リーディングマークは、新卒・中途どちらも採用し、年間20名以上を新規採用している企業の経営者・役員・人事担当者108名を対象に、採用コストの上昇に関する実態調査を実施した。
採用コストは増加したか
「過去5~10年間で、新卒採用にかかる総費用はどのように変化したと考えるか」との質問に対し、「非常に増加した」と回答したのは29.6%、「やや増加した」と回答したのは39.8%であった。
また、「過去5~10年間で、中途採用にかかる総費用はどのように変化したと考えるか」との質問に対しては、「非常に増加した」との回答が29.5%、「やや増加した」との回答が38.9%となった。中途採用に関しても、約7割が「コストの増加」を実感していることが明らかになった。
採用コスト増加の要因
採用コストの増加を実感していると回答した82名に対し、その要因について尋ねたところ、「人材紹介費の上昇」が68.3%、「採用広告費の高騰」が58.5%、「採用イベント関連費用の増加」が41.5%となった。
また、自由回答では「人材獲得競争の激化」「離職者が増えた」などの意見が寄せられ、採用市場の競争が激化していることが背景にあると考えられる。
直近1年間の採用費用の内訳、年間予算
直近1年間の採用費用の内訳として最も大きな割合を占めるものについて質問したところ、「人材紹介会社への支払い」が25.9%、「採用広告費」が24.1%という結果であった。
また、人件費の年間予算において、福利厚生費と採用費がどの程度の割合を占めるかについて尋ねたところ、「福利厚生費が採用費よりも大きい」との回答が38.9%、「福利厚生費が採用費よりも小さい」との回答が25.9%であった。
既存社員の離職防止や活躍促進に投資する方がコスパがいい?
採用コストの増加を実感していると回答した82名に対し、既存社員の離職防止や活躍促進に投資することが新規採用よりもコストパフォーマンスが高いと考えるか尋ねたところ、「非常にそう思う」が31.7%、「ややそう思う」が50.0%という結果となった。
また、そう考える理由について聞いたところ、「採用コストを削減できるから」が58.2%、「経験やスキルの蓄積により業務の生産性を高められるから」が52.2%、「教育コストを削減できるから」が44.8%となった。
自由回答では、「社員のモチベーションが上がる」「会社全体が活性化し、結果的に積極的な新卒採用活動を行わなくても人材が集まる」といった意見が寄せられた。
<自由回答・一部抜粋>
即戦力になる人材が多いと感じるから。
他社との競争に勝つことができる。
社員のモチベーションが上がる。
離職は組織にとってマイナスしかない。採用より離職ブロックが何より大事。
一から教育しなくて済むから。
既存社員の離職防止や活躍促進の取り組みを行うことで、会社全体がイキイキとし、結果的に積極的な新卒採用活動を行わなくても人材は集まると考えているから。
理念の理解や組織風土への慣れが大きい。
調査結果のまとめ
今回の調査では、新卒・中途どちらも採用し、年間20名以上を新規採用している企業の経営者・役員・人事担当者108名を対象に、採用コストの上昇に関する実態を調査した。その結果、約7割が、新卒・中途採用ともに「採用コストの増加」を実感していることが分かった。採用コスト増加の要因としては、「人材紹介費の上昇」「採用広告費の高騰」などが挙げられた。
直近1年間の採用費用の内訳では、「人材紹介会社への支払い」や「採用広告費」が大きな割合を占めており、多くの企業が人材確保に高いコストをかけていることが分かった。
また、採用コスト増加を実感する人のうち81.7%が、既存社員の離職防止や活躍促進に投資するほうが「コストパフォーマンスが高い」と考えていることが明らかになった。採用コストの上昇が企業経営に大きな影響を与えている中で、人材の確保と定着が企業の競争力を左右する重要な要素となっている。今後、既存社員の離職防止と活躍促進への戦略的な投資が、コスト効率と組織パフォーマンスの両面で注目されるだろう、とレポートを結んでいる。
調査概要
調査名称:採用コストの上昇に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2024年11月6日〜同年11月7日
有効回答:新卒・中途どちらも採用しており、年間20名以上を新規採用している企業の経営者・役員・人事担当者108名
※ 合計を100%とするため、一部の数値について端数の切り上げ処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がある。