月経(以下、生理)の間隔や日数などは個人差が大きいもの。規則的に生理が来る人もいれば、不規則な人もいます。多少の遅れや早まることは誰でもあるといわれますが、これって生理不順? と気になることも多いでしょう。どこからが生理不順なのか知るために、おさえておきたいチェックポイントを紹介します。

  • 生理不順の女性

    ※画像はイメージです

■生理不順とは

生理周期の正常な日数は25~38日とされています。この範囲を外れた場合、短い場合も長い場合も生理不順となります。生理が始まったばかりの思春期や閉経前の更年期に起こりがちですが、それ以外の年代の女性でも珍しいことではありません。

特に生理周期が24日以内を頻発月経(ひんぱつげっけい)、39日以上3カ月以内は希発月経(きはつげっけい)といいます。3カ月以上生理が来ない場合は無月経と呼ばれます。

■生理不順の主な原因

生理周期が乱れる主な原因はホルモンバランスが崩れることです。

生理には卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2つの女性ホルモンが関わっているといわれます。ですが実際には、このほかに脳の視床下部から出る性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、脳の下垂体から出る卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)と、さまざまなホルモンが関わっています。この中のどれかひとつでも分泌がうまくいかないと、ホルモンバランスは崩れていきます。

ホルモンバランスを崩す原因としては、精神的なストレスや過激なダイエット、肥満、不規則な生活、運動不足があげられます。子宮や卵巣、甲状腺などの病気や薬の副作用で崩れることもあります。

■生理不順を見極めるチェックポイント

生理不順が心配なとき、チェックしたいポイントを紹介します。

<生理周期をチェック>

生理周期は、生理が始まった日を1日目とし、次の生理が始まる前日までを数えた日数です。正常範囲は25~38日。生理周期が24日以内(頻発月経)、または39日以上(希発月経など)が続く場合は生理不順となります。

なお、少しのズレはよくあることで、25~38日の中であれば数日(6日以内)前後しても正常範囲とされています。まずは3~5カ月ほど生理日を記録して、自分の生理周期をチェックしましょう。

<経血量をチェック>

経血の量も個人差がありますが、正常な量は20~140mlといわれています。20mlより少ない場合は「過少月経」、140mlを超える場合は「過多月経」となります。

経血の量を把握することは難しいものです。目安として、1時間も持たずにナプキンを交換する必要があるようなときは、経血量が異常に多い過多月経と考えられます。過多月経はホルモンバランスの乱れによって一時的に起こることもありますが、続く場合は子宮の病気が疑われます。

逆におりものシートで済んでしまうような少量の出血しかない場合は、過少月経かもしれません。過少月経はホルモンバランスの乱れのほか、子宮発育不全によって起こることもあり、放置すると将来的に不妊や子宮の病気につながる可能性があります。

<生理期間をチェック>

正常な生理日数は3~7日間です。2日以内で終わるような極端に短い生理は「過短月経」、8日以上続く場合は「過長月経」になります。いずれもホルモンバランスの乱れのほか、子宮の病気が原因のこともあります。

なお、過多月経と過長月経、過少月経と過短月経は、それぞれ同時に起こることが多く、原因も同じであることが少なくありません。

<基礎体温をチェック>

基礎体温を測定して記録すると、排卵の有無など女性ホルモンの変動をある程度把握できます。生理不順が心配な場合、基礎体温も記録しましょう。グラフがガタガタで自分ではわかりにくい場合でも、産婦人科に持参すると診断や治療の役に立ちます。

■生理不順の場合の受診の目安

もしかしたら生理不順かもと思ったら、どんなタイミングで受診をすればいいのでしょうか。はっきりとした目安はありませんが、生理不順が一時的ではなく続くときには産婦人科を受診しましょう。

さらに、激しい痛みを伴う場合、突然経血量が増えたとき、妊娠していないのに生理が3カ月以上来ないときなど、今回ご紹介したような生理に異常が見られるときは積極的に受診してください。

生理不順の陰に病気が隠れていることもあるほか、ホルモンバランスの乱れは放置すると不妊につながることも考えられます。特にこれから妊娠を希望している人は、生理に不安があれば早めの受診をおすすめします。

最後に生理不順(月経不順)に関して、産婦人科の専門医に聞いてみました。

月経は、視床下部、下垂体、卵巣からのホルモン分泌によってコントロールされています。したがって、ホルモン分泌に影響を与える、生活環境のストレス、体重の増減、内分泌疾患、薬剤などが月経不順の原因となりえます。携帯アプリなどを使用して自分の月経周期について記録すると、客観的な把握に有用なだけでなく、病院を受診する際にも役立つと思います。

月経不順の原因を診断するためには、月経の記録を含めた問診をもとに必要な検査(血中ホルモン値、エコー検査など)を行います。それぞれの原因に応じた治療を行いますが、器質的な疾患がない場合には、ホルモン分泌をコントロールするため、ホルモン療法を行うことがあります。ホルモン療法は、月経不順だけでなく、月経痛などの月経による体調不良を改善する効果もあります。

女性はその人生において約40年間、毎月、月経を経験することになります。月経という生理現象の理解を深め、ホルモン療法による月経コントロール方法を知ることで女性自身のQOLが大きく改善する可能性があります。

手石方 康宏(ていしかた やすひろ)先生

一宮西病院 産婦人科/医長
資格:日本専門医機構認定 産婦人科専門医