村上春樹、パティ・スミスとのベルリンでの出会いを語る「とても素敵で面白い人でした」
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。4月27日(日)の放送は「村上RADIO~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます4~」をオンエア。今回は好評のリスナーメッセージを紹介するシリーズの第4弾! リスナーから届いたお便りを読み上げながら、村上さんが自宅から持ってきた選りすぐりの音楽をお届けしました。
この記事では、兵庫県在住のリスナーから届いたメッセージを紹介したパートの模様をお送りします。



◆Michael Ball「This House Is Empty Now」
マイケル・ボールが、バート・バカラックが比較的近年につくった曲「This House Is Empty Now」を歌います。作詞はエルヴィス・コステロ。名曲です。



重機ヘビさん、30歳、男性、兵庫県の方からのメールです。

<僕は普段、重機に乗りながら番組を聴いています。重機での作業と音楽、不思議と相性いいんです。ユンボに蛇の頭そっくりの小割機(こわりき)をセットして、コンクリートをガジガジとかじるように割っていく仕事なのですが、素晴らしい音楽を聴いていると、味気ないコンクリートに極上の味が付いて、蛇になった自分がそれを味わって食べているような感覚になります。そうそう、蛇と言えば、年末のヘビさん宛てのスピーチはとても良かったです。ヘビーなお仕事……なかなか思いつかないです。あれを聴いて僕、重機ヘビからも何かお返事を書かなきゃなと思って筆を取った次第です>

お便りありがとうございます。しかし、コンクリートをガジガジ削ったりしていると、かなりでかい音が出ると思うのですが、そんなうるさい中で音楽を聴けるものなのかな? ちょっと想像がつきません。それはそうと、普段いったいどのような音楽を聴きながらお仕事をなさっているんでしょうね。やはり「ヘビメタ」でしょうか? キャノンボール・アダレイの「ワーク・ソング」は試してみられましたか? これを聴きながらヘビーな重機を操作すると、あるいは仕事がはかどるかもしれません。

◆Patti Smith「After The Gold Rush」
パティ・スミスの歌う「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」を聴いてください。



僕がドイツのある新聞社の賞をもらったとき、パティさんがお祝いにベルリンでの表彰式に出席して、ギターの弾き語りで歌を歌ってくれました。新聞社がダメ元で招待したら、気軽に引き受けてくれて、「飛行機代いらないわよ。マイレージが余ってるから」と言われたそうです。ブレヒトが、かつて定宿にしていたベルリンの古いホテルの予約を取ってほしいというのが、彼女の出した唯一の要望でした。パティさんと2人で一緒にご飯を食べて、いろんな話をしましたが、とても素敵で面白い人でした。

<番組概要>
番組名:村上RADIO~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます4~
放送日時:4月27日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/