独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターはこのほど、「令和6年度 飲酒と生活習慣に関する調査」の結果を発表した。調査は2024年8月20日~11月19日、全国の成人8,000名を対象に自記式アンケート方式で行われた。
飲酒経験について
生涯において「飲酒経験がある」と回答した人の割合は、全体で86.6%(男性93.9%、女性80.7%)だった。また、過去1年間において「飲酒経験がある」と回答した人は、64.1%(男性75.2%、女性55.1%)となった。
初めてお酒を飲んだ年齢(初飲年齢)は、全体の27.6%が20歳未満だった。さらに男女別では、男性の37.7%(5~15歳4.3%、16~19歳33.5%)、女性の17.9%(5~15歳1.4%、16~19歳16.5%)が初飲年齢を20歳未満と回答した。
習慣飲酒開始年齢(少なくとも月1回以上のペースで6か月以上続けて飲み始めた年齢)の平均は全体で26.8歳、男性24.8歳、女性29.8歳であった。習慣飲酒開始年齢を20歳未満と回答した者の割合は、男性の7.6%、女性の1.8%だった。
ふだん飲んでいるお酒の種類
ふだん飲んでいるお酒の種類を尋ねたところ、最も多く選ばれた酒類は「ビール・発泡酒」(全体65.1%、男性69.2%、女性60.5%)。2番目に多く選ばれた酒類は「酎ハイ」(全体26.7%、男性23.2%、女性30.6%)だった。
飲酒の頻度
ふだんの飲酒頻度について、「あなたは、ふだん酒類(アルコール含有飲料)を、平均するとどのくらいの頻度で飲みますか」と尋ねた。
男性は、28.2%が「まったく飲まない」と回答した一方、「1週間に4回以上」と答えた者の割合は33.4%だった。年代別にみると、20代は月1回以下、30代はまったく飲まないと回答した者の割合が最多であった一方、40代~70代では、週4回以上と回答した者の割合が最も高く、年代により大きく異なることが示された。ただし、「まったく飲まない」と回答した者の割合が2番目に高く(または同率)、40〜70代の男性では飲酒頻度が二極化している傾向がみられる。また、80代以降では「まったく飲まない」と回答した者の割合が最も高い(37.5%)ものの、35.1%は「1週間に4回以上」と回答しており、高頻度飲酒者は一定数存在していた。
女性は、「まったく飲まない」が約半数を占めた(48.1%)。年代別にみると、30代以降は「まったく飲まない」と回答した者の割合が最も高く、高齢になるほど「まったく飲まない」と回答した者の割合が高くなっていた。一方で40代、60代では「1週間に4回以上」と回答した者の割合が2番目に高く、中高年層において高頻度飲酒者が一定数存在していた。
ふだんの飲酒量
ふだんの飲酒量について「ふだんお酒を飲むときには、1日にどれくらい飲みますか」と尋ねた。性・年代によって飲酒量は異なり、男性は女性より飲酒量が多い者の割合が高い結果となった。
男性は、過去1年飲酒経験なし(25.5%)、2ドリンク以上4ドリンク未満(24.6%)の順に割合が高かった。年代別にみると、高齢になるほど「過去1年飲酒していない」と回答した者の割合が高くなっていた。一方で、男性で生活習慣病のリスクを高める飲酒量とされている「1日4ドリンク」以上の割合は30代、50代で高く、ふだんの飲酒量が6ドリンク以上である者(多量飲酒者)の割合は、20代から60代まで大きな違いはみられなかった。70代以降は過去1年の飲酒経験がない者の割合が最も高いものの、4ドリンク以上飲んでいる者の割合は、比較的若い年代と同程度に存在していた。
女性は、過去1年飲酒していない者が46.4%を占めていた。年代別にみると、20代、30代、40代は「2ドリンク未満」、50代以降は「過去1年飲酒していない」と回答した者の割合が最も高かった。また、女性で生活習慣病のリスクを高める飲酒量とされている「1日2ドリンク」以上を飲んでいる割合は、20代が最も高かった。一方、ふだんの飲酒量が6ドリンク以上である者(多量飲酒者)の割合は20代から50代まで大きな違いは認められなかった。
一時多量飲酒
アルコール健康障害対策推進基本計画(令和3年3月)では、一時多量飲酒者に関し、"過去30日間で一度に純アルコール量60gの飲酒をした者"という基準が用いられている(純アルコール60gは6ドリンクと同等)。一時多量飲酒者の割合は全体で11%(男性19.2%、女性4.7%)だった。
健康に配慮した飲酒に関するガイドラインの認知度
厚生労働省は2024年に飲酒に伴うリスクに関する知識の普及の推進を図るため、国民それぞれの状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動の判断に資する「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を作成している。これについて、全体の86.3%が「知らない」と回答した。
アルコール依存症・使用障害が疑われる者の推計
国民におけるアルコール依存症、アルコール使用障害が疑われる者の割合と人数を推計した。
男性の1.2%、女性の0.2%、全体で0.6%が、生涯においてICD-10の診断に基づくアルコール依存症の疑いがあると推計された。
「過去1年のアルコール使用障害が疑われる者」の推計には、アルコール使用障害のスクリーニングテストであるAUDIT(Alcohol Use Disorders Identification Test)が用いられた。その結果、男性の5.4%、女性の0.8%、全体で3.0%が過去1年間においてアルコール使用障害が疑われると推計された。
アルコール使用障害が疑われる者の特徴
AUDIT得点に基づき、3区分(8点未満非飲酒者・ローリスク飲酒者、8-14点ハイリスク飲酒者、15点以上アルコール使用障害の疑い)に分類し、各群の特徴を分析した。特に15点以上のアルコール使用障害が疑われる者の特徴に注目した。各群の年齢調整後の推計割合は以下の通り。
男性のAUDIT15点以上の年代別割合は、30代(7.3%)が最も高く、女性は20代(2.4%)が最も高かった。
アルコールに関連した害
「お酒を飲んで行ったことのある行動やおこった結果」についての10項目について、それぞれに「あった」と答えた割合をAUDITの3区分(8点未満非飲酒者・ローリスク飲酒者、8-14点ハイリスク飲酒者、15点以上アルコール使用障害の疑い)で比較した。
すべての項目で、アルコール使用障害の疑いの群が他の群と比較して、行動や結果を「あった」と答えた割合が高かった。
自分のアルコール問題で相談した経験
アルコール使用障害が疑われる者におけるアルコール問題についての相談経験は、「いずれもない」95.8%(114名)、「専門機関で治療を受けた」4.2%(5名)、「その他」2.5%(3名)となった。
睡眠について
アテネ不眠尺度(Athens Insomnia ScaleAIS)を用いて、対象者の睡眠/不眠の状態について測定した。
非飲酒者・ローリスク飲酒者/ハイリスク飲酒者/アルコール使用障害の疑いの群と、アテネ不眠尺度の3区分(0~3点睡眠がとれている、4~5点不眠症の疑い、6~24点不眠症の可能性が高い)で該当者割合を比較したところ、アルコール使用障害が疑われる者の群は、「不眠症の可能性が高い(6~24点)」の該当者割合が有意に高かった。












