保育園の洗礼、それは「体調不良ラッシュ」。入園直後から次々と病気をもらい、仕事どころか日常生活すらままならない――
今回の記事では、武井先生にインタビューを実施。「保育園に通うと、なんでこんなに病気をもらうの?」「どうすれば少しでも体調を崩しにくくなる?」そんな疑問や、保育園の洗礼の実態と、その乗り越え方について、専門家の視点から詳しく解説します。
保育園の洗礼と呼ばれる体調不良ラッシュの原因は?
保育園に通い始めたお子さんが頻繁に体調を崩すのは、主に以下の3つの理由が考えられます。
1.集団生活の開始
保育園は、さまざまな子どもたちが集まる集団生活の場です。そのため、感染症が広がりやすく、これまで経験したことのないウイルス・細菌にさらされる機会が増えます。
特に、0歳児から2歳児は、リンパ球の機能など免疫機能が未発達なため、さまざまな感染症にかかりやすい傾向があります。
2.免疫力の獲得
体調不良を繰り返すことで、徐々に免疫力がついていきます。これは、子どもが成長する上で自然なプロセスです。しかし、免疫力がつくまでには時間がかかり、その間は体調を崩しやすくなります。
3.生活環境の変化
保育園に通い始めると、生活リズムが大きく変わります。新しい環境へのストレスや睡眠不足なども、体調不良につながる要因となります。
子どもが特にかかりやすい病気の種類や特徴は?
風邪
最も一般的な病気で、鼻水、咳、発熱などの症状が見られます。さまざまなウイルスが原因となるため、何度もかかることがあります。ライノウイルス・パラインフルエンザウイルス・ヒトメタニューモウイルスなどがあります。
胃腸炎
嘔吐や下痢を引き起こします。ノロウイルス・ロタウイルスなどが原因となることが多いです。感染力が非常に強いため、集団感染が起こりやすい病気です。
RSウイルス感染症
呼吸器系の感染症で、咳や鼻水、発熱などの症状が見られます。重症化すると、肺炎・細気管支炎や細菌感染の合併もあります。
インフルエンザ
高熱や全身のだるさ、咳などの症状が見られます。流行時期には、集団感染が起こりやすいです。
手足口病、ヘルパンギーナ
夏に流行しやすいウイルス性の感染症です。エンテロウイルス・コクサッキーウイルスなどがあります。発熱や、口腔内や手足の水疱が特徴的です。
体調不良ラッシュの期間はどのくらい続くの?
体調不良ラッシュは、個人差がありますが、一般的には入園後半年程度続くことが多いです。その後は、徐々に落ち着いていきますが、完全に体調を崩さなくなるわけではありません。
3歳頃になると、免疫力が向上し、体調を崩す頻度も減っていくことが多いです。
体調不良を繰り返すことで「免疫がつく」は本当?
これは概ね本当です。子どもは、さまざまな病原体にさらされることで、それらに対する抗体を作り、免疫を獲得していきます。特に乳幼児期は、免疫システムが発達途上であるため、多くの感染症を経験することで、次第に抵抗力がついていきます。なお、免疫のつき方には個人差があります。
「うつらない子」と「すぐに病気をもらってくる子」の違いは?
さまざまな要因がありますが、主に以下の違いが影響すると考えられています。
免疫力の違い
生まれつきの免疫力の違いや、過去の感染歴によって、免疫の獲得状況が異なります。また、栄養状態や睡眠時間、ストレスなども免疫力に影響します。
接触状況
病原体に触れる機会の多さも影響します。手洗いの習慣や、マスクの着用など、予防策の徹底度合いも差が出ます。
体調や体質の違い
子どもによって、免疫で重要とされる腸における常在菌の種類や数もさまざまです。そのため、病原菌に対する抵抗力もかわってきます。
免疫力を高めるために、親が日常でできる工夫や習慣は?
基本的な生活習慣を整えることが大切です。毎日の生活で心がけたいことを紹介します。
バランスの取れた食事
免疫細胞の材料となるタンパク質や、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取しましょう。亜鉛特に腸内環境を整えることは、免疫力向上に重要です。
十分な睡眠
睡眠中に免疫細胞が活性化されるため、質の良い睡眠を確保しましょう。
適度な運動
適度な運動により、リンパ球機能など免疫機能を高める効果があります。ストレス軽減は重要です。ストレスは免疫力を低下させるため、リラックスできる時間を作りましょう。
※この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています