北海道電力と上川大雪酒造は9月30日、京極発電所で行ってきた日本酒熟成の共同実証事業において、1年間熟成させた日本酒の搬出作業を実施したことを発表した。安定した温度・湿度環境を持つ発電所トンネルを活用した両社の「共創」の取り組みが、1年の成果を迎えた。
発電所トンネルを活用した日本酒熟成の共同実証
今回の共同実証は、北海道電力の「事業共創推進室」が推進する地域共創プロジェクトの一環として、2024年10月にスタート。北海道の持続的な発展こそが、ほくでんグループの事業基盤になるとの認識のもと、同社が持つ水力発電所施設を日本酒の熟成に活かせないかという発想から生まれた。
熟成場所として選ばれたのは、京極発電所の「監査廊連絡トンネル」と「水圧管路管理トンネル」だ。年間を通して温度や湿度が安定し、紫外線も遮断される環境は、日本酒の熟成に最適な『天然の貯蔵庫』としてのポテンシャルが期待できる。
2024年10月には上川大雪酒造の「純米大吟醸35」「純米吟醸」「特別純米」計1,500本が搬入され、両社の社員が手作業でトンネル内に運び込んだ。北海道電力の齋藤晋社長は当時のセレモニーで、地域との共創を通じて新たな価値を創り出し、北海道の活性化につなげていきたいという考えを語っていた。
熟成を終えた約1300本を搬出
そして2025年9月、およそ1年の熟成期間を経た日本酒の搬出の日を迎えた。北海道電力 事業共創推進室と上川大雪酒造の担当者ら約10人が現地に集まり、トンネル内で熟成した日本酒を搬出。
1500本のうち約1300本を取り出し、残りは引き続き熟成を継続するという。熟成を終えた日本酒は、11月に予定している一般発売に向けて、上川大雪酒造の碧雲蔵(へきうんぐら)で加工を行う予定だ。
気になる味については、試飲を行った上川大雪酒造の杜氏が「熟成させたことで、口当たりがまろやかになり、お酒が苦手な方でも飲みやすく、美味しいお酒に仕上がった」と評価した。
2024年に別の場所で熟成させた日本酒の試飲でも好評を得ていたが、今回は実際に発電所トンネル内で熟成させた味を確認できた形となった。
今後の地域共創に向けた展望
今回のプロジェクトを担当する北海道電力 事業共創推進室の小関氏は、「初の試みだったが、無事にこの日を迎えられてほっとしている。多くの関係者の協力に感謝している」と語った。
今後は、一般販売を通じて北海道産酒米を使用した日本酒の魅力を全国に発信していくことで、地域共創につなげていきたい考えだ。
また、北海道電力と上川大雪酒造は新たに「地域共創に関する連携協定」を締結。京極発電所トンネル内での熟成事業は、日本酒にとどまらず、スパークリングワインやジンなど、他の酒類にも対象を広げていくことを発表している。両社は日本酒の熟成事業をきっかけに、今後はさらなる地域共創の取り組みを進めていく構え。
エネルギーインフラの活用を通じて地域の産業に貢献する今回の取り組みは、北海道電力が掲げる「エネルギー分野の枠を超えた社会課題の解決や発展への貢献」の一環として位置づけられている。同事業も含め、地域共創を軸とした取り組みが着実に成果を上げており、今後の動向が注目される。





