キャデラック「エレヴェイテッド・ヴェロシティ」|未来を見据えた超高性能EVクロスオーバー

キャデラックが描く未来のパフォーマンスとラグジュアリーの融合。それが、2025年8月15日にカリフォルニア州カーメルで開催された「The Quail, A Motorsports Gathering」にて初披露のコンセプトカー『Elevated Velocity(エレヴェイテッド・ヴェロシティ)』である。

【画像】キャデラックの最新2+2レイアウトの高性能コンセプトカー「Elevated Velocity(エレヴェイテッド・ヴェロシティ)」(写真13点)

本モデルは、キャデラックVシリーズのDNAを継承しながら、完全電動化とクロスオーバーのパッケージを掛け合わせた2+2レイアウトの高性能コンセプトカー。市販化は未定ではあるが、今後のブランドデザインとテクノロジーの方向性を示唆する存在となる。

その車名が示す通り、「エレヴェイテッド」は車高を高めたシャシーと、乗員の体験そのものを引き上げる空間設計の両面を意味する。「ヴェロシティ」は、あらゆる地形に挑むための運動性能を象徴し、単なるスピードの概念を超えて、加速感や到達力をも含意している。

外装はCELESTIQやLYRIQに通じる優雅なプロポーションを基礎としつつ、リフトアップされたシルエットと大胆なルーフライン、24インチホイールによって、SUVとグランドツアラーの美学を融合させた。車体全体を彩る「ヴェイパー・ブルー」は氷河を想起させる寒色であり、前後のガラス、サイドガラスにも同色のティントを施すことで、冷ややかで統一感のある造形を成立させている。

車体下部にはブラッククリスタルティントアクリルと亜麻繊維を組み合わせたホイールが装着され、キャデラックの精密なパターンが全体にあしらわれる。ガルウィングドアは乗員の乗降を優雅に演出し、前後の照明は再解釈されたライティング・シグネチャーによって、流れるような光の演出をもたらす。

インテリアには、モレロレッドをはじめとする深い赤系のカラーリングが採用され、素材にはファインナッパレザー、セリーズファブリック、ブークレ、ブラッククリスタルの3Dプリントパネルなどが多層的に使用される。ドアトリムには、砂漠の馬上ポロに着想を得たダイナミックな装飾が施され、エネルギーと静謐の同居する空間を作り出している。

操作系には、走行体験と乗員体験を切り替える複数のモードが用意される。「ウェルカムモード」では、ドライバーの接近を感知し、車体全体が柔らかな白色で点灯。ガルウィングドアが開き、ステアリングには砂が流れるようなウェルカムアニメーションが浮かび上がる。Vロゴとキャデラックの銘がダッシュボード端に浮かび、歓迎の意を示す演出が完結する。「エレヴェイティドモード」では、完全自律走行により車両が乗員のリカバリースペースへと変貌。ステアリングとペダルは格納され、赤色照明と赤外線照射によって、乗員の体調と精神状態を最適化。呼吸に合わせてドアが点灯し、光と温度の演出が全身を包み込む。

「ヴェロシティモード」では、走行に集中するための設定となり、コクピットはクールホワイトの照明で統一。足元の照明は減光され、ステアリングにはスピード、時刻、バッテリー状態、温度、そしてARナビゲーションが集約表示される。

その他、「e-ヴェロシティモード」ではオンロードにおけるVシリーズ譲りの俊敏性を追求し、「テラモード」はエアサスペンションを起動させてオフロード性能を最大化。「サンドビジョン」は砂嵐下での視界確保を支援し、「エレメンツディファイ」は車体に振動を与えて砂塵や汚れを自動で除去する新技術となる。

室内環境には空気清浄、空間芳香、急激な外気変化への適応、赤色光セラピーなどが標準装備され、乗員の心身を常に最適に保つ。また、ラゲッジにはヴェイパーブルーの専用ケースに収められたポロセットを搭載し、アドレナリンを求めるライフスタイルの象徴として機能する。

こうした構成の背景には、キャデラックが今後のブランド価値をどのように再定義しようとしているかが明確に現れている。

GM グローバルデザイン担当バイスプレジデントのブライアン・ネスビットは、

「コンセプトデザインの取り組みは、現行の生産プログラムの枠を超えて、ライフスタイルとテクノロジーのトレンド、そしてそれらが次世代のモビリティ体験に与える可能性を探求するものです。『エレヴェイティド・ヴェロシティ』は、2024年に発表したコンセプトカー『オピュレント・ヴェロシティ』で導入されたデザイン原則を発展させ、キャデラックのラグジュアリー、テクノロジー、そしてパフォーマンスを、ますます人気が高まっているパフォーマンス・ラグジュアリークロスオーバーのフォルムに芸術的に統合しています。『エレヴェイティド・ヴェロシティ』は、妥協のないパフォーマンス・ラグジュアリー体験に対する私たちの解釈を体現することを目指しています。完全自律走行で移動することで貴重な時間を再構築し、UAEのラハブ砂漠の豊かな砂丘のような場所で、本格的なハンズオンのハイパフォーマンス体験を堪能し、その過程で排出ガスゼロを実現します」」

と述べる。

また、インテリアデザイナーのディン・ゼンは、

「インテリアデザインの目的は、スレンダーな造形によって物理的に軽量化を図る一方で、視覚的にも豊かで、快適性とサポート性を兼ね備えた空間を実現することでした」

と振り返る。

キャデラックのシニアブランドデザイナー、アレクサンドラ・ディモウスカはこう語る。

「『エレヴェイト(elevate)」という言葉には二重の意味が込められています。ひとつは、高速オフロード走行を可能にするリフトアップされたシャシーを指し、もうひとつは高みに引き上げられたラグジュアリー体験を示しています。砂漠で行われるポロ競技のように、スピード、技術、優雅さが交わるこのコンセプトは、熟練の技の芸術とアドレナリンの昂ぶりが出会う、洗練されたスリリングな体験を描いているのです」

キャデラック・アドバンスド・デザインのエクステリアデザイナー、トム・グレッチは「私たちはまず『オピュレント・ヴェロシティ』のドラマチックなプロポーションからこのコンセプトカーの着想を得ました。その特徴的で威厳ある存在感を継承しつつ、プロポーションをより高い車高へと進化させ、車体全体に流れるようなルーフラインを描くことで、インパクトのあるシルエットを生み出しました」

と話した。

エレヴェイテッド・ヴェロシティ──それは、ラグジュアリーとエクスヒラレーションの頂点に向けた、キャデラックの新たな一手である。