
創業以来の伝統を受け継いだ製法と精神に加え、新しい技術も融合させた進化を歩みながらも、変わらぬシルエットのまま、現在も新たな顧客へとスポーツカーのあるべき楽しさを提供しているモーガンスポーツカーズ。英国クラフツマンシップのシンボルともいえるモーガンの魅力に取り憑かれた愛好家たちによるクラブ組織が”モーガン・クラブ・ニッポン”(MCN)だ。
【画像】毎年恒例のラリーイベントに参加した、モーガンをはじめとした多くのクラシックカーとオーナーたち(写真48点)
MCNでは、クラブメンバーの親睦の場としてツーリングや懇親会などを定期開催するなど、積極的に愛車との対話の場を作ってきた。そんな彼らのクラブイベントのひとつとして1990年に始まったのがニューイヤーラリーである。
他車種に乗るオーナーたちとの懇親の場になればと、2007年にはクラブメンバー以外にもその門戸を開き、MCN ニューイヤーラリー(MCN NYR)として開催している。今回で36回を迎え、我が国でのラリーイベントの中でも長寿イベントへのひとつとなったMCN NYRであるが、彼らクラブメンバー有志に加えてボランティアのスタッフたち、イベントを支える仲間たちの存在も大きい。
メイン会場となるホテル日航成田の占有パーキングのキャパシティによる台数制限もあることから、受け入れ台数は50台が上限となっているが、関東近郊のクラシックカーオーナーたちの新年初顔合わせでもあり、多くのファンが楽しみにしている新年会でもある。
本年も早朝からクラブメンバーたちの各世代のモーガンを筆頭に、さまざまな国籍年式のクラシックカーたちが現れた。受付で受け取ったコマ図と呼ばれるルートマップには、曲がり角などのポイントまでの距離の表記はなく、目標物のみの表記というのも、MCN NYRの特徴のひとつ。あえて、その場にあることを、エントラントそれぞれが、その場で確認する事を主眼としているのも他のラリーイベントとはまた違った魅力でもあるのだ。とはいえ間違えやすいポイントや、道路状態の悪い箇所などの注意事項は、しっかりとドライバーズミーティングで伝えられる。
ドライバーズミーティングの後は、いよいよスタートであるが、36年間拠点となる日航ホテル成田を軸にしながら毎回飽きさせないコースを設定するのも、MCNのメンバーの知恵の見せ所である。
成田市周辺には緑豊かなこともあり、市街地であることを感じさせないルート設定で気持ち良いドライブが楽しめる。そこにタイム計測が競技として盛り込まれる。数カ所設けられたチェックポイント(CP)を、それぞれ指定された速度で3つのCPとゴールまでの所要時間に近づけて走行、その時間の誤差から点数を配分するのだ。
ルートにある道の駅での”お買い物競争”も採点対象とし、さらにコース上の何処かでは意地悪くブラインドコーナーの陰に隠れているスピードガンによる速度計測も、もちろん採点に関わってくるので気は抜けない。
3年前からはCPのひとつである”社会福祉法人まごころ”で、自立就労を目指す利用者さんたちが、強風による寒さのなか、旗を手にエントラントを応援してくれている。また長年にわたり成田市を舞台とした”MCN NYR”開催への感謝として、成田市長小泉一成氏による代表エントラントへの花束贈呈もあり、地域と自治体、参加者たちが通じ合える嬉しい場面も見られた。
そうした道中約60kmの道中を経てホテルに戻ってきたエントラントたちを待ち受けているのが、オートテストだ。パイロンで仕切られたコースをスラロームし、バックで縦列駐車しフィニッシュラインを目指すのだが、途中に”輪投げ”もありゲーム感覚を高める。
もちろん、その様子は自分の順番を待つエントラントたちの見学会となる。客観的に見ているときは「アプローチは、もう少し右から」「いや、そこはもう少し減速したほうが…」などいえるが、実際に自分の番になるとなかなか思うようにいかないことにも面白さがある。ちなみに輪投げは、一人の成功者もいない難しさであった。
すべての競技が終了し採点を待つ間はホテル会場にて昼食会である。MCN NYRは食事のクオリティーの高さも人気のひとつ。そして、その流れからの表彰式もエントラントの笑顔に満ち溢れ、新年最初のクラシックカーラリーはお開きとなった。
文:奥村純一 写真:奥村純一、沼田亨
Words: Junichi OKUMURA Photography: Junichi OKUMURA / Toru NUMATA