コヴィディエンジャパンは1月16日、「足の不調と疾患/下肢静脈瘤に関する意識調査2025」の結果を発表した。調査は2025年10月14日~10月15日、全国の30代以上の男女60,000人を対象にインターネットで行われた。
下肢静脈瘤とは
下肢静脈瘤は足の血管の病気で、静脈瘤とは血管(静脈)がコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のこと。足の静脈にある弁の機能が何らかの原因で低下することで血液が逆流し、うっ滞(血流などが静脈内などに停滞した状態)する。静脈の中にある血液の逆流を防ぐための弁が壊れ、血液が下肢に溜まってしまうことで、足のだるさやむくみなどの症状が慢性的に起こる。重症化すると湿疹や色素沈着などがあらわれ、さらに悪化すると潰瘍になる場合もある。日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もある。
主なリスク要因として、出産経験、遺伝性、立ち仕事、肥満が挙げられる。出産経験については、出産経験のある女性の2人に1人が発症するというデータがある。妊娠時にはホルモンの影響により静脈が柔らかくなって弁が壊れやすくなるため発症しやすくなると言われている。遺伝性については、両親とも下肢静脈瘤の場合には将来的にはその子供も90%発症するというデータがある。立ち仕事では1ヶ所に立ってあまり動かない仕事に従事する人は発症しやすく、特に1日8時間以上立っている人は重症化しやすい傾向にある。肥満は、下肢静脈瘤を悪化させる因子の1つとされている。
下肢静脈瘤が疑われる症状を有する人の率
「下肢静脈瘤」が疑われる症状を有する人(以下「症状を有する人」)は、全体の9.1%。男性だけでみると5.3%だった一方、女性では12.5%と有症率は女性の方が高い。
下肢静脈瘤の認知状況
「下肢静脈瘤」の認知度は19.0%で前回2021年調査(22.4%)からは下がって低い数字に。症状を有する人の認知度も前回(49.1%)から2pt下がって47.3%だった。
医師への相談状況
症状を有する人で医師に相談したことがある人(「治療を受けたことがある」人と「相談したことがある」人の合算)は29.5%にとどまり、症状が気になっていても医師に相談することなく、そのまま一人で抱えてしまっている現状が伺える。ただし、男性と女性で違う傾向がみられ、男性では医師に相談したことがある人が40.4%と4割を超え、一方女性では25.3%と4人に3人は相談に行っていない。
下肢静脈瘤の症状が続いた期間
下肢静脈瘤が疑われる症状が続いている期間は、「3年~5年未満」17.7%、「5年~10年未満」17.4%、10年以上22.4%で足し上げると3年以上が57.5%を占める結果に。さらに「1年~3年未満」の19.9%を加えると、77.4%が1年以上症状を抱えていることになる。
症状があったのに受診したことがない理由
症状を有するのに医師に相談したり、治療を受けたりしたことがない人の理由として最も多かったのは「日常生活での不便が特にないから」で57.1%が理由にあげている。2番目は34.3%で「放っておいても、改善する、または悪化しないと思ったから」、3番目は32.7%で「なんとなく面倒だから」が続く。
下肢静脈瘤について知っていること
症状を有していて、かつ下肢静脈瘤について知っているか、または聞いたことがある人でも「自然に治ってしまうことはなく、通常ゆっくりではあっても進行していく」ことを知る人は29.6%しかおらず、「病院で治療できる」ことを知っている人も32.0%にとどまる。つまり下肢静脈瘤には治療の必要性があること、そして治療できることを知っている人は少ない。
日常の困りごと
症状があることにより日常生活で困ることや不満に思うこととしては「人前で足を出すのが恥ずかしい」46.3%、「老けてみえる」46.3%、「長時間立っているような用事があると疲れきってしまう」44.3%など様々。症状を病院で治療することによって、症状があることによって感じる困りごとや不満が解決するとしたら今後病院で治療を受けたいという人は62.8%を占める。
症状に対して思うこと
下肢静脈瘤が疑われる症状について「悩んでいる」という人は症状を有する人全体で39.8%、「原因や病名を調べたい」という人が47.0%、「病院に行って相談したい」という人が31.4%だった。
これを30代男性だけでみると「悩んでいる」という人が66.2%、「原因や病名を調べたい」という人が62.3%、「病院に行って相談したい」という人が55.8%となる。その他にも「症状について人に見られたくない」が全体45.8%に対し30代男性54.5%、「医療機関や治療方法について調べたい」が全体40.4%に対し30代男性54.5%など、有する症状に対する意識について尋ねた本質問の全ての項目において30代男性が全体より大幅に高い数字を示した。
症状による困りごと
症状に関連して日常生活で困っていることや不満に思っていることについての質問でも、30代男性は「自分が着たいと思う洋服を着にくい」46.8%(全体23.7%)、「服装を選択する際、症状が目立たないように気にかける」64.9%(全体38.8%)といったお洒落する際の困りごとや、「自分の容姿に自信がもてない」51.9%(全体34.2%)、「知人などから足の症状について指摘されたことがある」54.5%(全体19.6%)、「不健康、病気っぽく見られるのではないかと思う」55.8%(全体32.1%)といった見た目に関する不安などでも高い数字を示す。その他、「やりたいアウトドアやスポーツがしにくい」46.8%(全体15.2%)、「外出や歩くのが億劫になる、気が進まない」46.8%(全体17.8%)など行動における不便や、「足がだるかったり不快感もあり、夜すっきり眠れない」54.5%(全体27.5%)、「朝方から頻繁に足がつることもあり、困る」51.9%(全体32.3%)など身体のしんどさでも軒並み数字が高い。
下肢静脈瘤の放置リスクと治療の選択肢
調査結果を受け、お茶の水血管外科クリニック 院長・広川雅之氏は次のようにコメントしている。
下肢静脈瘤は、足のだるさやむくみ、こむら返りなど、日常生活に影響を及ぼす症状を引き起こし、放置すると湿疹や色素沈着などの皮膚炎を合併し、さらにうっ滞性潰瘍へ進行することもある。特に女性では見た目も気になるところ。しかし、調査結果からは、症状を抱えていながら医療機関に相談していない人が多いことが明らかになった。理由として、「放っておいても悪化しないと思った」、「体質だから仕方がない」といった声が多く、だるさやむくみなどの症状は徐々に進行するため、日常的に症状に慣れてしまい「病気」という自覚が薄れやすいことも背景にあるようだ。しかし、こうした症状を放置することで、気付かぬうちに心身ともに負担がかかり、生活の質(QOL)が下がってしまうことは少なくない。
しかし、下肢静脈瘤は決して「我慢するしかない病気」ではない。近年は医療技術が大きく進歩し、高周波やレーザー治療、さらには医療用接着材による塞栓術(グルー治療)など、より低侵襲で日帰りが可能な血管内治療が保険診療となっている。血管内治療は、痛みやダウンタイムが少ないため、仕事や家庭の都合に合わせて治療を受けることができるという。こうした選択肢が十分に知られておらず、「治療は大変」、「入院が必要」、「何回も通院しなければいけない」と誤解されていることが大きな課題となっている。そもそも、今回の調査結果にもあったように、症状を有する人ですら病院で治療できることを大半の人が知らない。
下肢静脈瘤は、適切な診断と治療によって治すことができる病気であり、治療によって見た目の悩みや身体の不快感から解放され、これまで気付かぬうちに損なわれていたQOLが向上する。実際に、治療を受けた患者からは「もっと早く相談していれば良かった」という声も多く聞かれるという。
何年も症状を放置している人が多い現状だが、早めに治療を受ければ、その分早く快適な生活を取り戻すことができる。現在は痛みや負担の少ない治療があるため、気になる症状がある場合は一度専門の医療機関に相談してほしいと呼びかけている。








