今年も残り1カ月を切りました。ご存じの通りNISA枠は年次で設定されており、枠に残りがあっても年をまたげばリセットされてしまいます。手元にキャッシュがある人にとっては、年内のうちにどのファンドを買うかを考えるタイミングといえるでしょう。
また、投資信託は店頭の商品と違って「年末ギリギリに買えばOK」というわけにはいきません。実際には、あと10日間ほどがファンド購入のリミットになるケースもあります。
とはいえ、限られた時間の中で一から銘柄探しをするのは大変です。「長期で保有する前提で、候補になりそうなファンドが知りたい」という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、SBI証券投資情報部のシニア・ファンドアナリスト・川上雅人さんに、NISA枠の年内活用を考えるうえで候補になりそうな「MVP候補ファンド」を紹介してもらいます。
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年内NISA使い切り!? 2025年 オルカンを超越したファンドは?
MLBやNPBでMVP選手が発表される時期になりました。MLBでは大谷選手らが、NPBではソフトバンク勢がMVPを獲得しましたが、投資の世界にも「今年のMVP」のような存在感を示したファンドがあります。今回は、それら注目銘柄を紹介します。
11月の世界の株式市場は調整局面となっていましたが、上昇局面といえる10月末までの2025年の10ヵ月リターンに着目してランキングしてみました。SBI証券取扱いでNISAで買える2025年のMVP候補ファンドの一覧が図表1となります。
参考としてNISAで人気のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)と比較しました。
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図表1 NISAで買える 2025年MVP候補ファンドは? ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成、NISA・成長投資枠対象ファンド(SBI証券ネット取り扱い、運用期間3年以上)を10ヵ月リターン順に表示(2025年10月末基準)、上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
2025年のMVP候補ファンド9本は、10ヵ月リターンでオルカンを33%以上も上回った、2025年のオルカンを超越したファンドといえます。
NISA枠については、受渡ベース(例えば、オルカンは購入や売却の取引が成立した約定日から4営業日後が決済をする受渡日となり、受渡日はファンドによって異なります。)となりますので、ファンドで2025年NISA枠の年内使い切りを目指すなら、12月15日の週までに約定しておくことをおすすめします。
以下、2025年 オルカンを超越したファンドの特徴についてコメントします。
2025年 MVP候補ファンドの特徴は?
9位 ソフトバンク&SBIグループ株式ファンド
ソフトバンクグループ、SBIホールディングス及びそれらのグループ関連企業の株式に投資しているファンドです。組入上位銘柄は、ソフトバンクグループ、SBIホールディングス、LINEヤフー、ソフトバンク、ZOZOなどとなっており、組入銘柄数は16銘柄です(※)。2025年10月まで急上昇したソフトバンクグループの組入比率が約20%となっています。ソフトバンクですので、偶然にもNPBのMVPとつながりました。
8位 三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)
国内の金価格(国内ETFである純金上場信託(1540))の値動きをとらえるファンドのため、申込受付日と約定日が同じファンドとなります。このファンドは金価格(海外の金ETF)に連動を目指す為替ヘッジなしのファンドと中長期的には似たような値動きです。金(ゴールド)ファンドは3年、5年リターンでもオルカンを上回る好成績となっています。
7位 情報エレクトロニクスファンド
電気機器、精密機器などエレクトロニクスに関連する企業群や情報ソフトサービス、通信など情報通信に関連する企業群の株式を主要投資対象としているファンドです。組入上位銘柄はソフトバンクグループ、フジクラ、古河電気工業、東京エレクトロン、富士通などとなっており、組入銘柄数は43銘柄です(※)。特定業種の成長株中心のポートフォリオのため標準偏差(値動きの大きさを示す指標。数値が小さいほど値動きが安定)は大きいファンドですが、3年、5年リターンでもバランス良く好成績です。
6位 中欧株式ファンド
ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアを中心に、それらの周辺諸国の株式等に投資しているファンドです。投資国比率は、ポーランド76.4%、ハンガリー11.0%、チェコ4.1%となっています(※)。安定した経済成長などを背景に投資している3ヵ国の株価指数は好パフォーマンスとなっていることから、3年でも好成績のファンドです。
5位 カレラ 日本小型株式ファンド
日本の小型株式に投資し、事業内容、成長性、収益性、財務健全性などを勘案して銘柄を厳選しているファンドです。組入上位銘柄は三菱化工機、東京計器、寺崎電気産業、ダイハツインフィニアース、中国塗料などとなっており、組入銘柄数は32銘柄です(※)。造船、防衛、半導体といった成長シナリオに着目した小型株の組入れが特徴で、直近の組入銘柄はややテーマに偏りがありますが、3年リターンでも好成績です。
4位 eMAXIS Neo クリーンテック
日本を含む世界各国のクリーンテクノロジー関連企業の株式に投資を行うファンドで、S&P Kensho Cleantech Index(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果を目指しています。
組入上位銘柄は、米国の電力機器メーカーのブルーム・エナジー、再生可能エネルギー・ストレージ向けエネルギー貯蔵・最適化ソフトウェアの提供を手がける米国のフルエンス・エナジー、カナダを拠点として燃料電池製品の製造等を手掛けるバラード・パワー・システムズ、公益事業規模・マイクログリッド・商業・産業向けの革新的な亜鉛ベースのエネルギー貯蔵ソリューションを設計・開発・製造・販売する米国のイオス・エナジー・エンタープライゼス、電気バランスシステム(EBOS)ソリューション・コンポーネントの提供を手がける米国のショウルズテクノロジーなどとなっており、組入銘柄数は30銘柄です(※)。
2024年までは苦戦していましたが、2025年からのAI普及などによる電力需要の拡大で好成績です。標準偏差はかなり大きいファンドです。
3位 インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(愛称:世カエル)
日本を含む世界各国のブロックチェーン関連株式に投資するファンドで、コインシェアーズ・ブロックチェーン・グローバル・エクイティ・インデックス(円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指しています。
ブロックチェーンとはブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、鎖(チェーン)のように連結して保管する金融取引履歴などで利用される技術のことで、ほとんどの暗号資産でブロックチェーン技術が使われています。
組入上位銘柄は、米国が事業基盤のビットコインマイニング企業のサイファー・マイニング、オーストラリアに拠点を置くビットコインマイニング企業のアイレン、再生可能エネルギーによるビットコインマイニング企業のグリーンスパーク、台湾セミコンダクター・マニュファクチュアリング、北米最大級の規模を誇るビットコインマイニング企業のコア・サイエンティフィックなどとなっており、組入銘柄数は44銘柄です(※)。ビットコイン価格の上昇などから3年、5年でも好成績ですが、標準偏差はかなり大きくなっています。
2位 厳選ジャパン
優れた経営者の質・ビジョン、新しいビジネスモデル等により企業価値の増大が期待できる企業の中から、20銘柄程度に厳選して投資しているファンドです。組入上位銘柄はフジクラ、コナミグループ、富士電機、イビデン、日本電気などとなっており、組入銘柄数は23銘柄です(※)。23銘柄への集中投資ですが値動きの振れ幅を示す標準偏差(3年)はそれほど大きくなく、3年リターンでも好成績です。
1位 ブラックロック・ゴールド・ファンド
10ヵ月リターンで1位のブラックロック・ゴールド・ファンドは、南アフリカ・オーストラリア・カナダ・アメリカ等の金鉱企業の株式(金鉱株)に投資を行うファンドです。金鉱株とは金の採掘や精錬を事業とする企業です。金鉱株の株価と金価格は長期では同じ方向に動く傾向が見られ、金価格の上昇や業績拡大への期待から3年でも好成績となっていますが、値動きの振れ幅を示す標準偏差が大きいのが特徴といえます。
国内株の存在感あり、分散投資の選択肢として検討を
上位9本のうち国内株式ファンドが4本となり、MLBとNPBのMVPと同様に日本が存在感を示しました。
過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありませんが、大谷選手のように過去の実績が将来の活躍につながる可能性もあります。図表2では2025年 MVP候補ファンドをパフォーマンス比較しました。
2025年のNISA枠消化などで新たなファンドを検討するなら、2025年 オルカンを超越したMVP候補ファンドへの分散投資も一考と思われます。
(※)ポートフォリオの情報は2025年10月末基準。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。
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図表2 2025年 MVPファンド候補(10ヵ月リターン上位5本)のパフォーマンス比較 (2024/12/30~2025/11/26 2024/12/30=100) ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は一部略称または愛称)、上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
掲載されたファンドの情報はこちら
『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。
