにはJ1に定着しなきゃいけない。現状、茨城は鹿島さんのサポーターが多いですし、水戸市民でも鹿島サポーターという人もいます。そういう人たちを巻き込むためにも、J1に定着して、J1という景色を長く見せられる環境を作るのはすごく大事」と語る言葉の裏には、鹿島アントラーズという巨大な存在がある同じ県内で、水戸が新たな勢力図を描くという決意が透けて見える。

 自身は背番号も「10」に変更し、キャプテンにも就任。J1を知る選手の1人としてかかる期待は大きい。「まずはしっかりシーズン通してフルで出るっていうのを目標にしています」と語る渡邉。 「昨シーズンは少しケガで離脱してしまいましたし。本当にケガなくプレーできれば、具体的な数字っていうのは掲げてないですけど、チームに貢献することはできるかなと。数字だけではなく、前からのハードワークっていうのが自分の強みだと思う」と、まずは戦う姿勢で背中を見せていく構えだ。「思い出作りでJ1に行くわけじゃない」というクラブの総意を、誰よりも強くピッチで体現するために。悲願を叶えた喜びを、街の誇りという「日常」へ変えるための戦いが、いよいよ幕を開ける。

取材・文:菅野剛史(サッカーキング編集部)