三井住友カードは、決済ソリューションを提供する米Fiserv(ファイサーブ)と提携し、日本において中小事業者向けの決済サービス「Clover」を提供していくと発表した。Cloverは決済端末と様々な店舗向けアプリが一体となった「真のオールインワンサービス」で、法人向けデジタル総合金融サービスの「Trunk」と組み合わせることで、一気通貫のサービスを提供していくことを目指す。

  • 発表会に登壇した三井住友カードの大西幸彦社長(中央)、ビザ・ワールドワイド・ジャパンのシータン・キトニー社長(左)、FiservのMike Lyons CEO

    発表会に登壇した三井住友カードの大西幸彦社長(中央)、ビザ・ワールドワイド・ジャパンのシータン・キトニー社長(左)、FiservのMike Lyons CEO

三井住友カードの大西幸彦社長は、「中小事業者のDXニーズは大きな課題。TrunkとCloverの親和性は非常に高く、これまでにない便利でお得なサービスを提供していきたい」と述べ、今後5年間で25万台の販売目標を掲げた。

サービス開始は10月からで、具体的なサービスメニューや料金体系は今後公開される。また、「Clover」のブランド名で手の提供になるかも検討するという。

TrunkとCloverで中小店舗で店舗DX

Fiservは、世界最大級の決済ソリューションプロバイダーかつアクワイアラー。世界100カ国以上でビジネスを展開しており、加盟店数は600万店を超え、米国全体のカード処理件数の40%以上を扱っているとされる。Fiservの傘下にあるのがCloverで、中小事業者向けに決済を含めた店舗DXサービスを提供している。

  • Fiservの特徴。世界各国で様々な決済ソリューションを提供。その中で中小向けの事業がClover

    Fiservの特徴。世界各国で様々な決済ソリューションを提供。その中で中小向けの事業がClover

  • Cloverは世界12カ国で展開しており、日本が13カ国目。日本へ初の本格進出となる

    Cloverは世界12カ国で展開しており、日本が13カ国目。日本へ初の本格進出となる

特徴は、専用ハードウェアによる決済機能に加えて、店舗運営に必要なPOSや在庫管理、従業員管理、顧客管理などのシステムをオールインワンで提供できる点にある。これらを自由に組み合わせてられるため、店舗の規模やニーズに応じて、スモールスタートしてから事業拡大に合わせて機能を追加するといった柔軟な組み合わせが可能だ。

  • Cloverのハンディ端末

    Cloverのハンディ端末

  • タブレットタイプのPOS端末。これは米国仕様の端末だが、日本市場向けにはすべてローカライズする

    タブレットタイプのPOS端末。これは米国仕様の端末だが、日本市場向けにはすべてローカライズする

従来、店舗側は決済端末とは別に売上管理サービスに接続し、さらに在庫管理、顧客管理、スタッフ管理といったサービスを個別に契約して利用する必要があった。結果として、店舗側は複数の端末や管理画面を使い分けなければならず、IDやデータがバラバラに管理されることで、一元管理ができないなどの課題があった。

  • 様々な機能を豊富にトータルで提供するClover。端末とベース機能だけでなく買う主機能を拡張し、他のシステムとも連携できる

    様々な機能を豊富にトータルで提供するClover。端末とベース機能だけでなく買う主機能を拡張し、他のシステムとも連携できる

大西氏は、「色々なツールを導入した結果、管理が逆に煩雑になってしまったという声も聞いている」と指摘する。海外では、小さなカフェでも在庫管理から注文受け付け、決済に至るまでデジタル化した店舗運営を行うことが一般的になっており、日本でもさらに同様の進展を図るには、業務を集約させた店舗向けのトータルソリューションが必要だと判断した。

  • これまで、データが分散してツール管理も煩雑だった課題に対して、オールインワンソリューションで解決する

    これまで、データが分散してツール管理も煩雑だった課題に対して、オールインワンソリューションで解決する

steraとの棲み分けとTrunkとの連携

三井住友カードはこれまで、店舗向けのソリューションとして「stera」を提供し、決済端末のstera端末と決済ネットワークを提供してきた。2025年12月には47万台まで順調に拡大し、「非常に好評」だと大西社長は強調する。同社では、steraについて既存の店舗管理システムなどを導入済みの中規模以上の事業者向けだと位置づける一方、中小事業者向けにはすべてが含まれる「真のオールインワンパッケージ」であるCloverが最適だとしている。

  • 次世代決済プラットフォームとして提供されるstera。サブスク化や1.98%の決済手数料など、中小事業者向けのパッケージも用意したが、中小事業者の課題を解決するために新たにCloverを投入する

    次世代決済プラットフォームとして提供されるstera。サブスク化や1.98%の決済手数料など、中小事業者向けのパッケージも用意したが、中小事業者の課題を解決するために新たにCloverを投入する

  • Cloverは決済端末とPOSの機能だけでなく、注文や予約、顧客管理、レポートなど、「真のオールインワンパッケージ」

    Cloverは決済端末とPOSの機能だけでなく、注文や予約、顧客管理、レポートなど、「真のオールインワンパッケージ」

さらに、デジタル金融サービスの「Trunk」と組み合わせることがポイントとなる。TrunkとCloverを利用することで、Cloverが持つ「店舗の売り上げ」や「在庫情報」などといったデータと、Trunkの「口座・経理情報」が連携できるようになる。日々の売上がTrunkに入金され、人件費や仕入れといった支払いもTrunk口座から出金され、金融まで一気通貫で管理できるようになる。事業者側は、ダッシュボードを通じてお金の管理がトータルで行えるようになり、迅速な経営判断が可能になるとしている。

  • 直近でも請求書支払い機能を追加するなど順次サービスが強化されているが、「2026年度がTrunkの本格スタート」(大西社長)の年になる

    直近でも請求書支払い機能を追加するなど順次サービスが強化されているが、「2026年度がTrunkの本格スタート」(大西社長)の年になる

これによって、Cloverでは提案型ファイナンスを実現し、売上予測にもとづいた資金化や繁忙期には自動で与信枠を広げるなど資金繰りを最適化することも可能になるという。また、Trunkとの組み合わせで契約することになるため、TrunkとCloverの同時申し込みで初期費用を無料化する特典を提供したり、振込手数料などの各種手数料を減免するといった優遇も提供できる。大西社長は、「いわばTrunk店舗DX」だと話す。

  • 拡張性が高く、スモールスタートしつつ、サービスを拡大したらその都度機能を追加できる

    拡張性が高く、スモールスタートしつつ、サービスを拡大したらその都度機能を追加できる

  • 拡張しても1つのIDですべてを管理できる

    拡張しても1つのIDですべてを管理できる

Cloverでは、今回の取り組みにあわせてローカライズ化も進め、日本の商慣習などに合わせた回収に加え、日本独自の店舗管理サービスなどにも対応していく方針。端末自体も、日本独自のSuicaなどの電子マネーやQRコード決済にも対応していく。また、10月の時点では複数の端末をリリースし、様々なニーズに回答していきたい考え。

  • Trunkとの組み合わせにより、経営が見える化し、提案型ファイナンスやコスト削減などの効果も

    Trunkとの組み合わせにより、経営が見える化し、提案型ファイナンスやコスト削減などの効果も

steraとCloverは、事業者のキボヤキゾンシステムの状況など、ニーズに応じて棲み分けを図る考えで、steraの中小事業者向けのサブスクリプションモデルなどは継続し、事業者側の選択に委ねるとしているが、コストパフォーマンス面ではCloverの方が有利になる模様だ。

現時点で、具体的な利用料金、手数料などは公表されていないが、三井住友カードではオールインワンパッケージにより、他社のソリューションに比べてもトータルではメリットのあるような料金体系を実現する。

  • Fiservとの提携によって、中小事業者の店舗運営から経営まですべてをデジタル化することが狙い

    Fiservとの提携によって、中小事業者の店舗運営から経営まですべてをデジタル化することが狙い

大西社長は、国内400万社以上と言われる中小事業者のうち、半数を占める「飲食」や「小売」といった個人向けの店舗商売の事業者をメインターゲットにし、ワンパッケージで店舗運営を完結させたいニーズに応えていきたい考えだ。