TOEIC(Test of English for International Communication)は、英語の運用能力を測る試験として、多くの企業や大学で使用されています。今回は、TOEICをまだあまり知らない方に向けて、TOEICの基礎的な知識と、目標スコア取得に向けた具体的な対策などについて解説します。
そもそもTOEICとは
TOEICは、国際的な英語コミュニケーション能力を測定するための試験です。主に非英語圏の人々(英語を母国語としない人たち)を対象にしており、ビジネスや日常生活での英語の能力を評価します。この試験は、世界中の多くの企業や教育機関で認知されており、受験者の英語力を証明する一つの指標として利用されています。
日本においても、就職や転職の機会に、その人の英語力を示すために最も多く用いられているテストといっていいでしょう。
どのような試験なの?
TOEICは、「リスニングセクション」と「リーディングセクション」の2つのパートに分かれています。各セクションは以下のような内容になっています。
「リスニングセクション」:約45分間で、100問の問題があります。ここでは、日常生活やビジネスシーンにおける英語のリスニング力を測定します。
「リーディングセクション」:同じく100問で、約75分間の時間が与えられます。ここでは、書かれている文章を読んで理解する力を測ります。
試験の形式はすべてマークシート方式で、正当数に応じて、各セクションのスコアが5点から495点、両方を合わせた合計スコアが10点から990点の範囲で示されます。
目標スコアはどう設定する?
TOEICを受験したことのない人にとって、どのように目標スコアを設定するかという問題があります。私がお勧めしているのは、英検の受験経験から判断する方法です。英検であれば、学生時代に多くの方が受験の経験があると思います。
TOEICも英検も「CEFR(セファール)」という外国語学習者の習熟度レベルを示す指標を使って換算できます。CEFRでは外国語の習熟度を、低い順からA1、A2、B1、B2、C1、C2と6つのレベルに分けています。
CEFRからは、次のようなスコアの目安が示されています。TOEIC受験時の目標スコアの設定に役立ててください。
- A2レベル=英検準2級、TOEIC225点
- B1レベル=英検2級、TOEIC550点
- B2レベル=英検準1級、TOEIC785点
- C1レベル=英検1級、TOEIC945点
また英検を受験したことがない人のために、学歴などによるスコアの目安を並べてみます。
- 日本人受験者全体の平均点:560点
- 高校卒業時の平均点:500点
- 大学卒業時の平均点:610点
- 国際基督教大学(日本の大学で平均点1位)の平均点:889点
- 総合商社(業種別で平均点1位)の平均点:835点
- 多くの企業が新卒採用で参考にしているスコア:550~600点
目標スコア達成のために必要なこと
すべてのレベルに共通する学習法
まず、教材についてですが、どのようなスコアを目指すにせよ、「公式TOEIC Listening & Reading 問題集」(通称「公式問題集」)はTOEIC受験者必須の教材といえます。2025年7月時点で、vol.1~vol.11まで発売されていますが、最新の傾向まで反映しているvol.11を用いるとよいでしょう。公式問題集はTOEICの問題作成機関であるETSという組織が作成している唯一の問題集です。そのため、その内容はテスト本番で出題される問題傾向に酷似しています。
公式問題集を用いてまずはじめに行いたいことは、問題を実際に解いてみて、「リーディングパート」における解答ペースを把握しておくことです。「リーディングパート」は75分間で100問の問題を解答しますが、大半の受験者は解答時間が足りなくなります。そのため、難易度の高い問題や自分の苦手とする問題は思い切って捨てる(解答しない)ことも必要になってきます。こういった点を、本番前に公式問題集で確認しておきます。
そして、先ほどのCEFR別に、お勧めの教材と学習方法をお伝えしましょう。
A2(TOEIC225点)を目指す方
この得点層の方は、まず、TOEIC教材を用いるというよりも、市販されている「中学英語」などの英語の基礎的な学習から取り組まれるといいと思います。TOEIC公開テストの日本人の平均点は毎年600点弱になっています。市販されているTOEICの教材は、この得点層か、もしくはその上の層を対象にして作成されているものが大半です。したがって、A2レベルの方からすれば難易度が高すぎ、効率的な学習につながらない恐れがあります。
わたしがA2レベルの方にお勧めしているのは、中学レベルの参考書や問題集(なるべく分量の少ないもの)をまずは一冊終わらせてみることです。可能であれば、自分が学生時代に使用していたものが好ましいです。これらの学習を一冊終わらせてみることで、達成感も出てきますし、何よりかつての学習記憶がよみがえり、学習モチベーションが上がる場面もよく目にします。
B1(TOEIC550点)を目指す方
どのような英語の試験においても「対策」は非常に大切です。平均点近くのスコアをとれるのであれば、地道に英語力を上げていくことにプラスして、TOEIC対策を多く取り入れていきます。TOEICにおける対策としては、大学受験英語などではあまり目にしなかったTOEICに頻出の語句を抑えていくことが大切です。私のお勧めの一冊は、TOEIC対策のバイブルとまで言われている「TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ」です。
「金フレ」という愛称で親しまれているこの学習書は、数あるTOEIC教材の中でも数年間にわたり売り上げがナンバーワンとなっています。私の目から見ても、これだけ長期にわたって英語学習者から支持されるだけの理由は十分にあります。
B2(TOEIC785点)を目指す方
このあたりの得点層の方は、基礎的な英語力は身についていると思います。スコアをさらに上げていくには、TOEICの演習問題を多く解いていくことが必要です。とくにリスニング・リーディングのすべてのパートで苦手な部分(出題パターン)があると伸び悩んでしまいます。特に、リーディングセクションのパート7の「メール問題」や「記事問題」を苦手にしている人が多くいる印象です。苦手な部分を集中的に学習することで、さらにスコアを伸ばすことが可能になるでしょう。この辺りも、前述の「公式問題集」を用いてじっくり学習されるとよいでしょう。
C1(TOEIC945点)を目指す方
英語上級者と認識されるCEFR C1レベルの方は、自分なりの英語学習法が確立している方が圧倒的だと思います。今後さらにTOEICのスコアを伸ばすためには、本番と同じ状態でTOEICの問題を行っていきます。例えばリスニングであれば、休憩をはさむことなく実際の試験のように45分間で100問解き切ります。45分間英語の音声に集中し続けるにはかなりの集中力が必要とされます。このような、英語力以外の部分を意識したTOEIC対策も有効です。
さいごに
今回は、TOEICについての初歩的なお話をさせていただきましたが、最後に、受験後に発表されるスコアについてです。TOEICをはじめて受験する場合や、しばらく英語学習から遠ざかってから受験する場合、自分の想定していたスコアよりも低いスコアが出てしまうことがあります。しかし、そこで学習モチベーションを落としてはいけません。
英語のテストにおいて大切なことは、「英語力」と「対策」です。これは、高校受験や大学受験、または、英検などの資格テストなど、どのようなテストにも当てはまります。自分が考えていたスコアより低いスコアが出ると、普段の英語学習が実を結ばなかったと考えてしまいがちですが、実はそうではなく、TOEICの問題形式に慣れていなかっただけで英語力自体は上がっている場合も多くあります。英語学習にはある程度の時間が必要なので、1回2回のスコアだけで判断するのではなく、長期的な視点でスコアの向上を望まれるといいと思います。
