三井不動産およびクロスユーは10月28日から31日まで、日本橋エリアにおいて宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」を開催している。開催初日には、日本旅行×将来宇宙輸送システムによる「宇宙旅行サービス」(費用はおよそ1億円)の概要も明らかになった。

  • 宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」が開催

    宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」が開催

■宇宙ビジネスの未来を切り開く

アジア最大級の宇宙ビジネスイベントと銘打つ「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」。5回目となる今年は欧米・アジアから10か国超が参加し、国内外から100を超える企業・団体が参画している。

  • オープニング記者発表会の様子

    オープニング記者発表会の様子

オープニング記者発表会の冒頭、クロスユー理事長の中須賀真一氏が挨拶した。クロスユーは日本橋を拠点に活動する宇宙ビジネスコミュニティで、産・学・官による新しい産業連携の創出に貢献している。2025年10月現在の会員数は335会員(うち非宇宙企業は70%)。中須賀氏は「新たに国内企業の共創に向けたワーキンググループを立ち上げました。世界で一番スタートアップにフレンドリーな東京で、グローバル宇宙イノベーションクラスターの構築を目指していきます」と力を込める。

  • 国内企業の共創を加速させるべく、グローバル宇宙イノベーションクラスターを立ち上げた

    国内企業の共創を加速させるべく、グローバル宇宙イノベーションクラスターを立ち上げた

  • 一般社団法人クロスユー理事長の中須賀真一氏(左)、三井不動産 常務執行役員 イノベーション推進本部長の山下和則氏(右)

    一般社団法人クロスユー理事長の中須賀真一氏(左)、三井不動産 常務執行役員 イノベーション推進本部長の山下和則氏(右)

三井不動産の山下和則氏は「当社はこれまで、町づくりを通じて社会に貢献してきました。現在は町づくりだけでなく、産業そのものを育てる産業デベロッパーとして新たな挑戦を続けています」と説明する。いまグローバルでは民間企業による宇宙開発が進んでおり、その市場規模は今後20年間で数百兆円にも達するとみられている。これを踏まえて「日本がこの波に乗り、国際的な競争力を高めていくには業種業態の枠組みを越えて、異文化のプレイヤーが出会い・協力し、新しい付加価値を生み出すことが不可欠です」と山下氏。

  • 日本の宇宙産業を支える共創プラットフォームとして、クロスユーが果たす役割は大きい

    日本の宇宙産業を支える共創プラットフォームとして、クロスユーが果たす役割は大きい

ここであらためて、三井不動産と宇宙関連の有志が中心となって2022年9月に設立したクロスユーが果たす役割の大きさを強調。「たとえば、X-NIHONBASHI(クロス日本橋)では年間300件を超えるイベントが行われ、産官学の交流が続いています。ここから多くの新規事業、国際連携が生まれ、日本の宇宙ビジネスの土壌を豊かにしています」と評価する。

  • 日本橋には、欧州宇宙機関(ESA)のアジア初となる活動拠点も開設した

    日本橋には、欧州宇宙機関(ESA)のアジア初となる活動拠点も開設した

「私たち1社でできることは限られています。しかし多様なプレイヤーが集まり、互いの強みを重ねることで、日本の宇宙ビジネスの未来を切り開くことができると信じています。私たち三井不動産は、不動産という枠を越えて、イノベーションを生み出すプラットフォームを通して社会の発展と人々の豊かさを支えていきます。産業の成長とともに私たち自身も成長し、この日本橋から世界へ、宇宙へと広がる未来を皆さんとともに築いていきたいと考えています」(山下氏)

■誰でも宇宙旅行できる時代へ

このあと日本旅行、将来宇宙輸送システム(以下ISC)による共同会見が行われた。両社は、宇宙旅行サービスの商用化フェーズに向けた新たな業務提携契約を締結している。

  • 日本旅行 代表取締役社長の吉田圭吾氏(左)、将来宇宙輸送システム 代表取締役社長の畑田康二郎氏(右)

    日本旅行 代表取締役社長の吉田圭吾氏(左)、将来宇宙輸送システム 代表取締役社長の畑田康二郎氏(右)

本連携は、両社がこれまでに進めてきた”宇宙旅行事業構想”をさらに進展させたもの。日本旅行は宇宙旅行事業における総代理店としての立場から、顧客体験・商品開発・販売など旅行サービス要件を定義する。ISCは輸送機開発の立場から助言・監修を担い、共同で社会実装の枠組みを構築する。

日本旅行の吉田社長は、来年度中にも宇宙旅行サービスの”優先申し込み券”の受付をスタートさせると説明。またISCの畑田社長は、204X年に向けたロードマップを示す。それによれば、2026年には「SPACE Tour 1.0:地球上で体感する宇宙地上にいながら宇宙を感じる体験」(宇宙食体験、教育プログラム、関連施設へのツアーなど)を実施する。203X年には「SPACE Tour 2.0:地球上の2地点間を高速(60分以内)で結ぶ次世代輸送モード」を提供。さらに204X年には「SPACE Tour 3.0:軌道上での滞在など、地球を離れて宇宙空間に滞在する体験」を実現する。

  • 宇宙旅行に向けたロードマップ。3つのステップを踏む

    宇宙旅行に向けたロードマップ。3つのステップを踏む

サービスの開始当初、宇宙旅行の料金は1人1億円ほどを見込む。ただロケットが何度も使用できるようになり、宇宙までの往復頻度が上がれば、そのコストは1/100まで引き下げられるという。畑田社長は「宇宙旅行というと、どうしても一部の富裕層が行くものというイメージがあります。でも2040年代には、誰もが宇宙に行けるようにしたい。その頃には『世界一周旅行に行くよりは安い』くらいの価格感でご提供できるのではないか、と思います」と話した。

  • 日本旅行では、すでにパンフレットも作りはじめている

    日本旅行では、すでにパンフレットも作りはじめている

  • 宇宙食のイメージ。月で栽培できる8品目(米、大豆、じゃがいも、さつまいも、レタス、きゅうり、トマト、いちご)を使用している

    宇宙食のイメージ。月で栽培できる8品目(米、大豆、じゃがいも、さつまいも、レタス、きゅうり、トマト、いちご)を使用している