キリンビバレッジは1月29日、「2025年 事業方針発表記者会見」を開催。2024年の振り返りやヘルスケアサイエンスを中心とした2025年の取り組みについて説明した。
■免疫ケアの習慣化、ターゲットの拡大へ
冒頭、キリンビバレッジ 代表取締役社長 井上一弘氏が登壇。2024年清涼飲料市場は、前年比100%での着地見込みだが、ヘルスケアサイエンスカテゴリーは成長継続。井上氏は「『プラズマ乳酸菌』入り飲料および『生茶』ブランドなどの基盤ブランドが大きく伸長し、高収益化が進んだ1年になりました」と振り返る。
季節ごとの身近な健康課題から免疫ケアの習慣化を訴求することで、免疫ケア市場の拡大に成功。今年1月には、のと鉄道受験生応援企画を実施するなど、秋から冬にかけてプロモーションを仕掛けたことが伸長の要因だと話す。さらに、花王社より「ヘルシア」ブランドの譲受など、ヘルスサイエンス飲料のラインアップ拡充した。基盤ブランドでは、「生茶」ブランドの大刷新により、前年比112%と消費者接点が拡大。また、「午後の紅茶」レギュラーシリーズは、6年ぶりのフルリニューアルが成功し、2年連続伸長となった。
2025年の飲料業界について、井上氏は「中長期で考えると、人口減により清涼飲料市場の生産数量は減少傾向にある。一方、超高齢化が進むため、長く健やかに過ごしたいという世の中の健康意識の高まり、健康カテゴリーはますます伸長していくと考えている」と予測。
2025年の戦略方針としては、「お客様の毎日に、おいしい健康を。」をパーパスに掲げ、新たに「おいしい飲みもので、ヘルスサイエンスリーディングカンパニーへ」をビジョンに設定。
2030年には、ヘルスサイエンス飲料の売上収益を2024年比で2倍以上の目標としている。まずは、免疫ケアの習慣化を定着させるために子供からシニア層までターゲットを拡大。また、海外事業の拡大や土台の健康領域で新たな事業の柱の確立など、市場と価値の拡大に取り組むことで、ヘルスサイエンスリーディングカンパニーを目指すという。
事業方針では、特にヘルスサイエンスを中心に「ブランド価値向上」と「市場創造」を加速することで、持続的成長を目指していく。
健康領域での免疫ケアについては、2020年に機能性表示食品の承認を受けてから各年代で大きく伸長しているが、年代別にみるとまだすべての年代にアプローチができていないと井上氏。今後も、幼稚園への免疫ケア啓発や配布など各年代のニーズに合わせた取り組みを実施し、幅広い年代にアプローチしていく。
また、KIRIN naturalsのコンテンツや利便性の拡大、非財務情報の定量化など、企業の健康経営の支援や、環境再生型農業の支援、花王社との拠点間輸送の協働によるGHG排出量の削減など、環境への取り組みも行っていく。
■新商品「iMUSE オフ・ホワイト ヨーグルトテイスト」発売
続いて、キリンビバレッジ 執行役員マーケティング部長 成清敬之氏が登壇。2025年のマーケティング方針は「おいしい飲みもので健康を実現するCSV戦略を基軸に、ブランドを育成し、市場創造を加速させる」を掲げ、プラズマ乳酸菌を中心とした「ヘルスサイエンス」、「午後の紅茶」、「生茶」に注力すると話す。
2024年「プラズマ乳酸菌入り飲料」は、「免疫ケア」のアプローチ、習慣化を推進。「結果として、出荷箱数も過去最高。お客様の構造をみても、購入率である間口を高い水準で持ちながら、しっかりと習慣化を高めることに成功した」と振り返る。
そのうえで、2025年は「お客様が日常的に接する飲料で間口をさらに拡大し、お客様が明るく前向きな健康を実現することを目指していきたい」と話す。
同社の「健康に関する調査」によると、87%の人が「健康意識がある」と回答したが、「健康行動をしている人」は54%、「トクホ・機能性飲料の購入者」は33%と大きくギャップがあることが明らかに。成清氏は、「お客様が毎日手に取る飲料というカテゴリーであるからこそ、健康習慣を、そして長期的な健康の土台作ることができる可能性がある」と力を込める。
3月4日には、新商品「iMUSE オフ・ホワイト ヨーグルトテイスト」の発売を予定している。「疲れているときこそ、美味しくてリフレッシュできるものがほしい」という消費者の声から、体によく、すっきりしたさわやかな味わいのヨーグルトテイスト飲料となっている。
また、「ファンケル」はブランド認知の高さ、女性からの支持を活かし、新規層の獲得を目指す。昨年花王社より事業を譲受した「ヘルシア」に関しては、確かな機能で男性層を中心に習慣層の獲得に取り組む。
「午後の紅茶」は、2024年6月に定番3品(ストレート・ミルク・レモン)をリニューアルし、2年続けて成長を実現。2025年は、夏・冬とシーンに合わせた体験や伸びしろの大きな無糖紅茶への取り組みを強化。さらに、アイスティーの魅力を伝えていくため、まずは3月18日の「おいしい無糖」をリニューアルし、春から夏にかけて季節に合わせたコミュニケーションを展開していく。
「生茶」は、2024年4月のリニューアルで大幅に伸長し、今年で発売25年目を迎える。4月15日には、「キリン 生茶」のパッケージと中味、「キリン 生茶 ほうじ煎茶」のパッケージのリニューアルを実施する。