フジテレビ系ドラマ『Dr.アシュラ』(毎週水曜22:00~)の第4話(7日放送)が、FODで先行配信されている。
主人公は、命の最前線=修羅場で、どんな急患も絶対に断らない、そしてどんな手を使ってでも絶対に助けるスーパー救命医・杏野朱羅(松本若菜)。命を助けたい、その純粋な思いと卓越した技術で患者を救う姿を描いていく。
“ゴッドハンド”は嘲笑の的に
「日本のゴッドハンド(梵天太郎/荒川良々)が、世界の金融王(スティーブ・フィンク/厚切りジェイソン)の命を救った」という記事が世間に広まっていた。実際には腰を抜かした梵天に代わり救命医・杏野朱羅がフィンクの命を救ったのだが、彼女の名前はどこにも見当たらない。納得がいかない様子の救急科の面々だが、一方で外科の医師たちは梵天の失態をネタにして陰口を叩いており、梵天は嘲笑の的になっていた。
気まずさと後ろめたさを感じる梵天だったが、理事長の阿含百合(片平なぎさ)は梵天を呼びつけ、フィンクの病室へと案内する。フィンクは梵天と対面するなりお礼を述べ、新病院の設立費用の寄付を言い出し、一同は歓喜する。しかしフィンクは一つ懸念事項があると言う。
その頃、朱羅は勤務中にもかかわらず外出。薬師寺保(佐野晶哉)があとをつけると朱羅は古びたラーメン店へ入っていく。保は奇遇を装って朱羅に合流し、2人はラーメンを堪能。その帰路、ラーメンのおいしさに感激しっぱなしの保だが、朱羅は「後味がいつもと違う」とつぶやき、店の方へと走り出していく。
八方ふさがりの梵天…再び患者と向き合えるのか
手術の失態ですっかり病院内では針の筵(むしろ)の梵天。「ビビる確率99%」と後ろ指を指され、院内そのものがまさに“修羅場”だ。真実を公表すべきだと分かってはいるものの、家族のことを考えるとそれもできずにいる。学生時代からの旧知の仲である多聞は「確かに偽りはあったかもしれないが、心臓外科医としての知識と経験はウソではないはずだ」と励ますが心は晴れない。あれだけ自信満々だった梵天が、すっかり覇気がなく金剛(鈴木浩介)にまで見下される始末だ。
そんな梵天に院長・不動勝治(佐野史郎)がすかさず歩み寄り、新たな野望のための協力を仰ぐ。その協力には抵抗がある梵天だが…。追い込まれ、八方ふさがりでどうすることもできない梵天の苦悩と葛藤する姿に注目したい。そして梵天が医者としての本来あるべき姿を取り戻し、もう一度目の前の患者と向き合える日がくることを望む。
医者の“価値”と“使命”とは
その不動は「医者の価値は権威でしか測れない」と言う。そしてその権威のためには手段は問わない。しかし朱羅にとっては、“医者の価値”なんてどうでもいいようだ。
前話までを通して、上司の意見や病院が突き進む方向性、ましてや錯綜する目論(もくろ)みに惑わされず忖度などしない朱羅。今回それは患者に対しても同様だと改めて気づかされる。「何を言われても絶対に患者を断ったりしない」「価値なんてどうでもいい。私が助ける」と言い、自分の目的や私利私欲のために、目の前の命を見捨てることは許せない。それが仮に“救う価値がない命”と周囲に言われても、だ。
朱羅は、“医者としての使命”しか考えていないのだ。その気持ちは「命の選別をするようなやつは出ていけ」という周りを震撼させるほどの迫力あるセリフに込められている。そして今回見せる朱羅の患者への笑み、それがすべてを物語っているように感じる。