パーソルイノベーションは10月29日、「専任不在ポジションにおける副業活用実態調査」の結果を発表した。調査は9月2日~8日、20~40代の会社員660名を対象に、同社運営サービス『lotsful』によるインターネット調査にて行われた。

  • 専任担当がいない(もしくは兼務している)ポジションはどこ?

    専任担当がいない(もしくは兼務している)ポジションはどこ?

所属企業において専任担当がいない(もしくは兼務している)ポジションはどこかと尋ねたところ、「専任担当がいないポジションはない」(20.4%)、「分からない」(19.0%)に次いで、「営業」(14.8%)、「情報システム」(12.5%)、「UI/UX・デザイン」(12.5%)が上位に。また、従業員規模500名以上の企業でも経理・財務やDX推進などに「専門不在」の割合が高いことから、業務量に波がある一方で高度な専門性が必要とされるポジションに、専任人材を置かない企業が多いよう。

専任不在になっている理由を聞くと、「採用が難しいため」(23.9%)が最も多く、次いで「業務量が少ないため」(21.8%)、「採用優先度が低いため」(21.8%)が上位に。採用戦略全体で優先度が下がりやすく、必要な専門人材を確保できない状況が続く傾向が見て取れた。

  • 専任不在によって生じている課題

    専任不在によって生じている課題

次に、専任不在によって生じている課題を尋ねたところ、「重要だが緊急ではない業務が後回しになる」(25.7%)、「専門性不足による判断の遅れや誤り」(25.2%)、「業務の属人化による継続性への不安」(24.4%)が上位に。

対策については、「社員の兼務を継続」(30.3%)が最多で、次いで「正社員採用を検討している/した」(27.9%)、「内部で引き継ぎやマニュアル整備を進めている」(27.5%)が挙がる一方で、11.8%は「特に対策できていない」ことが明らかに。

企業規模別に見ると、従業員10名以下の企業では「社員の兼務を継続」(83.3%)が突出して高く、社内のリソースで人材不足をカバーしているよう。対照的に1,001名以上の大企業では、「外部コンサル/業務委託を活用している」(35.4%)、「正社員採用の検討」(32.9%)や「生成AIの活用」(32.9%)、「副業・兼業人材の活用」(31.6%)が上位に。中小企業は社内の限られた予算・人員で対応を続け、大企業は外部リソースや新しい手法を取り入れて補完するなど、企業規模によって対策が二極化している実態が明らかとなった。

  • 副業・兼業人材を活用して得られた成果

    副業・兼業人材を活用して得られた成果

続いて、副業・兼業人材の活用状況について尋ねたところ、「情報システム」(25.3%)、「UI/UX・デザイン」(24.7%)、「マーケティング」(23.0%)と、変化が速く専門性が求められるポジションが上位に並んだ。

副業・兼業人材を活用して得られた成果を教えてもらったところ、「業務推進のスピードアップ」(38.5%)、「停滞していた重要業務の進展」(32.2%)、「業務の可視化・仕組み化」(31.0%)が多くあがり、全体の82.7%が「成果を実感した」と回答。副業活用が単なるリソース補完にとどまらず、組織にプラスの変化を生み出していることが明らかに。専任不在によって発生していた「後回し」「判断遅れ」「属人化」といった課題は、副業人材の参画によって解消に向かい、組織全体のスピード感や持続性を取り戻す成果につながることが示唆される結果となった。