「上司からの“指摘”=正解ではない」脳科学者・茂木健一郎が伝授! 目上の人とのコミュニケーションの極意と、指摘されても心拍数を上げない対処法とは?
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティを務め、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。TOKYO FMがお送りするポッドキャストポータルサイト「TOKYO FM ポッドキャスト」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。

この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。

今回の配信では、「上司からの矢継ぎ早の指摘に緊張してしまう……」という、入社3年目の会社員からの相談に、茂木が脳科学と自身の経験から、コミュニケーションのコツや指摘を学びにつなげる考え方をアドバイスしました。

パーソナリティの茂木健一郎

<リスナーからの質問>

私は入社3年目の会社員です。定例会議で上司に資料を出すと、その場で“赤入れ”(誤りの指摘、加筆・修正の指示)されてしまいます。先日は、「ここが違う」と矢継ぎ早に指摘され、心拍数が上がって言葉が出ませんでした。

そこで、「指摘される場面で落ち着いて考えられる方法」や、「目上の人とのコミュニケーションのコツ」などを教えてほしいです。修正を学びに変えられたら、成長につながる気がしています。

<茂木の回答>

偉いですね。仕事に対する態度が真面目で、私は素敵だと思います。

上司の方も、さまざまな思いがあって赤入れなどをされていると思うのですが、1つ重要なポイントがあります。それは、「すべては主観なのだ」ということです。

私のように長く社会で生きていると、だんだんわかってくることなのですが、上司の方が必ずしも正解を持っているわけではないですよね。もちろん、経験が長いですし、仕事の知識も深いですから、多くの場合、その方がおっしゃっていることが正しいという場合もあるでしょう。ただ、いつも正しいわけではありません。

社会人経験を続けていくと、その赤入れが、学校の先生が正解を書き込んでいるというニュアンスよりも、「この方は、こういう認識なのだな」というふうに変わってくるのですよ。上下というより、水平のコミュニケーションに見えてくるのです。

そうなってくると、心拍数が上がるとか、そういうことも少なくなってくるのかなと思います。あくまでも、「上司の認識では、そう思われているんだな」ぐらいにフラットに見ると良いのではないでしょうか。

私は科学者なので、自分の指導している学生とのやり取りも対等です。私が正解を持っていると思わずに、一緒に正解を探していくという関係性です。

私は通信制の高校の校長もしているのですが、高校生とはずいぶん年が離れていますが、その高校生に対しても、「僕は正解を持っているよ」というふうにはやりません。

ただ、それは私のやり方で、世の中にはやはり上下や先輩・後輩のつながりをすごく大事にする方もいらっしゃって、それはそれぞれの方のやり方なのですよね。普通の、いわゆる JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)と呼ばれるような日本の伝統的な職場だと、やはり上司の方の方が正解を持っているという前提で接することが多いかと思います。

今、いろいろなことを申し上げましたが、とにかく大切なことは、「その方がそう思っている」ということを誠実に受け止めることなのかな。

まだ入社3年目でしょう。ということは、とりあえずはもう、今言ったようなことは全部忘れて、上司の方が正解を持っていると思って、そこから学ぶとか、「いろいろご指摘をいただいてありがとうございます!」という態度で接しているのが一番良いかと思います。

ただ、一番分かっていただきたいのは、上司も人間で間違うこともある。でも、その中で一生懸命お仕事をされているということなのですよね。

また、目上の方とのコミュニケーションのコツとして、定型文を使うのも1つの手です。

例えば、指摘をされたら「ありがとうございます。次回はこう修正します」といった形で、習慣化した言葉があると、いちいちその場で「どうしよう……」と頭の中が真っ白になったりしません。習慣化した言葉を身につけることをお勧めします。

昔、「昭和のいる・こいる」という漫才師がいて、私はすごく好きなのですが、(ツッコミ担当の)のいるさんが、(ボケ担当の)こいるさんに、いろいろ指摘するわけですよ。そうすると、「へい、へい、そうですね、そうですね。はい、はい、よかった、よかった、それよかった、それよかった」とか言って、全然聞いていないでスルーするという漫才があるのですが、もしよかったら、昭和のいる・こいるの漫才を聴いてみてください。

もちろん、それと同じように、別に上司の方に向かって「はい、はい、そうですね」「そりゃそうだ」などと言ってはいけませんよ。言ってはいけないけれど、それくらいの気持ちで心の余裕を持って、ご指摘をありがたく受け止めていると良いのかなと思います。

ぜひ、赤入れをありがたいと思えるように、余裕を持って接することが大事かなと思います。

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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」

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<番組情報>

番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室

配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)

パーソナリティ:茂木健一郎

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dreamheart/