子宮頸がん検診の結果が「要精密検査」だったとき。自分はがんなのか、悪い状態なのか、とても不安になりますね。あらためて子宮頸がんのことと検査結果の受け止め方を知り、落ちついて精密検査を受けましょう。

  • 婦人科検診を受ける女性

    ※画像はイメージです

■子宮頸がんとは?

子宮頸がんは子宮の入り口にあたる「子宮頸部」にできるがんです。

<若い世代にも多いがん>

近年増加傾向にあり、日本では年間約10,000人がかかり、約3,000人が命を落としています。比較的若い年代でかかることが多く、20代後半から増加し、30~40代に最も多く見られます。

<自覚症状と原因>

初期には自覚症状はなく、進行すると不正出血や性交時の出血、下腹部痛、おりものの異常が起こります。早期発見・早期治療によって治癒が可能で、先進国ではワクチン接種と検診によって予防・撲滅ができるといわれています。

原因は性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)です。ただし、このウイルスに感染すると必ず発症するわけではありません。

実は感染しやすいありふれたウイルスで、性交経験がある人のほとんどは生涯に一度は感染するといわれています。感染しても多くは一時的なもので、ウイルスは自然に消えてしまうといわれています。ごく一部で感染が続いた場合に、細胞に異常が起こり、そこから数年~数十年かけてがんになっていくと考えられています。

■検診結果はどう解釈する?

子宮頸がん検診では、問診、視診、内診のほかに「細胞診」といって、医師が子宮頸部を専用のブラシでこすって細胞を採取する検査があります。これを顕微鏡で確認しておよそ1ヶ月後に検査結果が出ます。細胞診で採取した細胞がHPVに感染しているかを調べる「ハイリスクHPV検査」をあわせて行うこともあります。

<検査結果は「異常なし」と「要精密検査」の2つ>

「異常なし」の場合、その時点では異常が認められなかったということです。異常がなかったとしても、その後も定期的に子宮頸がん検診を受けてそのときの状態をチェックすることが大切です。なお、検査の頻度としては細胞診(20歳以上)の場合は2年に1回、HPV検査単独法(30歳以上)の場合は5年に1回が推奨されています。

「要精密検査」は、検診で異常が認められたので、詳しい検査が必要な状態です。この時点では、まだがんがあるかどうかはわかりません。がんになる前の段階も含めて、細胞の異常があった場合に再検査が必要となるからです。検診で見つかった異常がどんなものか確認するために、結果を受け取ってから1ヶ月以内を目途に精密検査を受けましょう。

■精密検査はどこで受ける?

子宮頸がんの精密検査は婦人科がある医療機関で受けられます。ただ婦人科でも必ず実施しているとは限りません。自治体の案内などを参考に実施している医療機関を確認してから受診するといいでしょう。

■精密検査は何をする?

精密検査では「コルポスコピー」や「組織診」が行われます。

コルポスコピーは拡大鏡で腟や子宮頸部を観察し、正常か異常か、浸潤がんがあるかなどを調べる検査です。組織診はがんの診断でよく行われる検査で、病変部の組織を採って顕微鏡で調べます。必要な場合は子宮頸部を円錐状に切除する円錐切除術を行うことがあります。

検査時は痛みや出血を伴うこともありますが、個人差があります。不安なことは医師や看護師に確認し、できるだけリラックスして受けられるといいですね。

■精密検査の結果が出たら

精密検査でわかることは、その時点で異常はないか、がんになる前の段階か、子宮頸がんになっているかです。

子宮頸がんにはがんになる前のCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)という段階があります。進行度によってCIN1、CIN2、CIN3の3段階にわけられます。

・CIN1:軽度異形成といって異常な細胞はあるものの少ない段階
・CIN2:中等度異形成といってCIN1より異常な細胞が増えた段階

CIN2までの段階では、がんに移行することなく自然に治癒する場合もあり、すぐに治療は行いません。その後は医師の指示に従って定期的に検査を繰り返すことになります。

・CIN3:前がん病変と呼ばれ、高度異形成という異常な細胞が増えた状態や上皮内にがん細胞がある場合

CIN3から段階が進んで上皮からがんが浸潤すると、子宮頸がんのⅠ期となります。CIN3または子宮頸がんと診断されたら、画像検査などより詳しい検査が行われ、がんのステージに応じて治療を始めます。

■予防でできることはある?

子宮頸がんの予防のためにできることは、ワクチン接種と子宮頸がん検診を受けることです。HPVワクチンでは、すでに感染したウイルスを排除することはできません。年齢が上がるとワクチンの予防効果が弱くなるほか、ワクチンで予防できない型のHPVもあります。性交渉を経験する前の若い段階でワクチン接種をすること、その後は定期的に子宮頸がん検診を受けて、早い段階で異常を見つけることが大切です。

■前向きな気持ちで精密検査へ

子宮頸がん検診で「要精密検査」となっても、がんになっているとは限りません。2022年のデータでは、精密検査を受けた人のうち、がんが見つかった人の割合は1%ほどでした。とはいえ、大切な自分の体のことです。子宮頸がんは早期発見・早期治療で治癒が期待できるので、必ず速やかに精密検査を受けてください。

最後に子宮頸がん検診と要精密検査後の対応に関して、産婦人科の専門医に聞いてみました。

子宮頸がんの95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染が原因とされています。ただし、HPV感染すると必ずがんが発生するわけではなく、HPV感染者の一部に前がん病変が出現し、時間をかけて浸潤がんに進展すると考えられています。子宮頸がんを未然に防ぐための1次予防としてHPVワクチン接種があり、がんの早期発見、早期治療のための2次予防として子宮頸がん検診があります。

子宮頸がん検診には、子宮頸部の細胞を顕微鏡で観察する「子宮頸部細胞診」、子宮頸部へのHPVの感染状態を評価する「HPV検査」があります。一般的に行われているのは子宮頸部細胞診です。細胞診では、専用のブラシなどで子宮頸部の細胞を擦りとり、顕微鏡で観察し、異常がないかを調べます。近年は一部の自治体でHPV検査単独法が導入されています。

細胞診異常の場合、産婦人科受診が勧められます。精密検査では、子宮頸部を観察し(コルポスコピー検査)、病変と考えられる部位を小さく切除して顕微鏡で観察して調べます(組織診)。HPV検査を併用することもあります。組織診の結果によって、経過観察や手術など、その後の方針を検討します。

手石方 康宏(ていしかた やすひろ)先生

一宮西病院 産婦人科/医長
資格:日本専門医機構認定 産婦人科専門医