暑い日に頭が痛い、なんだか体調がすぐれない―――そんなとき、手に取るのが市販薬。でも、「熱中症に頭痛薬は効かない」という情報もSNSを見かけて、不安になった経験はありませんか?

この記事では、夏に多い体調不良の原因や症状の見分け方とともに、解熱鎮痛剤の正しい使い方を専門医の武井医師が解説。症状に合った市販薬の選び方や、服用時に気をつけたい脱水・空腹・アルコールとの関係、成分別の違いまで詳しく紹介。市販薬を正しく使い、セルフケアに役立てましょう。

夏場に解熱鎮痛剤を使う際、特に気をつけるべき点や禁忌事項は?

夏場の解熱鎮痛剤の使用では、脱水状態や空腹時の服用を避け、アルコールとの併用は避けるべきです。特に熱中症による発熱には解熱鎮痛剤は推奨されません。

夏場は汗をかきやすく脱水状態になりやすいため、解熱鎮痛剤を使用する際は、十分な水分補給を心がけ、脱水状態での服用は避けてください。特に、利尿作用のある薬を服用している場合は、脱水状態の服用は腎臓に大きな負担がかかり、急性の腎障害のリスクが高まります。

空腹時の服用は、胃腸への負担を増やす可能性があります。特に、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)は胃腸障害のリスクを高めるため、必ず食後または牛乳・胃薬などで胃を保護しながら服用しましょう。

アルコールは肝臓に負担をかけるため、特にアセトアミノフェンなどの肝臓で代謝される解熱鎮痛剤との併用は避けるべきです。服用中および服用前後の飲酒は控えるべきです。

市販薬の「飲み分け」のポイントは?

市販薬の「飲み分け」では、症状や体質に合わせて適切な成分や種類の薬を選ぶことが重要です。解熱、頭痛、生理痛、歯痛など、症状ごとに適した成分が異なります。

例えば、キソプロフェンは炎症を伴う強い痛み、アセトアミノフェンは胃腸への負担が少ないため高齢者や子供に適しています。症状が続く場合は自己判断せず、医師や薬剤師に相談しましょう。

症状別の選び方と注意点

(1)解熱

アセトアミノフェンは安全性が高く胃にやさしいため、特に小児や高齢者、妊娠中によく使われます。発熱のほか頭痛や軽い痛みにも有効。関節痛や感染に伴う強い発熱には抗炎症作用もあるイブプロフェンが向きます。

(2)頭痛

ロキソプロフェンは即効性があり、幅広い痛みに有効。イブプロフェンは比較的マイルドで副作用も少なめ。胃腸が弱い方や高齢者はアセトアミノフェンが優先されます。

(3)生理痛

子宮の収縮や炎症が主な原因なので、NSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェン)が効果的です。痛みが出始めたら早めの服用を推奨。胃腸障害の既往がある方は注意を要します。

(4)歯痛

ロキソプロフェン、イブプロフェンは炎症を伴う強い痛みに有効です。応急処置として有効ですが、なるべく早く歯科治療を受けましょう。NSAIDsは連続使用を避けましょう。

(5)腰痛・関節痛

ロキソプロフェン、イブプロフェン、外用NSAIDsが有効です。急性の痛みや炎症には内服薬が有効です。慢性痛や軽度には貼り薬や塗り薬も選択肢になります。

市販薬の成分別注意点

(1)ロキソプロフェン

即効性・持続性があり広範な痛みに対応。胃腸障害や腎・肝機能障害、長期連用に注意。

(2)イブプロフェン

口当たりがマイルドで副作用が比較的少なめ。炎症をともなう痛みに有効です。

(3)アセトアミノフェン

副作用が少なく、妊婦・小児・高齢者にも使えます。抗炎症作用は弱めで、主に解熱や軽度~中等度の痛みに使用されます。

全般的な注意点として、下記は確認しておきましょう。

(1)必ず添付文書をよく読み、用法・用量を守って服用してください。
(2)症状が改善しない場合は、医師の診察を受けてください。
(3)他の薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。
(4)過去に薬でアレルギー症状が出たことがある場合は、医師や薬剤師に相談してください。
(5)妊娠中・授乳中の方は、必ず医師や薬剤師に相談してください。
(6)市販薬を複数回服用しても症状が改善しない場合は、自己判断で服用を続けずに、医師の診察を受けてください。

市販薬を選ぶ際には、成分だけでなく、剤形(錠剤、顆粒、カプセルなど)や飲みやすさも考慮しましょう。不明な点があれば、薬剤師やかかりつけ医に相談するのが最も確実です。

夏の体調管理で意識すべきこと

夏の体調管理で意識すべきことは、熱中症対策と生活習慣の両面からアプローチすることが重要です。熱中症対策としては、暑さを避ける工夫、こまめな水分補給、適切な服装、そして暑熱順化が大切です。

生活習慣では、規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスをためないことが推奨されます。具体的な行動は下記のとおり。

(1)のどが渇く前から定期的に水分をとり、発汗が多いときは塩分もあわせて補給しましょう。スポーツドリンクや経口補水液の利用もおすすめです。
(2)バランスの良い食事で、ビタミン・ミネラルもしっかり摂りましょう。朝食を抜かず、食事でも水分をとることが熱中症対策や夏バテ防止につながります。
(3)本格的な夏が始まる前からウォーキングや入浴などで汗をかく習慣をつけ、暑さへの耐性を高めておくと、熱中症予防になります(暑熱順化)。
(4)快適な睡眠環境を整え、体調がすぐれない日は無理せず休養をとりましょう。
(5)屋内外問わず、温度・湿度をチェックし、適度なエアコンや扇風機を活用。遮光カーテンや日よけで直射日光や室温上昇を防ぎましょう。
(6)服装は通気性の良い素材の服を選び、帽子や日傘で直射日光を避けましょう。外出時は冷却グッズを活用するのも有効です。
(7)炎天下や高温多湿の日は無理な運動や外出を避け、適宜休憩をとる。熱中症指数などの情報も活用して、リスク管理をしてください。

自分の体調や暑さに対する反応を見逃さないようにし、熱中症の初期症状や対処法も普段から知っておきましょう。日常の小さな生活習慣改善と、体調への配慮で、夏を安全に健康的に過ごせます。ご自身の体調や環境に合わせて、無理のないペースで暑さ対策を継続してください。

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