俳優の松坂桃李が主演を務めるTBS系日曜劇場『御上先生』(毎週日曜21:00~)の脚本を手掛けている詩森ろば氏にインタビュー。“官僚教師”を主人公にした理由や作品に込めた思いなどを聞いた。
本作は、教育のあるべき真の姿を描く完全オリジナルの大逆転教育再生ストーリー。東大卒のエリート文科省官僚の御上孝(松坂桃李)が隣徳学院3年2組の担任教師になり、令和の時代を生きる高校生を導きながら、権力に立ち向かっていく。
詩森氏は、第28回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞するなど演劇界を主軸に活躍。松坂が主演した映画『新聞記者』(2019)で第43回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞するなど近年映像作品にも挑戦しており、民放連続ドラマを手掛けるのは今回が初となる。
「日曜劇場はすごく規模感が大きくて、私がほぼほぼ初めてな状態で書いていい枠とも思わなかったので、当然プレッシャーでしたが、すごく光栄なことだなと思います。民放ドラマなのでいろんな制約があるだろうと勝手に思っていたのですが、ほぼほぼ私が書いたまま、テーマや骨子は全く制限されないまま書かせていただきました」
脚本を執筆するにあたって取材を大切にしているそうで、今回も教育に関して本などで調べるだけでなく、学校などを取材し、教育の進化を目の当たりに。生徒に考えさせる今の教師像を伝えたいと思ったと語る。
「私が思っていたものから学習の制度もすごく上がっているし、理論としての制度も上がっていて、そういうものを書きたいなと。特に、生徒に考えさせるというのは、素晴らしいなと思う教育者の方は皆さんやっていらっしゃることで、生徒が考える、生徒に考えさせるという今の最先端の教師像をお伝えすべきなのではないかなと思いました」
学園モノというのは、『VIVANT』(2023)や『アンチヒーロー』(2024)など話題の日曜劇場作品を多く手掛けてきた飯田プロデューサーの発案で、そこから主人公をどういう教師にするか話し合っていく中で、詩森氏のほうから官僚教師を提案したという。
「あまりうまく制度としては機能していませんが、文科省の若い官僚が官僚派遣で学校に行くというのは実際にありますし、皆さんが思っているより官僚の方っていろんなところに出向されているんです。最初は勘みたいなもので、これでいったら面白いものになっていくかもしれない、広がりの出るものになっていくかもしれないという、『これだ!』という感じが最初からあったような気がします」
『新聞記者』執筆後も官僚について調べていたそうで、その知識も役に立ったという。
「『新聞記者』を書いたときも官僚の方にお話を聞きましたが、聞ききれずにやってしまったという思いがすごくあったので、そのあとに『御上先生』関係なく、個人的にも勉強していました。官僚についてもうちょっと知りたいと思ったのが役に立ち、けっこうリアルベースで書けているのではないかなと思います」