東京商工リサーチは、「賃上げ」に関するアンケート調査結果を2月20日に発表した。同調査は2025年2月3日~10日の期間、5,467社を対象にインターネットを用いて行われた。

  • 来年度(2025年度)、貴社では賃上げを実施しますか?

    来年度(2025年度)、貴社では賃上げを実施しますか?

来年度(2025年度)にどのくらい賃上げを実施するか聞いたところ、「実施する」と回答した企業は85.2%(5,278社中、4,498社)だった。 

2024年度に賃上げを実施した企業の84.2%を1.0ポイント上回り、調査を開始した2016年度以降では最高を更新する見込みとなっている。規模別では、「実施する」は大企業が92.8%(378社中、351社)と9割を超えたが、中小企業は84.6%(4,900社中、4,147社)にとどまり、8.2ポイントの差が開いた。

また産業別では、「実施する」と回答した割合が最も高い産業は製造業の90.8%(1,389社中、1,262社)だった。以下、運輸業90.0%(202社中、182社)、卸売業87.8%(1,077社中、946社)、建設業86.0%(823社中、708社)、サービス業他82.4%(946社中、780社)と続く。

  • 来年度(2025年度)賃上げを「実施する」と回答した方に伺います。向こう5年先まで見通した場合、貴社は毎年の賃上げを実施できそうですか?

    来年度(2025年度)賃上げを「実施する」と回答した方に伺います。向こう5年先まで見通した場合、貴社は毎年の賃上げを実施できそうですか?

来年度(2025年度)賃上げを「実施する」と回答した企業に対し、向こう5年先まで見通した場合、毎年の賃上げを実施できそうか尋ねたところ、「毎年実施できるか不透明」が29.3%(4,292社中、1,258社)で最多だった。

次いで、「おそらく(60%程度)毎年実施できる」が28.8%(1,237社)が続いた。また「必ず毎年実施できる」「高い確率で毎年実施できる」「おそらく毎年実施できる」の3つを合わせた今後賃上げを継続する意向の企業は65.3%(2,806社)だった。一方、「毎年実施するのは難しい」と回答した企業は5.3%(228社)だった。

産業別で毎年の賃上げを継続する見込みの企業は、構成比の最大が情報通信業の68.3%。以下、卸売業67.8%、不動産業67.3%が続く。一方、農・林・漁・鉱業(54.2%)、小売業(57.5%)の2産業は6割を下回った。

産業を細分化した業種別(回答母数10以上)で、継続実施見込みの構成比が最大だったのは「機械等修理業」93.3%。以下、「家具・装備品製造業」83.3%、「窯業・土石製品製造業」76.5%が続いた。

  • 来年度(2025年度)賃上げを「実施する」と回答した方に伺います。賃上げする理由は何ですか?

    来年度(2025年度)賃上げを「実施する」と回答した方に伺います。賃上げする理由は何ですか?

2025年度の賃上げを「実施する」と回答した企業へ賃上げする理由を聞いたところ、最多は、「従業員の離職防止」の78.0%(3,359社)だった。10産業のうち、建設業、製造業、小売業、金融・保険業、運輸業、情報通信業、サービス業他の7産業で構成比が最高となった。なかでも、「2024年問題」などでドライバー不足が深刻な運輸業は87.2%(173社中、151社)と突出した。

次いで、「物価高への対応」が71.7%(3,087社)、「新規採用を円滑にするため」が50.1%(2,159社)で続く。「業績向上分の還元」は33.3%(1,435社)、「業績見通しの好転」は7.6%(328社)にとどまり、業績アップ・改善による賃上げより、人手不足などの経営課題に対応するために賃上げする企業が多いことがわかった。

また「新規採用を円滑にするため」は大企業が72.1%(337社中、243社)で、中小企業の48.3%(3,966社中、1,916社)を23.8ポイント上回った。新卒を重視する傾向が強い大企業に対し、経験を積んだ中途採用が中心の企業も多い中小企業で、採用姿勢の差が回答率に表れたという。