NHKの桑子真帆アナウンサーが20日、東京・渋谷の同局で行われた報道情報番組『クローズアップ現代「放送100年SP テレビが伝えた“あの日”と未来」』(3月24日19:30~20:42)の取材会に出席した。
番組では、この100年の歴史的な出来事の数々を、貴重なアーカイブス映像とともに、ニュースの現場にいた当事者や放送を担った人たちに改めて取材し、その裏にあった事実を深掘りする。ゲストは、報道の現場に立ち続けてきた元日本テレビアナウンサーの藤井貴彦、元フジテレビアナウンサーの長野智子、元NHKアナウンサーの三宅民夫。報道人として「視聴者にどう伝えるのか」を考え続けてきた3人と、放送の歩みと未来を語り尽くす。
2022年4月に『クローズアップ現代』のキャスターに就任してから3年を迎える桑子アナは「学びの連続で、学ぶことしかない」と言い、「350回以上放送を出して、さまざまな現代を切り取ってくる中で、表面的にはなんとなく見聞きしている出来事でも、当事者の声を聞いたり、現場に足を運んでみると、実際に起きていることってそんなに簡単なことじゃないなと。深く深く一つ一つの出来事を考えないといけない。そうじゃないときっと見失ってしまうものがあるんだろうなと常日頃感じているし、そこはこれからも大切にしていきたい視点だなと感じています」と語る。
また、「あの日があったから今の自分がある」という出来事を聞かれると、「東日本大震災」と答え、「1年目が終わろうとしているタイミングで、私は長野放送局にいて。当時、全国のアナウンサーが東北に入って取材していて、私も4月半ばに東北に行ったんですけど、あの光景は一生忘れないだろうな。こんながれきの山を目にすることはまずないですし」と回顧。
続けて、「生活の一部がそこにあったんだな、そして今この状態になってしまっているんだなという喪失感というかショックが大きくて、多くの命も亡くなったし、亡くした人もいるし、そこと目の前で向き合うという経験は、その後ずっと通底している」と述べ、「人は生きていると何かを失うっていろんな場所であるわけで、そういうときに自分が目にした、耳にしたものを大事にしながら、自分は経験してないけれども、想像力を働かせて寄り添うことが少しでもできたらなというところにもつながっています」と語っていた。