アメリカン・エキスプレスはこのほど、「最新の出張トレンド調査」の結果を発表した。調査は2025年5月15日~23日、米国においてフルタイムで勤務し、過去12か月間に2回以上業務目的で航空機を利用し、出張費を自ら申請している1,005名および、米国において従業員数が50名以上の企業で、出張に関する意思決定を担うフルタイム勤務者502名を対象にインターネットで行われた。
米国の出張者1,000名および出張関連の意思決定者500名を対象として実施した調査の結果、以下のような傾向が浮かび上がったという。
対面の時間が成長機会および出張の継続に関与
本調査において出張者や企業は、ビジネスの成長に向けた機会創出が出張を推進していると回答している。今後12か月間の出張の増加または維持の主な理由として、「クライアントとの時間を維持・増加させるため」(64%)や「新規または追加のビジネス獲得のため」(59%)が挙げられた。外部環境が変化する中でもこの傾向は変わっておらず、意思決定者の92%、出張者の88%が「変化し続けるビジネス環境において、対面での会議のために出張する価値がある」と回答している。
出張の投資対効果の測定
出張が重視される背景には、出張のもたらす価値が数値で示されていることにある。企業の93%が「対面での会議やイベントはビジネスの成長に寄与する」と回答しており、出張者の87%は「クライアントとの関係はバーチャル会議よりも対面の方が良好になる」と述べている。これは単なる感覚的な数字ではなく、企業は「売上(66%)」や「クライアントからのフィードバック(60%)」を指標として、出張のROI(投資対効果)を測定している。一方、企業の90%は「現在のビジネス環境では出張費用の管理が重要になっている」と回答し、60%は「今後12か月間で予算最適化への注力が強まる」と予測している。
企業・出張者ともに「出張は仕事の魅力のひとつ」と認識
出張はビジネスの成長を促す主要要素であると同時に、企業は「人材の獲得および定着施策としても機能している(80%)」としている。ハイブリッドワーク環境下ではこの戦略が有効に働いており、出張者の84%が出張を仕事の魅力のひとつと認識し、とりわけZ世代・ミレニアル世代では88%、X世代・ベビーブーマー世代では78%と、若年層ほどその傾向が強くなっている。
また、Z世代・ミレニアル世代は出張体験への満足度も高く、80%が「5段階評価で4または5」と回答しており、X世代・ベビーブーマー世代(64%)を上回った。一方で、若年層は「出張時の生産性(Z世代・ミレニアル世代:46%、X世代・ベビーブーマー世代:33%)」や「ウェルネス(Z世代・ミレニアル世代:50%、X世代・ベビーブーマー世代:40%)」に関して、課題を感じる傾向がより強いことがわかった。
注目の出張先 世界8都市
同社は、今回出張ニーズが増加傾向にある都市として、初めて米国外の3都市(日本の熊本県、アイルランドのコーク市、スウェーデンのマルメ市)を、米国内の5都市(バージニア州リッチモンド市、オハイオ州コロンバス市、サウスカロライナ州チャールストン市、アイダホ州ボイジー市、ルイジアナ州ニューオーリンズ市)とともに選定した。
熊本(日本)
九州地方に位置する熊本は「シリコン・アイランド」と称され、日本国内における半導体産業の要衝として発展し、200 社を超える主要企業が拠点を構えている。半導体産業の急成長に伴い、関連装置メーカーや材料サプライヤー、研究開発施設に加え、食品生産や医療分野まで幅広い関連企業が集積し、業種を超えた連携の機会を生み出すとともに、それに伴う出張の需要拡大にもつながっている。
コーク(アイルランド)
コーク市はテクノロジーおよびライフ・サイエンス分野に特化し、ビジネスフレンドリーな政策と受賞歴のある空港による高度な国際接続性を活かし、ビジネスおよびイノベーション拠点として高い評価を得ている。歩行者に配慮した市街地設計や優れたグルメ文化、さらに近年の国際的な観光地としての認識の高まりもあり、世界各国からのビジネス・レジャー両面での渡航者の誘致に成功している。
マルメ(スウェーデン)
海岸部に位置するマルメは、特にテクノロジーやゲーム産業におけるスタートアップ・エコシステムが発展している都市。自治体による資金調達支援や起業家向け施策の充実により、起業活動を促進する協働環境が整っている。オーレスン橋を介して隣接するコペンハーゲンとの地理的利点を有し、国際的な航空アクセスや多様な投資家層、優秀な人材へのアクセスも容易であることから、出張者の受入体制と都市の競争力が一層強化されている。
米国内の都市
リッチモンド(バージニア州)はビジネスフレンドリーな都市であり、複数のフォーチュン500企業が拠点を置いている。ビジネス拡大を後押しする優遇措置法や労働力育成プログラムなどの施策が導入されており、州への移転・拡張を選ぶ企業が増加している。リッチモンド・ダイアモンド・ディストリクトやシティセンター・イノベーション・ディストリクトなどの地区では、現在経済開発が進められており、企業のビジネス拡大に適した環境が整えられている。
コロンバス(オハイオ州)は急速に発展している都市であり、主要な会議やコンベンションの開催地となっている。240以上のスタートアップ企業が存在し、特にテクノロジーおよびバイオテック産業分野の企業が集結しています。オハイオ・スーパーコンピューター・センターなどの研究機関や学術機関が立地し、AI研究を通じたイノベーションを後押ししている。
南部らしい魅力と独自の文化を持つ観光都市チャールストン(サウスカロライナ州)は、力強い経済とビジネスの発展に適した環境を築いてきた。近年では、航空宇宙、自動車、テクノロジーなどの主要産業の成長に加え、「Charleston Inspired」経済開発戦略によるテクノロジーや起業支援への投資が行われており、これが出張数の増加にも影響している。
ボイジー(アイダホ州)は、COVID-19のパンデミック以降、人口増加が継続しており、他のテクノロジー拠点と比べて生活費が比較的低いことやロッキー山脈西部の美しい自然環境へのアクセスが特徴。人口流入によりソフトウェア、クリーンテック、アウトドア関連企業の進出が進み、「City of Trees」としても知られるこの都市に出張者が増加している。
ニューオーリンズ(ルイジアナ州)は「Big Easy」としても知られ、出張やコンベンションの開催地として利用される機会が増えている。徒歩移動が可能な街の構造やコンパクトなレイアウト、独自の文化などがこの傾向に影響している。地元会場でのインフラ整備も進行中で、さらなるコンベンション誘致と雇用・地域経済への波及効果が見込まれている。
