全国の高校生がビジネスアイデアを競う「マイナビキャリア甲子園」で準優勝に輝いたファミリーマート代表の女子高校生チーム「ファニーズ」(吉祥女子高等学校)。彼女たちが4月4日、コンテストの協賛企業であるファミリーマート本社を訪問した。

今回の訪問に合わせてファミリーマートは「キャリア甲子園ファニーズ大感謝祭」を実施し、当日は社長や関係部門社員、新入社員らも出席。ファニーズのメンバーは、決勝大会で披露したプレゼンテーションを改めて披露した。

■新規事業「ファミマロスレスキュー」を提案して準優勝!

ファニーズのプレゼンテーマは、“10年後のデジタル社会に対応した、食品ロスを減らす新規事業の提案”で、「ファミマロスレスキュー」というサービスを打ち出した。

これはファミマの公式アプリ「ファミペイ」を活用し、賞味期限の近い商品情報をリアルタイムで発信することで、ユーザーが効率よく“お得”に商品を購入できる仕組み。食品ロスを減らすと同時に、店舗の廃棄コスト削減にもつながる、まさに「win-win」な提案である。

「ファミペイと店舗システムを連携し、廃棄直前の商品をリアルタイムで可視化することで、消費者がすぐに情報を得られるようにする」と語るファニーズ。そのアイデアは、単なるビジネスとしてだけでなく、地域貢献や持続可能性の観点からも高く評価された。

また、ローカル小売店との連携も視野に入れ、ファミペイ内で地元店のロス商品情報も発信可能とすることで、地域密着型のプラットフォーム形成につなげるという構想も打ち出す。

さらに、商品購入でスタンプが貯まる「レスキュースタンプ制度」や、10年後の展望として提案された「レスキュースクエア」構想など、未来を見据えた広がりのある発想に、ファミリーマート側からも改めて驚きと称賛の声が上がった。

  • ファミリーマートの代表取締役社長・細見研介氏

ファニーズのプレゼンを聞いたファミリーマートの代表取締役社長・細見研介氏は、過去に同様の取り組みを試みた事例も紹介し、現場のオペレーション負荷の課題を乗り越えれば実現可能性はある、と期待を寄せる。

そのうえで、「海外でこれだけコンビニが成功してる国はありません。我々も地域によって成長させてもらっているので、こういったアイデアで地域のお役に立ちたいと思ってます。ファニーズのみなさんは準優勝もしたし、ぜひファミリーマートでこのアイデアを実現してみてください。大学卒業まで待ってますから」と語りかけた。

ファニーズもこの機会に、「ファミリーマートのスローガンは全部魅力的で、『ナンバーワンを入れ替えよう』『チャレンジするほうの仕事をしよう』という言葉がすごく好きなのですが、これはどうやって考えたのでしょうか?」と質問。これについて細見社長は、次のように返答した。

「日本では大きなコンビニチェーンが3つありますが、ファミリーマートは、業界第2位の店舗数で業界第3位のチェーンと店舗数も大体同じ。規模もそんなに変わらないんですよ。第2位、第3位での争いよりも業界第1位になれるようにチャレンジするしかありません。

そのためには横並びで同じことばかりやっていてもしょうがない。スローガンとして標榜することで、日々の仕事に対する姿勢も変わってくるのではないのかと考えたわけですね。そうすることで、仕事中も『今、自分はチャレンジしてるかな』
と自問自答できる。小さなチャレンジもあるし、大きなチャレンジもある。それが積み重なっていくと、会社全体がチャレンジするほうのコンビニになる。
そう僕たちは信じてるんです」(細見社長)

  • 社内見学中のファニーズ。特別に社長室も訪問!

  • ファミリーマートで取り扱いがあるヘアバンドを着けて喜ぶファニーズ

■「もし、このアイデアが当時あったら……」

その後、ファニーズは入社したばかりの新卒社員の研修にも参加。大会議室を埋める大勢の社員の前で再びプレゼンを披露した。

食品ロスという社会課題に向き合い、デジタルの力で地域や小売店との共存を図るというアイデアに、会場は大きな関心を寄せた。

  • ファニーズのプレゼンを聞きながら、真剣な表情でメモを取る新入社員たち

発表後には、現場で働く社員たちからリアルな声が寄せられた。学生時代にファミマでアルバイトをしていたという新入社員の一人は、「食品ロスを出さないないように発注を減らした結果、品揃えが乏しくなり、お客様が離れてしまったことがあります。もし、このアイデアが当時あったら……」と、自身の経験と重ねてコメントした。

  • ファニーズのメンバーらに対し、積極的に質問する新入社員

また、新入社員の一人から寄せられた「なぜ食品ロスに注目したのか」という問いに対し、ファニーズのメンバーは「子どもの頃、コンビニで捨てられていた食品を見た体験がきっかけだった」と返答。また、「コンビニ自らが当事者となり、解決へと踏み出せる社会課題は何か」と考えた末にたどり着いたテーマだと説明した。

最後に、ファニーズのメンバーらは「このテーマを通してファミリーマートの理念に触れ、大好きになった」「運命的なくじ引きでテーマが決まり、たくさんの人の協力があってここまで来られた」と感謝を述べ、満場の拍手を浴びた。

社会課題に対するまっすぐな視点と、等身大の言葉。若い世代が描く“コンビニの未来”は、大人たちの心にも深く響いたようだ。