仕事とは、自分が人生で一番やりたいこと。そう胸を張って言えるようにしたい。

本の要約サービス・フライヤーが展開する「Dig Talk」は、本をひとつのきっかけとして、その人の人生の奥底を「深掘る(ディグる)」動画コンテンツです。

今回は、人気動画クリエイターグループであり愛知県岡崎市を拠点とする「東海オンエア」の頭脳として、個人チャンネルも注目されている虫眼鏡さんが登場。「東海オンエア」が活動自粛をしていた時期に収録した内容ですが、2024年に再始動した流れにもつながっています。明快な「暇」論に、あなたも頷きが止まらないはず!

一時期仕事がなくなり、長いアイドリングに入っていた「東海オンエア」。「生まれてから、めっちゃ暇だなっていう期間がなかった」と語る虫眼鏡さんは、突然降ってきた何もない時間に、はじめは困惑したそうです。しかし、そこで何か新しいことを始めなきゃとあくせくすることも、ただただ無為に過ごすこともない。小児がんサバイバーでもある虫眼鏡さんが、それまでの人生も一歩一歩踏みしめて生きてきたからかもしれません。

■新しいことを探さなくてもいい

「めっちゃ暇」になり、「今日も明日も何もない、そういう自分とどう向き合ったらいいんだろう」とソワソワしていた虫眼鏡さんが手に取ったのは、國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』。売れつづけているベストセラーですが、文庫本で500ページほどの厚さであり、「暇だからこそしっかり読めた」と語ります。

人間が「暇」「退屈」を感じるようになったのはいつからなのか、という歴史的な観点にはじまり、現代の人間が感じる「退屈」の正体に迫った一冊。この本を読みとおすことによって、やることがないからといって新しいことを見つける必要もないんだ、と安心できたそうです。

たとえば、「このお店美味しいですよ、今度行ってみませんか」「こういう趣味ありますよ、やってみませんか」という周囲からの誘いかけにただ乗るだけでは、「暇つぶし」をさせられているにすぎません。ラーメンを食べるにも、ちょっとした「ひと工夫」をするだけで変わっていくのです。

その虫眼鏡さんの感覚の変化を、思わず真似してみたくなります。

■なぜ暇だと感じるのか

社会が今とは比べものにならないほど戦争だらけで、王さまさえも腐っていたような時代は、きっと多くの人が「生きること」自体に必死であり、現代人のような「暇」を感じている余裕はなかったはずです。

スッと仕事がなくなり、暇をしているその瞬間は、実は当たり前のことではないのかもしれない。

自分がいま暇を感じていられるのは、「日本という国はまだまだ良くなる」と、暇や退屈なんて頭に浮かべることもなくがんばっていた先人たちがいたからなのではないか。

そう考えたとき、暇であることがとてもありがたいことだと思えたそうです。これをストレートに表現した虫眼鏡さんの言葉には、グッとくるものがありました。

■必要ではない仕事にも意味がある

「國分先生の言うこととは逆になっちゃうかもしれない」と前置きしつつ語るのは、周囲から与えられる「バラ」を手当たり次第に回収してみてもいいのでは、ということでした。

「このバラはどうですか」とたくさん差し伸べてもらうこと自体はけっして悪いことではない。どの「バラ」に自分が興味を感じるのか、それを見つける体験をしていくことが大切になる。

この先の人生、どれくらい生きるかわからないからこそ、それをまだまだ探しつづけたいということです。

「東海オンエア」としての活動は、世界に大変なことが起きれば特に、「別にあってもなくてもいい」もの。自分たちが面白いと思っているものだから続けてきたし、それが「パン」(食い扶持)にもなっている。

でも、週に6本以上動画をアップしようとすると、「もういいや」と感じてしまう瞬間もある。

これを「余裕のなさ」だったのではと振り返る虫眼鏡さんは、自身の動画クリエイターとしての活動を捉えなおします。メンバー同士が「おじいちゃんになっても続けたい」と感じるためのその考え方は、本当に素敵です!

■暇をさせられないために

『暇と退屈の倫理学』には「退屈」に3段階あることが書かれています。その第1段階から抜け出すことが、まずは大事。

たとえば、とある駅でものすごく待たされて、何もすることがない状態がそれに当たります。いわゆる「暇をさせられている」。仕事に追われていると、そのスキマで「暇だ」「退屈だ」とつい感じてしまう。仕事を一生懸命やっている人ほど、それは苦痛を覚えることかもしれません。仕事自体にやりがい、楽しみを見出すのはもちろん、スキマ時間の楽しみも見つけていきたいものです。

虫眼鏡さんは「小児がんで死にますよ」と言われていました。だからこそ、「残りの人生がここまでだとしたら、何時間をこれに費やして、何時間寝て」と考えたことがあるそうです。

その記憶から、「やっぱり仕事って人生で一番大事な決断」と感じているのです。

そんな虫眼鏡さんが、個人チャンネルにきた転職の相談に返す言葉には、思わずうならされます。

いかがでしたか? これらの内容を、虫眼鏡さんの声と表情付きで受け取れば、より強い納得感を得られるはずです。ご興味のある方はぜひ、本編動画をお楽しみいただけますと幸いです。