ドラマの中で「パーソナルイズポリティカル」(個人的なことは政治的なこと)という言葉が大事なテーマとして何度も登場するが、詩森氏はLGBTQの作品を手掛けたときにこの言葉を知ったという。
「LGBTQの団体の方に取材したときにお聞きして、そのときはそういう考え方をしたことがなかったなと思って。どこかで政治と個人が分かれた存在でしたが、生きづらさみたいなものを解決するとしたら、やっぱりシステムや構造を変えていかないといけないというのはすごくわかりやすいし、当たり前のことだなと思いました」
それ以降、どの作品でもこの言葉を大切にしているという。
「それからずっと、個を描いていくとシステムについてたどり着くようなものを書こうと。物語を作る大前提として常にあり、今回に限ったことではなく、もう30年近くそれを礎に書いています」
今回も勢い込んで用いたわけではないが、自分にとって身近な言葉が広がっていくことに喜びも感じていると語る。
「私にとってもすごく大事な言葉ですし、このドラマによっていろんな方が知ってくれているのはものすごくありがたいです。自分の中では当たり前だと思っていましたが、ドラマに関わってくださっている方も見てくださっている方もすごく思い入れてくださっているのを見ると、今の社会にとって必要な視点、そして必要な言葉だったんだなと思います」
さらに、「ぜひ皆さんに知ってほしい言葉ではあったので、いい機会になりましたし、生徒と大人のキャストの気持ちもつなげてくれているのを見ると、それを中心に考えていけばいいという、すごくいい言葉で、それを私に教えてくれた人に感謝しています」と語った。
すでに脱稿している詩森氏。今後の展開について「思いのほか泣けるドラマになっていくのではないか」と述べ、「大人のキャストも含めて全員が変化しないと乗り越えられないドラマになっているので、変化の素晴らしさ、人間って変化をしていけるし、価値観を少しずつでも刷新していけるんだという素敵さが伝わるドラマになっていくと思うし、そうなるように頑張ってみんなで考えました」と魅力を語ってくれた。
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