年末年始は、保険や通信費だけでなく「投資環境」を見直すのに最適なタイミングだ。新NISAのスタートから約2年が経ち、あらためて自分に合った使い勝手のよい証券会社を選び直したいと考える人もいるだろう。

代表的な選択肢が、ネット証券大手のSBI証券と楽天証券の2社である。一見似ている両社だが、比べてみると違いは多い。本稿では両社を4つの点から比較し、利用者に応じた最適な選び方を整理する。

ネット証券選びで押さえるべき4つの視点

1.ポイント還元: 長期保有こそ差が出る

まず注目したいのは、ポイント還元率だ。特に、長期で保有するほど還元率がポイントの貯まりやすさに影響する。

SBI証券は、クレカ積立でVポイントが最大4%付与される(三井住友カード プラチナプリファード、年間500万円以上利用時)。また、Oliveアカウントと連携してポイント統合でき、連携によってタッチ決済時に+2%が上乗せされる。

投資信託の月間平均保有金額に応じてポイントがもらえる「投信マイレージ」も年0.1%〜0.25%と高水準だ(一部指定銘柄を除く)。ポイントは、Vポイント、Pontaポイント、dポイント、PayPayポイント、JALのマイルの5種類から選べる。

一方、楽天証券のクレカ積立では0.5%〜最大2%が還元される。カードの種類によって付与率が異なり、一般カードでは0.5%、楽天ブラックカードでは2%だ。「投信残高ポイント」の還元率は低めで、年0.017%〜0.05%程度。対象となる銘柄が限られており、銘柄ごとに還元率にも差がある。

ただし、SPU(スーパーポイントアッププログラム)と連携しているため、楽天経済圏でまとめて利用すれば、買い物の際の還元率アップにつながる。

比較のポイント
ポイントの使い道は楽天ポイントが限定的である一方、SBI証券で得られるポイントは利用シーンが広い。また、還元率もSBI証券のほうが高い水準にある。ただし楽天ポイントは、使える場面は限られるもののEC(楽天市場)で即利用でき、わかりやすい点が強みだ。

2.アプリ操作性: 積立投資の”続けやすさ”で選ぶ

SBI証券の「かんたん積立アプリ」は投資信託の積立に特化したアプリで、積立設定や変更、目標管理がアプリ内で完結する。クレカ積立を含め、初心者でも直感的に操作できる設計だ。この11月にはアプリがリニューアルし、UI(ユーザーインターフェース)も改善した。

楽天証券の「iGrow」アプリは、初めての人でも使いやすく資産づくりを安心して行えるアプリとして評価されており、ナイル社が選ぶ「アプリブ Best App Award 2025」の「スタートアップ部門」にも入賞した。楽天ポイントとシームレスに連携している点も強みだ。

比較のポイント
現段階では楽天証券の「iGrow」に軍配があがるだろう。一方、SBI証券は「かんたん積立アプリ」において、2025年12月には投資信託の定期売却機能の拡充(定率売却機能の追加およびNISA対応)を予定しており、今後も要注目のアプリであることは、依然として変わりはない。

3.商品ラインアップ・提案力: 投資の”幅”で差が出る

どのような商品を選べるかも重要なポイントだ。扱う商品が豊富なほど、自分に合った投資スタイルを組み立てやすい。

SBI証券は、海外ETF / 新興国株 / テーマ株 / 債券など多彩な選択肢がある。途中で投資スタイルが変化しても、それに対応できる“総合力”が魅力だ。

一方、楽天証券は投資信託について主要ファンドを網羅している。人気の「S&P500」や「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))」なども購入可能だ。

比較のポイント
今後、投資スタイルを広げたいならSBI証券が心強い。最近でも他社に先駆けて米国ETFの4銘柄(BMNU, NBIL, SPYI, QQQI)を追加している。もしラインアップにない場合でも、声が上がればいち早く対応する機敏さもあるし、安定感を求める投資スタイルであるなら、債券が豊富であることもメリットとなるだろう。ただ、投信一本で行くなら楽天証券もありだろう。

4.会社の安定性: NISAを預ける”数十年単位”の安心感

SBI証券を擁するSBIグループは、証券・銀行・保険の連携により安定した金融のエコシステムを築いている。財務基盤も黒字を維持しており、M&Aにも積極的に取り組むなど、“攻めの安定感”がある。

一方、楽天証券を擁する楽天グループは証券事業単体では黒字を確保しており、親会社の携帯電話事業も直近では損失が縮小している状況だ。しかし、長期的には業績を不安視する見方が依然として残る。

比較のポイント
NISA口座で10年、20年と長期にわたって運用するなら、”事業の持久力”も選定基準に加えたい。その点、金融を中心に安定した事業運営を行っているSBIグループは信頼性が高い。

総括 - どちらが得かより「自分に合っているか」が大切

(1)ポイント還元は引き分け。(2)アプリの操作性では楽天が優勢、(3)商品ラインアップではSBI証券が優勢。(4)会社の安定性は現時点では引き分けだが、総合的にみるとSBI証券がやや優勢に思える。

日常の決済を三井住友カードやOliveでまとめているなら、SBI証券との親和性は高いし、長期的に得をしたいなら、金融業界内での連携力が強まっているSBI証券が有利だろう。

楽天ポイントを生活インフラで使っているなら、楽天証券も候補になる。ただし、「投資で何をしたいか」を基準にすれば、投資自体の収支に直結するポイントや豊富に銘柄を揃えるSBI証券が一歩リードしている。

親子で投資を行う場合を考えてみると、投資で得たポイントを楽天市場で活用できるため、未成年者にとっても現時点でのわかりやすさでは楽天証券が優勢だ。他方、長い目で見ると親子で口座を持つケースもあるだろう。親子口座は両社存在しているが、金融を主業としたSBI証券の方が相続等のサポート体制が優位に思え、両者一進一退となる。

しかし、両社の金融教育への向き合いを見てみると、SBI証券がより積極的に若者向けの金融教育などに取り組んでいる点を踏まえ、10年、20年先を見据えた場合には差が出る可能性がある。

いずれにしろ、この年末に証券会社を見直すことは、今後10年の運用効率に影響する大きな決断かもしれない。なお、新NISAの積立設定変更などは12月12日(金)ごろまでに手続きが必要なケースもあるため、年始から切り替えるのであれば、早めの見直しが肝心だ。