バイク王&カンパニーが運営するバイク未来総研はこのほど、最新の「リセール・プライス」ランキングを発表した。同社が独自に調査したバイクの人気ランキングだが、1位に輝いたのはどんなバイクだろうか?

  • 首位に輝いたホンダ「X-ADV」

■ホンダ「X-ADV」が首位に返り咲き!

リセール・プライスとはバイクを再び売却(=リセール)するときの価格(=プライス)についての指標だ。

今回のランキングでは、2025年2月現在、新車で購入が可能なバイクを対象とし、業者間オークションで売却した際の落札金額の平均値と新車販売価格を基にリセール・プライスをポイント化している。

この指標は年間10万台以上の中古バイクを取り扱うバイク王のデータを基にバイク未来総研が独自に集計したもの。「リセール・プライスが高いバイク」は需要の高いバイク、つまり「人気のあるバイク」と言い換えることもできる。

今回のランキング(バイク未来総研調べ)は2024年12月〜2025年2月が対象。今回は前回のランキングで僅差の2位となった「ホンダ・X-ADV」が首位に返り咲いた。

  • 「リセール・プライス」ランキング(バイク未来総研調べ、対象期間は2024年12月~2025年2月)

■首位に返り咲いた「X-ADV」、最新モデルの発売が影響?

昨年、年間を通してランキング上位の常連となった「X-ADV」。国内では街乗りからツーリング、アウトドアレジャーまで、汎用性を求めるユーザーからの支持を集め、海外でも人気が高い。今回のランキングでは前回より9.9ポイントアップし、前回首位のカワサキ「Z900RS SE」との差を拡げた。

「X-ADV」は2024年12月12日に2025年モデルが発売となり、集計対象期間が2024年12月〜2025年2月の3カ月であったため、発売直後で特に注目度が上がり、価格に影響したものと思われる。

■3位は前回8位よりランクアップ! ホンダ「ADV160」

  • ホンダ「ADV160」

今回、3位にランクインしたホンダ「ADV160」は、「ADV150」の後継モデルで2023年1月に発売となった。新エンジンeSP+の搭載による走行面での進化や、後輪のスリップを抑制するHSTC(ホンダセレクタブルトルクコントロール)の実装によるプロテクション性能の向上、さらにはウインドスクリーンの形状変更による防風・騒音の低減など、高速道路の走行を含む遠距離移動に対応した設計となっている。

160ccクラスという絶妙なサイズ感は、その小回りがきく特性をいかして街乗りを得意とする一方で、高速道路の走行もできるためツーリングでも活躍。さらに未舗装路でも走りやすく、アウトドアレジャーにも適応した汎用性の高さが人気の要素のひとつとなっていると思われる。

また、首位の「X-ADV」同様、スクーターでありながら長らく一定の人気を誇るアドベンチャーのテイストをミックスした“遊び心"こそ、唯一無二の“アドベンチャースクーター"として国内外から注目を集める要素となっていると推察される。

■ホンダ「スーパーカブ C125」、8位に初ランクイン!

  • ホンダ「スーパーカブ C125」

8位には、原付二種の排気量ながらホンダ「スーパーカブC125」が初のランクイン。「スーパーカブC125」は初代の「スーパーカブC100」を現代風にアレンジしたデザインで、滑らかなフォルムと美しい塗装の風合いが高級感漂う仕上がりとなっている。

懐かしさを感じさせるデザインでありつつ、フルLEDとした灯火類やスマートキーなどは現代の装備となっており、クラシックとモダンが絶妙に調和したバイクである点が、多くのライダーの所有心をくすぐる要素となっている。

■物価高騰が続く中、コスパ面がランキングに影響?

今回、ランキングに原付二種のバイクがランクインしたのは「コストパフォーマンス」が重要な要素となっていると考えられる。

原付二種のバイクは、軽二輪以上のバイクと比較した場合、車両本体価格が安価で、かつ良好な燃費となることが多く、購入費用と維持費を抑えることができる。

また、原付二種は、自動車を保有していれば自動車の任意保険に付帯できるファミリーバイク特約など安価な任意保険などが存在し、さらにコストを下げる余地がある。

今回は、総合ランキングの中で、比較的安価な車体価格の原付二種「スーパーカブC125」が8位に入った点がトピックスだ。通常、大きな車体であるほど高額になるので、価値としては大きな車体の方が高い。

その人気の理由について、バイク未来総研では以下の通り分析している。

原付二種は、大きな車体と比べた時に、維持費が安く、車体価格が安価な点で人気が集まり、人気が集まると新車価格と中古価格の差がなくなる、といった現象になります。
 
物価高騰・燃料費高騰という世知辛い社会背景の中、コスパのよいバイクで、かつスタイリッシュな「スーパーカブC125」のような、(大型と比べたら安い)バイクが求められているのではないでしょうか。

カブシリーズは、頑強さにおいて国内外で一定の評価を得ている人気のバイクでもある。長く乗り続けることが期待できる点も、コストパフォーマンス面においてさらなるプラス要素となる。

昨今の物価・燃料費が高止まりするなか、コストを抑えられて所有したいという気持ちをくすぐられる「スーパーカブC125」は、時勢とライダーのニーズに合ったバイクの1台であると言える。 

また今回のランキングについて、バイク未来総研所長の宮城光さんはこんな解説を寄せている。

ホンダ「X-ADV」がふたたび首位に返り咲き、また3位にホンダ「ADV160」がランクインしたのは興味深いポイントです。諸説あると思いますが、「X-ADV」をスクーターと見る場合、"アドベンチャースクーター"というジャンルが人気と言うことができます。
 
未舗装路でも活躍できるスペックから、海外でも一定の需要はあるでしょうし、国内では近年流行のキャンプツーリングなどもこなしつつ、160ccの車格なら国内外問わず街乗りも難なくこなせると言ったところでしょう。クルマでもSUVが人気で、「いざとなったら道なき道もいける!」的な汎用性の高さが昨今、求められているのかもしれません。
 
また、排気量を問わない総合ランキングの8位に、原付二種の「スーパーカブC125」がランクインしたのも実に興味深い現象です。
 
モデルとなった初代の「スーパーカブC100」は、言わずと知れたホンダの名車で、日本のみならず、世界の後進国の高度経済成長を支えたといっても過言ではない、知名度抜群のバイク。バイクに詳しくない人でも一度は聞いたことがあるでしょう。
 
そんなスーパーカブシリーズが現代風にアレンジされたとあれば、1人のライダーとしては興味をそそられます。排気量のアップに加えて、ディスクブレーキやキャストホイルの採用は現代の交通環境にマッチしたアップデートと言えます。
 
ここ数年、物価の上昇に所得の上昇が伴わない事がメディアで報じられるなか、ライダーとしては、できるだけ燃料費などバイクの維持費を抑えたい。となると、燃費効率が良い低排気量で維持費を抑えられ、かつ現代風のカラーとフォルムのバイクで所有心をくすぐる、時勢を反映したライダーが好むバイクの1台なのかもしれません。
  • バイク未来総研所長の宮城光さん