女優の長澤まさみが主演を務める映画『ドールハウス』(公開中)が、招待作品として上海国際映画祭で上映された。クロージング・レッドカーペットには長澤と矢口史靖監督が登場し、謎の人形「アヤちゃん」の姿も。
長澤まさみが中国語、上海語の挨拶に挑戦する場面も
『ドールハウス』は、亡き娘と似た人形に翻弄される家族の恐怖を描いたミステリー映画。
上海国際映画祭では、招待作品として上映され、クロージング・レッドカーペットには、長澤まさみと矢口史靖監督、謎の人形「アヤちゃん」が登場した。
黒いグラデーションのロングドレスを着用した長澤は、アヤちゃんの人形と手をつないで登場。司会者に呼び止められ、挨拶を求められた長澤は「大家好、我很高兴来到上海。(皆さん、こんにちは、上海に来るのが楽しみでした!)」と中国語で挨拶し、司会と報道陣を魅了。さらに司会に教えられながら「到上海看 电影!(上海で映画を観ましょう!)」と上海語の挨拶にも挑戦した。
クロージング・レッドカーペットの後には、クロージング・セレモニーが行われ、長澤は「最優秀女優賞」のプレゼンターを、中国を代表する女優・咏梅(ヨンメイ)とともに務めた。プレゼンターの2人がステージに立つと会場中から歓声が。長澤は、咏梅に「女優として、一番難しい役は何だと思いますか?」と聞かれると、「まだ誰も演じたことのない、息の吹き込まれていない役を演じるということは、いつも難しいことだなと思っています。でもその難しさを乗り越えた先に幸せが待っている、そんな風に思っています」と答え、咏梅も「とても共感します」と気持ちを分かち合った。そして最優秀女優賞を受賞した中国の女優・万茜(ワン・チエン)にトロフィーを渡し、長澤と万茜は笑顔で抱き合った。
上映はその夜、中国最古の大型映画館の一つとして上海の誰もが知る「上海大光明 電影院(上海グランドシアター)」で行われた。チケットは完売で、上映中、何度も大きな悲鳴や笑い声が客席から巻き起こっていた。上映後の舞台挨拶には長澤と矢口監督が登場。上映終了直後の観客の興奮と相まって、割れんばかりの歓声が会場中に鳴り響く。舞台挨拶の冒頭で長澤は中国語で挨拶すると、観客は大いに沸き立ち、矢口監督も負けじと中国語で挨拶し、会場を盛り上げた。
Q&Aでは多くの観客が質問しようと挙手し、熱い質問が相次いだ。初めての怖い映画への出演について聞かれた長澤は「怖い映画はそんなに見たことが無くて、見てみたいな、気になるな、とずっと思っていました。この作品に出演するのをきっかけに、凄く興味が湧いた、そんなジャンルです」と回答。また、アヤちゃんの設計のインスピレーションについて熱心なファンから尋ねられた矢口監督は「人形が怖い映画、動き出すと怖くなくなってしまう気がしたので、人形が動くところは見せないようにしました。そしてCGも使わないようして作りました」と製作秘話を明かす。さらに、「続編を作り辛くなる描き方はしなかったです(笑)」と冗談めいて話すと、続編を期待する観客から大きな歓声が上った。
怖い映画に挑戦したことで何か新しい発見はあったか、という質問に対して長澤は「毛穴から、体の中から、すべての声が出るような叫びを出すシーンは初めてでした。悪いものが全部出たような、スッキリした気持ちになりました(笑)」と笑いを誘う。
締めの挨拶で長澤は「たくさんのお客さんが今日来てくださったことを嬉しく思います。この映画を楽しんでくださった皆さんの生の声が聞けたこと、大変良い経験になりました。日本では今、映画が公開されています。これからもたくさんの人に観ていただけたらなと思っています。今日は素敵な場を作って下さりありがとうございました」と笑顔で感謝の意を伝え、舞台挨拶は惜しまれつつ終了。
映画祭終了後、長澤は「お客さんが本当に情熱的で、映画が好きなんだ、という気持ちを体いっぱいで伝えてくれて、良い場所に来られたなという気持ちでいっぱいです。撮影してる時は想像できていませんでしたが、こうやって映画がたくさんの人に親しまれて、愛されているということを実感できて、神様からプレゼントをもらったような、そんな嬉しさがこみあげています」とコメント。矢口監督は「実は上映会を一緒に観ていて、絶叫と同じくらい爆笑がありました。上海が一番熱狂的だったと思います」と喜びを露わにし、熱狂の余韻が残る会場を後にした。
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【編集部MEMO】
メガホンをとった矢口史靖監督は、『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』など、コメディタッチの作風を身上としていたが、「いつかオリジナル脚本でミステリーを撮りたい」という長年温めてきたアイデアを、本作で実現する運びとなった。ワールド・プレミアとなったポルト国際映画祭では5分間に及ぶスタンディングオベーションが起こり、最高賞である「Best Film Award」を受賞。香港国際映画祭や、ヨーロッパ最大の映画祭であるウディネ・ファーイースト映画祭でも絶賛され、20を超える国と地域での上映が決定している。