![広島FW中村草太 [写真]=J.LEAGUE](index_images/index.jpg)
サンフレッチェ広島は12日、明治安田J1リーグ第10節でファジアーノ岡山と対戦し、0-1で敗戦。J1史上初の“中国ダービー”は岡山に軍配が上がった。
オリジナル10で3度の優勝を誇る広島とJ1初昇格の岡山による中国地方のダービーマッチ。“先輩”の広島はホームに岡山を迎えたが、攻撃が噛み合わず、少ないチャンスも決め切れずに無得点で終わった。逆に58分には相手のロングボールで連携ミスから屈強なフィジカルを誇るFWルカオに突破されると、最後は18歳のMF佐藤龍之介にこぼれ球を押し込まれて失点。0-1で今季2敗目を喫した。
無得点に終わったものの、大卒ルーキーのチャンス演出が光った。FW中村草太は前半の29分に途中出場。先発したFWヴァレール・ジェルマンの負傷退場により急きょピッチに入ったが、「ちょっと交代が早かったけど、ベンチに座りながら今のサッカーはどうなのかとか、相手がどう来ているのかを見ながら準備していた」。
44分には最初の決定機を作った。左サイドの中村が相手の背後を狙って動き出すと、MF田中聡のパスを受けて持ち上がりクロスを供給。中央にピンポイントのボールを入れたが、ゴール前に走り込んだFW前田直輝はうまく合わせられなかった。得点には結びつかなかったが、中村は「背後(を狙う動き)が少なかった中で、交代する時に声もかけられていた。そういった意図を汲み取ったプレーを表現しないといけないし、そこは少しでもできたと思う」と手応えも口にした。
1点を追う69分には中村がMF東俊希のスルーパスで左サイドを抜け出し中央へ折り返すと、ニアでフリーのFWジャーメイン良が左足で合わせたが、これは相手GKスベンド・ブローダーセンの好セーブに阻まれた。中村は試合を通じて2本の決定機をお膳立てしたが、自身のパフォーマンスについて「得点につながらなかったことが全てだし、もっと突き詰められる部分があったと思う」と厳しく受け止め、「勝利に貢献できなかったことが悔しい」と肩を落とした。
中村は前半に途中出場し試合終了まで61分間プレー。「シンプルに背後に走る動きは、相手も分かってきたと思うし、相手も早めに下がって対策をしてきている。そこをどうするかというところで、今日はワイドに開いてみることを試してみた。ただ、もっとゴールに近いところでプレーすることで、もっと怖さが生まれると思う」と自身のプレーを振り返った。
“中国ダービー”の初戦で広島らしいアグレッシブな攻撃を発揮し切れず、今季ホーム初黒星。特にFW陣としては2試合連続のノーゴールで終わった。中村は、「ダービーで負けたのはもちろん悔しいけど、それよりも自分たちのサッカーを90分間続けられなかったことがもっと悔しい」と不完全燃焼を悔やみ、「最近は攻撃陣の得点が少ない中で、守備陣は本当に頑張ってくれているので、そこに対して責任や危機感を持っている」と静かに闘志を燃やしている。
取材・文=湊昂大
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