• “50TA”狩野英孝

2003年にデビューしてから今年で22年となる狩野に、今の仕事に対する思いも聞いてみた。

「20年オーバーして思うことは、いつになったら芸人という仕事は安定するんだろうなと、それはすごく感じます。年齢や経験を重ねても、常に新しいことを生み出して発信しなきゃいけない。逆に、安定がないから芸人でいられるのかもしれないなと。若い頃は早くレギュラー番組でも持って、安定した位置につきたいと思っていましたが、そうではなく、どんどん追い込まれていかないとダメなんだろうなと思うようになってきています」

体力的にも安定したいという願望もありつつ、「追い込まれていた方が芸人としてはいい」という思いが強まっているようだ。

「安定したいけど、『面白かった』と言われるためには勝負していった方がいいんだろうなという葛藤がずっと常にあり、落ち着いている場合じゃないぞと。毎年、『M-1グランプリ』『R-1グランプリ』などでニュースターの芸人さんたちが続々出てくるので、そういうのを見るたびに『うわっ面白い! うかうかしていられないな!』という気持ちが生まれて、安定とか言っている場合じゃないぞと思います」

  • “50TA”狩野英孝

43歳の今も、さまざまなバラエティ番組からオファーが絶えない狩野。活躍し続ける秘訣を尋ねると、「あまり偉そうなことは言えないですけど」と前置きした上で、「ビビりだからだと思います」と答えた。

「ビビりだから、出演する番組について調べるし、用意するし。才能があったら現場で言われたことに対してその場で面白いことを言えばいいんですけど、自分は必要以上に考えないと不安になるんです。結局、練習通り、想像通りに行かないこともありますが、スタッフさんとかは、ノープランで来たのか準備してきたのかはわかると思うので。だから、失敗しても、もう1回チャンスをくれるというのがあるのかなと。ビビりが故に、人よりもチャンスを1.5倍もらっている気がします」

そして、「自分は最初から才能ではない」と言い、「ネタでテレビに出させていただいていただいたのがきっかけですが、何年もかけてライブでブラッシュアップしたネタだったり、常に準備してきたものを披露しているという感じで。準備しないで才能でポンと笑いが取れれば一番いいですが、自分はそうではないので」と冷静に自分のことを見つめている。