学研ホールディングスが運営するスキルアップ研究所は1月29日、「定年後のリスキリングとその目的に関する実態調査」の結果を発表した。調査は2025年1月5日~1月11日、50代以上の働く人300名を対象にインターネットで行われた。
リスキリング認知度は低迷
リスキリングについての認知度は、「よく知っている」層はわずか17.3%に留まり、定年前後の世代においてリスキリングという概念がまだ十分に浸透していないことが明らかとなった。しかし、「少し知っている」「聞いたことはある」層を合わせると約64.4%に達し、基礎的な認知は進んでいる。今後の情報提供により「学び直し」の具体的なメリットや方法を明確に伝えることで、より多くのシニア層がリスキリングに対する理解を深め、実際に取り組む動機付けが期待できる。
7割超が「定年後の学び直し」に前向き
リスキリングへの興味について尋ねたところ、「非常に興味がある」「少し興味がある」を合わせて8割近くが学び直しに好意的であった。
一方、「すでに取り組んでいる」がわずか13.7%にとどまり、「興味はあるが、何を学べばよいかわからない」が約4割に達した。リスキリングについて、シニア層で具体的な指針や情報が不足している実態がうかがえる。
4割超が新職業に挑戦希望
リスキリングに取り組む目的については、「新しい職業に挑戦するため」と答えた人が最も多く、定年後であってもキャリアチェンジを積極的に考える層が一定数存在している。「趣味を深めるため」(26.3%)も2番目に多く、ライフワークを兼ねたビジネス展開を視野に入れる人もいると推測できる。いずれも「自己実現」や「新しい収入源確保」という方向性が背景にあり、リスキリングのモチベーションにつながっているようだ。
リスキリングの障壁
「定年後に成功したリスキリング事例を直接聞いたことがある」人はわずか9.3%に過ぎなかった。一方で7割以上の人が成功事例に興味があり、知りたい人に情報が行き届いていないことがわかる。具体的な成功モデルを知らないことも、リスキリングを始めるにあたっての大きな障壁であることがわかった。