
メタリカのカーク・ハメットが、ローリングストーン誌の最新インタビューで「若さの秘訣」について語った。
自身の膨大なヴィンテージ楽器コレクションを紹介する写真集『The Collection: Kirk Hammett』を刊行したカーク。「メタリカは60代になっても激しいメタルをやり続け、新作を出し、ツアーをこなすという新たな道を切り開いています。このテンションを保ったまま、あとどのくらい続けられるとお考えですか?」という質問に対し、彼は以下のように答えている。
カーク:まあ、結局は”健康”に尽きるんだよな。俺たちはみんな全然元気だし、体の調子もバッチリなんだ。たまに自分の年齢を完全に忘れることがあるんだよ。「俺62歳なの?」って(笑)。まったくそんな気がしない。気分はずっと30代のまま。サーフィンもするし、自転車にも乗るし、走るし、歩くし、なんだかんだで体を使いまくってる。
今でも何でもできる。ヨガは毎日やってるし、瞑想もしてるし、「もう終わりだな」なんて気配はまったくない。むしろ、周囲はどんどん活性化してる感覚がある。そう感じてるのは俺だけじゃない。ラーズ・ウルリッヒもかなり健康だしね。だから、体と心が元気な限り、ずっと続けていけると思ってる。ロブ・トゥルージロなんて超健康体だし、白髪すらないからな。すごくない?
もしかしたら、この音楽(メタル)をやってること自体が”若さの泉”みたいな効果を持ってるのかもしれない。メタリカっていうバンドの一員でいることが、俺たちを若く保ってるんじゃないかな。結局のところ、自分がどう感じてるかってのが、年齢を測る一番の指標なんだよ。肉体的にも、精神的にも、感情的にも、霊的にも。俺は今でも気分は30代後半だし、何もやめるつもりはない。これが俺の人生だから。
自身初のソロアルバムにも言及
カークはまた、2022年のEP『Portals』に続く初のフルレングス・ソロアルバムも構想中だという。
カーク:今回はボーカルも入る。というのも、書いた曲たちが「歌ってくれ」って言ってるような曲ばかりなんだよ。で、「誰に歌わせようか?」ってなってる。自分ではないことを願ってるけどね。ステージ上でやることがもう多すぎてさ(笑)。
それと最近、古代ギリシャ語の読み方を学び始めたんだよ。古代ギリシャの文献に取り憑かれててさ。ピタゴラスとか――彼は音楽理論の父だしな。ギターとかリラ、キターラっていう楽器は、あまりに古代すぎて起源が分かってない。ギリシャ人は「神々がそれを持って現れた」って言ってる。ディオニュソスやアポロンが、それらの楽器を手に現れて、演奏したとされてるんだ。
古代の文献には、儀式や魔術における音楽の記述がめちゃくちゃ出てくる。それがすごく面白い。俺には、その感覚がすごく分かるんだよ。ギリシャ人たちは儀式や密儀に音楽を使ってた。あの時代、音楽はものすごく神聖なものだった。で、それを読んでて俺は首を振りながら「分かるよ、俺もそう思う」ってなってる。
俺はね、この世界に”魔法”ってものが本当にあるとしたら、それは音楽だと思ってる。音楽は魔法だよ。だって、楽器を手にして誰かの前で演奏すれば、その人は心を動かされる。音楽を通して、その場の空気を変えることができる。特定の音楽を聴いたとき、人は変容する。これを魔法と呼ばずして何を魔法と呼ぶんだ? 科学? 冗談じゃない。もっとそれ以上のものだよ。……って感じで、今の俺はこういうことを考える時間がすごく多いんだ。
俺がやりたいのは、ただ座って、心を空にして、指を動かしてみること。それで何かが出てくる。その瞬間が美しいんだ。この10年くらいは、ずっとそんなやり方でやってて、すごくいい結果が出てる。毎日のように、「さあ、座って指を動かしてみよう」って時間を作ってる。すると、何かが出てくる。ほんとにありがたいことだよ。だってさ、もう62歳だぜ。それでもまだ山の頂には届いてないって思ってる。ピラミッドの頂点にもな。まだ登ってる最中。今でも進化してるって感じるし、クリエイティブなエネルギーがまだ有り余ってて、自分でも驚いてるくらいなんだ。気をつけないと、やりたいことが多すぎて大変になっちまう。
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