北海道電力の齋藤晋社長は10月17日の会見で、泊原子力発電所3号機の再稼働を前提とした電気料金値下げの試算について、早ければ10月31日の2025年度中間決算の場で発表すると明らかにした。齋藤社長は、値下げ幅の検討が最終段階にあり、年内の早い段階での公表を目指していたが、社内事情も踏まえ、決算会見での公表を目指している。
料金値下げは泊原発3号機の状況を踏まえた試算であり、再稼働に向けた取り組みを継続する。地元同意を含めて2027年のできるだけ早期に、適正な水準で値下げを実施したい考えだ。
■地元同意の上で原発再稼働により料金値下げへ
北海道電力は、電力の安定供給と脱炭素化を両立させるために原発を重要な電源と位置づけている。そのため、現在停止中の泊原発3号機の再稼働を重視しており、今年7月30日には原子力規制委員会から原子炉設置変更許可を受領したほか、その後の審査に関しても準備を進めている。
安全対策として新たな防潮堤の設置も進めており、進捗率は約5割まで達しているという。3カ年計画の折り返し地点で約5割まで達したことで、進捗としてはスケジュール通りだと齋藤社長は話す。その上で、さらなる工期短縮を目指した取り組みも継続している。
再稼働には、立地の泊村を始め周辺自治体や北海道の理解と同意が最重要だと齋藤社長。そのための説明会を精力的に開催し、「寄せられた質問はすべてサイト上で回答している」とし、また、地元との共存共栄のために人口減少対策や技術提供など、地元への貢献も行っていく。
こうした取り組みを継続して、地元同意や規制をクリアした段階で泊原発3号機を再稼働する。さらに年間650億円規模の効率化を表明していたが、さらなる効率化も目指し、物価上昇や金利上昇も考慮に入れた適正な水準で料金の値下げを実現したい考えだ。
北海道は人口減少などで電力需要が減少する予測もあったが、次世代半導体工場やデータセンターといった新たな大型の需要が創出され、「一転して需要が拡大する機運となっており、北海道にとってもいい風が吹いている」と齋藤社長は強調する。
しかし、電力供給には難しさがあり、既存の電力網だけでは巨大データセンターをカバーしきれず、新たな電力ネットワークの構築や電源設備強化などの計画的な取り組みが必要になるとの判断。さまざまな取り組みによって、電力需要の増加に対応していく方針だ。
加えて北海道電力では再生エネルギーへの投資も継続。風力発電に適した北海道だが、さらに洋上風力発電への期待も高まっており、同社でも新たに洋上風力発電事業へ参画して、まずは知見を積み重ねていく計画だ。
千葉県・銚子沖での事業者撤退もあって逆風のさなかだが、齋藤社長は撤退に至った原因の検証に加えて、事業者目線での制度の必要性を訴える。北海道電力ではまず知見の獲得に向けて取り組んでいく考えで、「厳選投資領域として戦略を組み立てていきたい」と齋藤社長。
同社では、北海道の道南地域における洋上風力発電人材育成構想として、トレーニング設備を複数設置し、教育体系も充実させるなど、次世代の人材も育成する。齋藤社長は、「エネルギーは地産地消が基本」とし、北海道での電力安定化に向けて幅広い取り組みをしていきたい考えを示している。





