不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」は12月17日、「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」を開催。LIFULL HOME'S総研 副所長兼チーフアナリストの中山登志朗氏が、2026年の注目トピックスに「卒・タワマン所有主義」「こちくら郊外」「新築氷河期」「0LDK」「住まい探しもAI相談」の5つを取り上げた。

  • LIFULL HOME'S総研 副所長 兼 チーフアナリスト 中山登志朗氏

    LIFULL HOME'S総研 副所長 兼 チーフアナリスト 中山登志朗氏

トレンドワード①「卒・タワマン所有主義」

「卒・タワマン所有主義」とは、ステータスとしてのタワーマンション所有にこだわらず、市場価格が高騰している好機に売却し、資産を「現金化(利益確定)」した上で、よりコストパフォーマンスの高い物件に住み替える考え方のこと。

  • 「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

    「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

都心部のタワマン価格は高騰し続け、修繕積立金や管理費といったランニングコストも年々上昇している。これまで都心のタワマン購入は「住宅すごろく」のゴールのひとつとされてきたが、昨今はタワマンの売却を選択する人が増加。現金化して資産にし、東京23区においてはタワマンよりもコスパの高い「億超え一戸建て」や「高級賃貸」に住み替える人が出てきたという。物件価格の高騰を背景に、従来の「都心・駅近・高層階」から「自分らしい」暮らしにシフトする動きが強まり始めているという。

トレンドワード②「こちくら郊外」

「こちくら郊外」とは、グリーン車や特急・新幹線利用による快適な通勤をしながら“心地(ここち)よい暮らし”を得られる郊外エリアのことを意味する造語だ。

  • 「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

    「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

コロナ禍以降テレワークは定着しているものの、大企業を中心にテレワークの実施頻度は減少し、出社回帰の動きが広がっている。在来線を使った通勤では移動時間や快適性の制約があったが、鉄道各社はそうした課題解消に向けて通勤時間帯の「特急・着席有料サービス」の取り組みを開始。通勤は「時間」より「質」へと変わり、都心から離れた家賃の安いエリアを選択する人が増えているそうだ。

「座って通勤できる快適さ」と「広さ・自然の豊かさ・コストの安さ」を両立したい人にとって、「こちくら郊外」は主要な選択肢のひとつになるのではないかとしている。

トレンドワード③「新築氷河期」

「新築氷河期」とは、首都圏の新築マンション価格が一般消費者には手が届かない水準まで高騰し、供給数も減少して選択肢が著しく狭まっている状況を意味する。

  • 「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

    「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

LIFULL HOME'S総研の調査によると、3年以内に新築マンションを購入できた人はわずか3.6%のみ。そもそも9割のユーザーは新築マンション購入を考えていないという結果が出たそうだ。住み替えをやめた人も2割で、その理由は「価格が高すぎる」が断トツで多い。

この厳しい住宅市場を生き抜くには、購入を急がず自由度の高い賃貸に住み続けること、築年数が古くても管理状態の良い物件に注目すること、ブランド駅を避けて同路線の数駅隣で新築を探す「ずらし駅」戦略などが選択肢にあがるという。また、毎月の支払額を抑える35年以上の超長期ローンを利用するのも、「新築氷河期」を乗り越える現実策とのことだ。

トレンドワード④「0LDK」

「0LDK」とは、住まいを細かく区切らず、固定壁などのデッドスペースを排除し、ひとつの大きな空間として暮らすスタイルのこと。中古マンションをリノベーションして壁を取り払い、間取りの工夫や稼働家具の活用などにより広々とした空間を演出できるのが特徴だ。

  • 「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

    「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

現在、首都圏のマンション市場では「専有面積の縮小化」が進んでいるという。新築マンションだけでなく、築浅中古マンションにおいても専有面積は60.3㎡以下となり、縮小傾向が強まっている。

物理的な平米数が小さくなると、どうしても居室一つひとつが狭くなってしまう。そこで登場した画期的な選択肢が、限られた面積を最大活用できる「0LDK」だ。これにより駅からの距離や築年数を妥協するのではなく、利便性の高い立地で内装や空間の質を重視できるようになる。また、寝室やワークスペース、リビングの配分を家具や稼働間仕切りで自由に変更できるため、ライフステージに合わせて「間取りを人に合わせる」ことが可能になるそうだ。

トレンドワード⑤「住まい探しもAI相談」

現在、ChatGPTをはじめとする生成AIは、日常のツールとして定着している。特に10代の利用率は6割を超え、「悩みを相談できる相手」として身近な存在になりつつある。また、若年層の約3割が商品選びをする際に生成AIを活用する一方で、金融・不動産においてはまだ少ない状況だという。

しかし、生成AIによる物件問い合わせや物件説明を「利用したい」と考える人は5割を超えることから、今後は住み替えなどの大きなライフイベントでも生成AIの活用が増えていくと考えているそうだ。

  • 「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

    「LIFULL HOME'S 2026年トレンド発表会」より

LIFULLでも、ポータルサイトに代わる統合型AIエージェントとして「LIFULL AI」を発表。従来の「自ら条件を指定して探す」スタイルから、AIが個人の文脈や潜在的な望みを理解し、パーソナライズされた最適解を「受け取る」スタイルへとシフトチェンジする。中山氏は「住まい探しの未来はここから始まる」とコメントした。