宇宙観を根本から変えた地動説。地球が宇宙の中心ではなく、太陽の周りを回っているというこの考え方は、科学の歴史において革命的な転換点となりました。古代の人々が抱いていた宇宙の姿を超え、新たな視点をもたらした地動説の魅力に触れてみませんか?
夏こそ満たしたい“大人の知識欲”シリーズ。今回は『宇宙と物理のしくみがわかる! すごすぎる宇宙・天文の図鑑』(KADOKAWA)より地動説の話をお届けします。
■地球は動いている!地動説は科学革命の始まり
実は紀元前3世紀に、太陽を中心に地球と惑星は回っている(公転)、地球自身も回転している(自転)という地動説を提案した学者がいます。アリスタルコスです。約1800年後、コペルニクスはその地動説を復活させ、よりシンプルに太陽系の動きを説明しましたが、円運動を前提としていたため周転円は残りました。
その後ケプラーがティコの膨大な観測結果をもとに、惑星の軌道が楕円であることを発見すると、周転円は一切必要なくなり、さらにシンプルになります。惑星は天球にはりついているのではなく、宇宙空間をただ動いているのです。
そして近代科学の父、ガリレオが、自作のハイテク望遠鏡で木星の周りを回転する4つの月(衛星)や金星の満ち欠けを発見し、天動説はさらに反証されます。しかしカトリック教会は地動説を禁じます。地動説が象徴する「権威に頼ることなく知識を得ることができる科学的手法」を恐れたのです。これが科学革命の始まりです。
※コペルニクス、ケプラー、ティコ:いずれも天文学者
<地動説豆知識>
「地球が回っているなら、なぜ動きを感じない?」「雲は飛んでいかない?」という古代からの疑問は、ガリレオの相対性原理で解決できます。等速で動く電車で真上に投げた石が元の場所に落ちるのと同じです。
■地動説を信じて殺された人はいない
1600年、哲学者ブルーノは火あぶりの刑に処されました。地動説を信じたからではありません。当時のカトリック教会にとって処刑理由となったのは、主にキリスト教の教義を否定する宗教的異端思想です。しかし「宇宙は無限で中心がなく、無数の太陽(星)が存在し、それらの周囲には惑星がある。その中には人が住む地球に似たものもあるかもしれない」という科学的異端思想もブルーノは信じていました(現代の宇宙論ですね!)。
地球が動く、という考えを当時の教会が嫌っていたことは確かであり、1616年以降、地動説に関するコペルニクスやガリレオの著書は禁書となりましたが、地動説が理由で拷問を受けた人や処刑された人はいません。
人気の漫画『チ。─地球の運動について─』(小学館)で描かれている世界はフィクションです。しかし真実を探究する科学のあり方が学べる良本です。みなさんも読んでみてください。


