JR東海は5日、踏切等での異常発生を付近の列車の運転士に知らせる特殊信号発光機(特発)について、草木などによって見通しが阻害されていないか、AIおよび画像処理技術を活用して確認する「見通し自動確認システム」を開発したと発表した。
「特発」は踏切に近い位置などに設置され、踏切の非常用ボタンが押された場合や、踏切内で動けなくなった自動車を検知した場合などに赤色灯を発光する設備。運転士は「特発」の発光を確認したらただちにブレーキをかけることで、列車を安全に停止させる。
一方で、「特発」は運転士の最長800m手前から継続的に視認できるような状態に保つ必要がある。現在は「徒歩巡回」「検測車のカメラ映像」「列車の先頭に添乗」のいずれかにより、草木などで「特発」の見通しが阻害されていないか、定期的に確認しているという。しかし、「特発」は約8,000基と数が多く、沿線に広く設置されているため、確認作業に多大な労力を要している。
JR東海によれば、今後の労働力人口減少を見据えた業務改革の一環として、国内で初めてAIおよび画像処理技術を活用した「見通し自動確認システム」を開発したという。AIによる物体検出技術を活用し、高性能カメラで撮影した映像に写っている線路設備の中から「特発」を検出。見通しが確保されているかを自動で判定する(特許出願済み)。
「見通し自動確認システム」を営業列車で活用することにより、現在と比べてより高頻度でタイムリーな見通し確認が可能になるほか、見通し確認の精度のさらなる向上が期待できる。徒歩巡回等による見通し確認作業を省力化することで、作業員の身体的負担の軽減、見通し確認に要するコスト削減も期待されている。このシステムは2025年度以降、在来線全線において営業列車で試使用を開始。さらなる精度向上など活用に向けた検討を進め、2026年度以降の導入をめざす。