ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアムが、冬に注意したい「モーニングサージ」について解説している。

心筋梗塞の死亡者数、冬に急増

厚生労働省の集計によると、心筋梗塞の死亡者数は冬(12月から2月)に急増するというデータがある。特に起床後の朝に血圧が急激に上がる「モーニングサージ」が起こることで心筋梗塞を発症している人が多く、実際起床後である朝8時~10時が発症数が最も多い時間になっている。

同コンソーシアムは、「モーニングサージ」の原因や対策について、そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック副院長の工藤孝文氏に話を聞いている。

  • 急性心筋梗塞の時間帯別発症頻度

    急性心筋梗塞の時間帯別発症頻度

冬の朝に要注意「モーニングサージ」とは

血圧が瞬間的に急上昇することを、「血圧サージ」という。血圧は1日を通じて一定ではなく変動するが、朝の起床時などに急激に血圧が上がる現象をモーニングサージと呼ぶ。朝だけ血圧が高い人は、朝に血圧が正常な人より心筋梗塞や脳卒中などにかかるリスクが2.47倍に高まるという報告もあり、冬に特に気を付けたい現象の1つとされる。

モーニングサージは、朝、特に寝起きは、交感神経が一気に優位になり血圧が上がりやすく、冬場はそれに加えて「布団の中」と「室内」の大きな寒暖差によって血管が収縮し、血圧がさらに上昇するために生じる。特に普段から血圧が高めの人は、起床時の血圧もより高くなりやすいため注意が必要となる。また、自律神経の乱れによって血管が収縮しやすくなることも、モーニングサージの一因とされている。

「モーニングサージ」が起こりやすい人とは?

高齢者やアルコールを多く飲む人等は要注意。若い人の血管は、やわらかいゴムホースのように弾力があるが、高齢になると、硬いゴムのように徐々に弾力性が低下していく。血管が硬くなり、血流が悪くなることで、ちょっとした刺激でも血圧が急激に上がりやすくなる。さらに、高齢者になると、自律神経の働きも弱くなるため、血管の収縮・拡張の調整がうまくできず、急激な血圧上昇につながりやすくなる。年末年始などは、生活リズムが乱れやすく、自律神経が乱れやすい時期であるため、高齢者に限らず、若い人も注意する必要がある。モーニングサージをチェックする簡単な方法は、朝起きて1時間以内に血圧を測ること。上が130mmHg以上または下が80mmHg以上のどちらかを超える場合は、モーニングサージの可能性がある。

  • 高齢者(65歳以上)、アルコールを多く飲む人、血糖値が高い人、コレステロール値が高い人

    高齢者(65歳以上)、アルコールを多く飲む人、血糖値が高い人、コレステロール値が高い人

「モーニングサージ」の予防策

起床時の対策として「ダッシュ体操」が紹介されている。布団の中で横になった状態で両腕を曲げて脇にぴったりとくっつけ、腕をふるようにこすりつける。さらに、膝を少し曲げて内またに寄せ、小刻みに走る(ダッシュする)ような動作で深呼吸をしながら、体全体を動かす。ダッシュ体操により、朝布団を出る前に数十秒で体温が上昇する。この運動によりモーニングサージが起こる原因である「大きな寒暖差」を予防することができる。

  • ダッシュ体操

    ダッシュ体操

「大きな寒暖差」を防ぐという観点では、就寝時に室内を適切な温度(20℃から22℃)に保つことも大切。起床時の室温がこの範囲にあると、体温の急激な低下を防ぐことができる。体温を下げないために、エアコンのタイマーを設定し、起床前に部屋を温めておくことも効果的とされる。また、就寝時に靴下を履くことで足元の冷えを防ぐことが大切で、血圧の急上昇リスクを下げることにもつながる。

  • 就寝

    就寝

モーニングサージは高血圧の一種。そのため、日常から、高血圧対策と同様の食事をすることが、モーニングサージの予防につながる。その食事の中で、毎日意識すべき栄養素の1つが「血圧を下げる」「血液をサラサラにする」効果があると言われている「オメガ3系脂肪酸」。オメガ3を多く含む食品は特にサバなどの青魚が知られているが、続けやすく手軽なものとして「アマニ油」が挙げられる。

アマニ油は亜麻という植物の種子から抽出される天然のオイル。オメガ3の1つであるα‐リノレン酸が豊富であることが知られている。アマニ油はクセがなくて摂り易く、小さじ1杯程度でオメガ3の1日の摂取目安量を摂ることができる。朝食の味噌汁に入れたり、サラダのドレッシングの代わりにしたりと毎日の食事に取り入れやすいのもポイントだ。さらに、血圧対策としては「カリウム」が多い食材(ほうれんそう、バナナなど)の摂取も推奨されている。