近年、高齢化社会が進んでいることや在宅ワークの導入が普及されていること、さらに食生活の欧米化などの影響を受け、患者数が増加傾向にある「便秘」の問題。
加齢や水分不足、運動不足など、さまざまな要因から発症する可能性のある疾患であり、日本人にとっては身近な悩みの種だ。
そんな「便秘」の悩みを解決するために取り組みを進めているのが、痔疾用薬のボラギノールブランドを展開する天藤製薬だ。
天藤製薬は、もともと消化器外科医であり現在は高齢者を多く診る在宅医の石井洋介氏、観便腸活サポートアプリを運営するウンログとタッグを組んで、医師からアドバイスがもらえる「便質改善サポートツール」、ゲーム感覚でうんちの知識を身に付ける「観便検定」を開発した。
今回は、天藤製薬が進める「便質改善プロジェクト」の取り組みと便質改善の重要性について、天藤製薬 マーケティング部長の沖津孝幸氏、マーケティング部 ブランドコミュニケーショングループマネジャーの仲田博貴氏、マーケティング部 プロダクトデザイングループマネジャーの寺田晴奈氏、在宅医の石井洋介氏に話を聞いた。
痔の薬の会社が取り組む「便質改善プロジェクト」
天藤製薬は「便質改善プロジェクト」に取り組んでいる。
この「便質改善プロジェクト」は、日本人の便質に対する意識を高めることで、心身の健康を向上させることを目的とした取り組みだ。
このプロジェクトの中核を担っているのが、天藤製薬が約30年ぶりに開発した新商品「ボラギノールスムース便秘薬」だ。
この商品は、排便教育が手薄とされる日本社会に、便質改善という行動を根付かせ、より多くの人々の健康増進に寄与するために、「便の質を改善することで、心身ともに快適な排便を実現する」ことを目的として開発された。
この商品の提供に加えて、便質改善という考えに関する啓発活動もセットで行っていくべく、天藤製薬は医師や膨大な便のビッグデータを活用して研究を行うウンログと連携することで「便質改善プロジェクト」を立ち上げたという。
これまで天藤製薬は、ボラギノールシリーズとして痔疾用薬の開発・販売しか行っていなかったが、今後は痔になってからでなく、痔にならない世界を目指し、創業以来培ってきた「おしり悩みに寄り添う姿勢」はそのままに、痔と便秘の関係に着目した。
そこから見えてきたニーズに応える「便秘薬」として「ボラギノールスムース便秘薬」を開発したのだという。
「これまでは、便は『とりあえず出れば良い』という視点で見られることが多くありました。しかし、便にも質があります。無理やり便秘を改善しようとして、便秘薬を飲むと下痢を患ってしまう方が多い傾向にありました。そのため、きちんと『便質』の把握・改善・向上を進めることを訴求していくことが重要であると考えました」(沖津氏)
ここで着目されている「便質」とは、便の硬さ・色・においなどを総合的に評価した「便の質」のこと。この便質を自身で把握することで、病気のサインに気付くことができたり、小さな体調の変化も感じ取ることができるという。
「以前実施した調査によると、便質が良好な人の方が『幸福度が高い』『睡眠の質が高い』ことなどが可視化されたことに加えて、便質改善を意識し始めてから便通に対する変化だけでなく『メンタルが安定するようになった』といった回答もありました。このように、便質への意識が、自身の生活の質(QOL)や健康に対する意識の向上に寄与する可能性も示されています」(寺田氏)
「便質改善サポートツール」と「観便検定」
このような背景から天藤製薬は、2023年に「便質改善プロジェクト」の第1弾として、「便秘薬に関する意識調査」を実施。調査結果について、うんちをモチーフにしたインフォグラフィックスである「ウンフォグラフィックス」としてまとめる取り組みを行った。
そして2025年に入り、これに続く第2弾の取り組みとして、日本人のうんちに対する意識を測る「全国統一うんち調査」を実施し、便の質によって医師からアドバイスがもらえる「便質改善サポートツール」とゲーム感覚でうんちの知識を身に付ける「観便検定」の2点を開発した。
「便質改善サポートツール」は、「ウンログ」内で便の状態を記録・登録することで、石井先生から便質改善のためのアドバイスが受けられる「便質改善アドバイス機能」。
「天藤製薬が実施した『全国統一うんち調査』によると、便質改善のために行動をしている人の多くが『やり方が分からない』『自分に合うかどうか分からない』といった悩みを抱えていることが分かりました。また、便質改善のための行動を取れていない人も『自分に合う方法が分からない』『便質改善の方法が分からない』といった回答が多く寄せられています。こうしたことから、便質を改善する『方法』が分からないだけで、実際に行動に移したいと考えている人は意外と多くいるとのでは考えています」 (仲田氏)
この機能は、このような課題を解決し、より多くの人が自分に合った便質改善方法を見つけられるようサポートするものとなっている。
また「観便検定」は、腸活プロデューサーである長瀬みなみ氏が監修したもので、便質を確認するための「観便」や「便質改善の方法」に関しての検定を受けられる機能となっている。
4択のクイズ形式で「観便の基礎知識」「便秘解消の方法」「腸内環境の整え方」「正しい腸活習慣」など、日常生活に役立つ知識をわかりやすく学ぶことができる。このようにゲーム要素を取り入れることで、ユーザーが継続的に楽しくうんちや便質について学べるサービス設計となっているのだという。
この機能を通じて、ユーザーが便質や腸内環境に関する正しい知識を楽しく身に付け、日常生活に役立てられることを目指しているという。
「観便」は何故大事なの?医師が解説
上記の機能でも挙げた通り、便質の向上には「観便」が欠かせないキーワードとなっている。しかし、現代社会において、この便の質をチェックする「観便」の習慣が根付いておらず、多くの人がその重要性や正しい方法を知らないのが現状だ。
「医療において『週に何回排便があったか』『どんな形の便だったか』といった情報は、体温や血圧などと並んで重要な情報です。しかし、体温や血圧は自宅でも日常的に計る人が多いのに対して、何故か便について記録をする人は少ない。便を見ることで気付ける病気などもたくさんあるにも関わらず、見ていないからそのサインに気付くことができない。このリスクを回避するために『観便』を推奨しています」(石井氏)
そこで天藤製薬は取り組みの一環として、医師の石井洋介氏の監修のもと、誰でも簡単に観便が実践できる「観便のお作法」を制作した。
「観便のお作法」は、その名の通り、観便のやり方をイラストを用いてポップに表現したもの。形・色・量・においなどの指標や、どんな心構えで観便に取り組むべきか、といったことが分かりやすく記載されている。
石井氏は最後に「病気の早期発見のためにも観便を広めていきたい」という今後の展望を語ってくれた。
「医師という立場からすると『受診したころには手遅れという人を1人でも減らしたい』という想いが強いです。病気の早期発見には、便を見る習慣が身について、『いつもと何か違う』という身体からのサインに気付けることが大切だと思っています。1人でも多くの人が観便を習慣化できるように私も頑張っていきたいと思っています」(石井氏)








