誰もが一度は「もっと集中できたら…」と思ったことがありますよね。実は、集中力は天性のものではなく、適切な条件を整えることで意識的に育てることができるものです。

本記事で集中力の仕組みを知り、望んだ場面で集中力を発揮できる力を身に付けていきましょう。

どうしたら集中力を発揮できるのか

  • どうしたら集中力を発揮できるのか

    どうしたら集中力を発揮できるのでしょうか

まずは、どうしたら集中力が発揮できるのか、解説していきます。

繊細な集中力

「やらないといけないのに勉強が手につかない」「隣の同僚の貧乏ゆすりが気になって作業がはかどらない」。みなさんは周囲の影響で集中力が途切れ、歯がゆさを感じた経験はありませんか? 集中力は一度切れてしまうとなかなか元の状態に戻せず、とても繊細ですよね。

一方で、「新作のゲームやドラマに熱中して気づくと夜が明けていた」「仕事の締切に追われ一心不乱に作業に没頭しやり切った」といった経験がある人も多いと思います。

適切な条件さえ整えられれば、集中状態は意識的に作り出すことができるのです。

集中力の土台は心理的安全性

まず、集中した状態をつくり出すために必要になるのが、落ち着いた心の状態です。これは「心理的安全性」と言い、脳が安心して思考し発言や行動ができる環境のことを指します。「失敗したらどうしよう」「できない自分はダメだ」と不安や焦りを感じていると、脳は目の前の課題ではなく、その不安に注意を奪われてしまいます。

心理的安全性は、身体の状態とも密接につながっています。私たちの身体には、活動モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経があり、両者がバランスを取りながら働いています。しかし現代人は仕事のプレッシャーやスマートフォンの通知などで常に刺激にさらされ、交感神経が優位な状態に偏りがちです。

集中力を発揮するには、適度な緊張感を保ちながらも、心身が落ち着いている状態が理想的です。そのために、ストレスや不安を感じたときにリセットする方法を持っておきましょう。

例えば、深呼吸を3回する、お気に入りの音楽を聴く、5分間だけ好きなマンガを読むなど、自分なりのリラックスを用意しておくことが、集中力の土台を支えます。

集中とはどのような状態なのか

  • 集中とはどのような状態なのか

    「集中」という状態について理解しましょう

「集中できない」と感じる原因の一つには、「集中」にも種類があることを認識していない可能性があげられます。まずは「集中」という状態について知りましょう。

集中力は4つのモードに分かれる

「集中力」という言葉を聞いて、みなさんはどのような状態をイメージしますか? 多くの人が思い浮かべるのは、目の前にある仕事や勉強に意識を注ぎ、周囲に影響されることなく物事を進行できる状態のことではないでしょうか。ところが実際には、集中している状態は下記の4つのモードに分けることができるのです。

①入門集中 仕事や勉強、新しい情報を取り込もうと意識を1点に注ぐ状態
②記銘集中 取り入れた情報を呼び起こし思考を巡らせる状態
③自在集中 ぼーっとしているようで考えを巡らせている状態
④俯瞰集中 全体に注意を払いながら、複数の動作を同時に行っている状態

「集中できない」の原因は…?

膨大な情報に瞬時に接することができるスマートフォンの登場で、多くの人は情報を吟味したり大局的に物事をとらえたりする機会が少なくなっています。集中力のうち、②③④の3つのモードを十分使いこなせず、①の入門集中に偏った状態であるといえるでしょう。

そのため、使い慣れていない3つのモードを認識しにくく、それが「集中力が続かない…」と感じる要因になっている可能性が高いと言えます。

集中力を育てるために

4つの集中モードはそれぞれ状態が異なり、情報処理の内容も異なります。まずは、集中力に違いがあることを知り意識することが大切です。4つのモードを使い分け、それぞれのモードを行き来しながら求める成果に近づくことが必要です。

自分に備わっている集中力のモードを意識しながら使うことで、何歳からでも集中力を育てることが可能です。

集中力を高める鍵は神経伝達物質

  • 集中力を高める鍵は神経伝達物質

    3つの神経伝達物質の特徴や働きとは

集中力が高まった状態のとき、脳内では主にドーパミン、ノルアドレナリン、βエンドルフィンという3種類の神経伝達物質に変化が起きています。これら3つの神経伝達物質の特徴や働きを知ることで、質の高い集中状態を自らつくり出すヒントが得られます。

集中力を高めるドーパミン

3つの神経伝達物質の一つ、ドーパミンは集中力を高めるエネルギー源で、ワクワクした感情や楽しさとともに分泌されます。ただし、ドーパミンをエネルギー源とした集中状態は、長く続かない傾向があります。

行動力を高めるノルアドレナリン

2つめは、行動を促すエネルギー源になるノルアドレナリンです。強いストレスにさらされている強い状況に立ち向かったり逃げ切ったりするために分泌されます。集中力は一時的には高まりますが、持続力が弱いのが特徴です。

ドーパミンを長く保つβエンドルフィン

3つめがβエンドルフィンという神経伝達物質で、ドーパミンが放出されやすい脳の状態を保つ働きを持ちます。ドーパミンによってもたらされるワクワクした感情や楽しさとともに、行動力を高めた集中状態を長く保つことができるのです。

神経伝達物質の組み合わせが重要

  •  神経伝達物質の組み合わせが重要

    理想的な集中状態をつくり出すポイントは、神経伝達物質の組み合わせ?

理想的な集中状態をつくり出すには、神経伝達物質の組み合わせが重要です。意識して理想的な状態にするためのポイントを紹介します。

最も理想的な組み合わせとは?

集中力の鍵となる神経伝達物質は、その組み合わせによって私たちのパフォーマンスに大きな影響を与えます。組み合わせはいくつかに分類できますが、そのうち最も理想的なのが「ドーパミン、ノルアドレナリンともに適度に分泌され、βエンドルフィンも働く」状態です。この状態のとき、集中力は高く持続することができます。

ドーパミンの分泌を促す

理想的な集中状態を作り出す出発点としてまず必要なのが、興味や関心の高まりによってドーパミンの量を増やすことです。そのために、好奇心が高まっていると感じるタイミングでしっかりと「今、自分の脳内でドーパミンが出ている」と認識し実感しましょう。

ドーパミンが出ている瞬間に意識を向け、そのワクワクや楽しさをきちんと味わうことが大切です。

βエンドルフィンの分泌を促す

ドーパミンが放出されやすい脳の状態をつくるβエンドルフィンの分泌を促すために必要なのは、「物事を楽しむ能力」です。βエンドルフィンは、注意を注いだ対象を「気持ちがいい」「うれしい」といった前向きな気持ちで楽しめているときに分泌されます。

遊ぶときは心から楽しみ、その集中状態を仕事や学びで感じる「楽しさ」でも発揮するイメージを持ってください。喜びやワクワクを体感するほどに、βエンドルフィンの分泌を促すことができるでしょう。

質の良い集中力を持続的に発揮するために

  • 質の良い集中力を持続的に発揮するために

    自分の好奇心を深掘りしてみましょう

質の良い集中力を持続的に手に入れるには、心から叶えたい目標を持つことが理想的ですが、その前に自分の好奇心を深掘りしてみましょう。好きなことや興味の対象に夢中になっているとき、私たちは自然と集中状態に入っているものです。

普段の生活で「ついやってしまうこと」「時間を忘れる瞬間」をヒントに、集中力を高める自分なりの方法をぜひみつけてみてください。