東京・北の丸公園にある科学技術館。その4階に足を踏み入れると、「鉄」という素材がどれほど我々の生活を支えているのか実感できる2つの展示が並んでいる。「クルマのほとんどがリサイクル!」と「家電リサイクル ベース」だ。どちらも“身近な製品の裏側”を通じて、資源循環の重要性を伝えるブースである。

クルマのほとんどがリサイクル! その仕組みを体験的に学んでみた

まずはこちら、カラフルなブロック調のイラストと、愛嬌あるキャラクター「リサイクル博士」が出迎えてくれる「クルマのほとんどがリサイクル!」のコーナー。公益財団法人自動車リサイクル促進センターが手掛けている。

タイトルどおり、展示のテーマは“自動車のリサイクル”。車が廃棄されるその瞬間から、再び資源として生まれ変わるまでの工程を、子どもにもわかりやすくアニメーションで紹介している。

廃車が決まった車は引き取り業者に回収されたのち、まずは温暖化の原因にもなるフロンガスを適切に処理。その後、ドアやエンジンなど、まだ使える部品は再利用部品として整備される。一方、どうしても再利用できない部分はシュレッダーで細かく破砕し、磁石などを用いて鉄・アルミ・銅などの素材ごとに分別されていく。

「車のほとんどは鉄でできていて、磁石で鉄を選別してしまうだけなので、リサイクルもしやすいんです」とブース担当者は話す。リサイクル率も年々向上しており、2005年に「自動車リサイクル法」が施行される以前は約80%だったものが、現在ではほとんどの車が再資源化されているという。

特に鉄は、再び製鋼の原料として循環することで、地球の資源を無駄にしない仕組み作りに寄与。まさに鉄の再生こそが自動車リサイクルの根幹を担っていると言える。

アニメーションで学んだことは、そのまま「クルマのリサイクルクイズ」として出題される。ここで学んだ知識はこの参加型の体験を通じ、そのまま長く記憶に残り続けるに違いない。

ブースの両脇には、リサイクルによって生まれ変わった製品も展示されている。自動車の内装で使われたレザー素材を再利用した名刺入れや、車のプラスチック部品から再生されたバッグなど、車とはまったく違ったかたちでリサイクルされるケースも少なくないようだ。

普段生活していてもなかなか気付けないが、身の回りのあらゆるところにクルマのリサイクル製品は溢れているらしい。

ちなみに、2階にある「ワクエコ・モーターランド」では、クルマのリサイクルの流れをさらに詳しく学べるので、合わせて訪問してみると面白いかもしれない。

冷蔵庫、テレビ……身近な家電にも鉄は多用されていた

続いて訪れたのが、一般財団法人家電製品協会の「家電リサイクル ベース」。ブースには冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンといった家庭でおなじみの大型家電が並んでいるのだが……

その側面などが切り取られており、内部構造がむき出しになっている。普段は決して見られない家電の“中身”がひと目でわかるようになっているのだ。

「実は私たちの身近には鉄や銅が使われている家電がたくさんあって、それをポイっと捨ててしまうのはもったいなさすぎる。だからこそ
回収してまた使っているという話を、少しでもご理解してもらえれば嬉しいですね」(ブース担当者)

たとえば洗濯機のドラム、冷蔵庫の外板、エアコンのコンプレッサーなど、強度や磁性が求められる部分の多くが鉄製で、展示されたパネルには「ここが鉄」「ここはポリスチレン」といった注釈で色分けされており、どの素材がどこで使われているかがパッと見でわかる仕掛けとなっていた。

こちらのブースもリサイクルに関するクイズが用意されており、主に展示されているエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機にまつわる問題が出題される。訪れた際は、学んだことの復習を兼ねてぜひチャレンジしてみてほしい。

さらに、磁石の力で鉄とそれ以外(銅、アルミ)を分ける「磁力選別技術」の体験コーナーも。ハンドルを回し、機械を回転させることで、実際のリサイクル現場における選別の仕組みを疑似体験することができる。

鉄は使い捨ての部品ではなく、リサイクル可能な資源。適切に処理がされれば、再び社会へと戻ってくる。しかも回収効率が高く、再資源化の中心的存在でもある。かつては「使い捨て」が当たり前だった時代から、「リサイクル」が当然になりつつある今。科学技術館の2つのブースは、その変化をわかりやすく学ぶ格好の場となっている。

鉄は何度でも蘇る。そのシンプルな事実を知ることが、循環型社会の第一歩となるのかもしれない。