暴力団員、殺人犯など、それぞれ100を超える作品で悪役を演じてきたという俳優の阿部亮平と山根和馬。自分たちの意外な一面を見せたいとの思いで2019年に悪役俳優ユニット「純悪」を結成。ヘルプマークの役割を伝える動画など、強面な見た目とのギャップが話題となり、SNSフォロワーとYouTube登録者の合計は140万人を超える。さらに純悪の活動がきっかけで、現在放送中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に2人そろって出演を果たした。6日放送のNHK Eテレのトーク番組『超越ハピネス』(毎週金曜22:30~)に出演する2人にインタビューし、純悪としての思いや活動を始めてからの変化などを聞いた。
――『超越ハピネス』の収録はいかがでしたか?
阿部:楽しかったです。純悪として活動を始めてから、役者では行けないような現場にも行かせてもらっているなと感じます。
山根:かなりいろいろしゃべらせてもらいましたが、物事の価値観は自分で決めるというのを意識することによって、ちゃんと自分のラインを見定められるという、自分がいつも思っていることを伝えられたらと思います。
――改めて純悪を結成した時の思いをお聞かせください。
山根:何かしらになればいいなという感じで、強い思いがめちゃくちゃあって始めたわけではないです。普段は台本が用意されていてそれを演じますが、自分たちで映像を作れば、悪役として人を殴ったり、追いかけたり、捕まったりという以外の表現ができる。そういうアプローチがしたいと思って始めました。
――どちらから提案を?
山根:僕が誘いました。たぶん誘った3日後ぐらいには撮影していたと思います。
――阿部さんは誘われた時、どう思いましたか?
阿部:普通に「いいよ」という感じで、役者として仕事の幅が増えればいいなと思いました。役者は待つ仕事というか、オファーをもらって役を演じますが、だいたい悪い役が来るんです。動画で悪くない自分たちを見せていけば、悪役以外も増えるのではないかなと思って始めました。
――純悪の活動を始めた頃は悪役が7割くらいだったそうですね。
山根:もっとじゃないですかね。8割くらいだと思います。
――もともと悪役俳優を目指していたわけではなかったとのことで、悪役オファーが多いことに葛藤はありましたか?
阿部:特にないです。お仕事をいただけるというのはありがたいことなので。
山根:悪役が嫌というのは一切ないです。悪役も面白いし楽しいんですけど、ずっとそればかりというのも。僕たち自身は悪ではなく、僕たちの私生活を知っている人たちは悪役という印象ではない人も多いですし、アプローチの仕方次第で見方は変わると思うので、そこを変えたいという思いで、悪役ではない役を投稿していきました。
――TikTokのフォロワー71.9万人、YouTubeの登録者数48.7万人と大人気ですが、ここまでの盛り上がりになると思っていましたか?
阿部:全く思ってないです。最初は役を広げたいという思いで始めたので、こんなにちびっ子に指をさされるようになるとは思ってなかったです(笑)
――実際、役の幅の広がりなど、状況はどう変わりましたか?
阿部:まさに『べらぼう』じゃないですかね。朝ドラ『らんまん』にも2人で出演させてもらって。コンビで、しかも悪い役ではなくコミカルな役のオファーが来るというのは、変わったなと思います。個人でも、悪い役ではない役をいただけるようになりましたし、現場でも俳優さんやスタッフさんから「純悪見てます」と声をかけてくれる人が多くなり、みんなに見てもらえているんだなと感じます。
山根:僕たち自身はあまり変わっていませんが、状況は変わりましたね。
――悪役の割合はどれくらい変わりましたか?
阿部:だいぶ変わりました。例えば、今やらせてもらっている作品が2~3個あるんですけど、全部悪い役ではないです。今までだったら、2~3個あったら、3個とも悪いか、2個悪かったんですけど、完全に変わっています。
山根:年齢的な部分もあるとは思いますが、広く自分たちを見せることによって、役の幅は変わるんだなと実感しています。